「ちゃんと愛されてたよ、きみは」
    その綺麗な瞳から雫はこぼれ落ちないが、今にも泣きそうな顔で俯くきみの背中に手を置く。
    「愛されてた」
    もう一度、確かめさせるように言う。
    「あの眼は自分の我が子を見て愛おしく思う眼だった。おれの親も時々あの眼をする。」
    「でもっ、もう居ないって解ったら、なんか…苦しくて…、」
    しゃがんで嗚咽をもらすきみ。自分は膝をついて、母親のように優しく強く抱きしめた。
    「おれがいるよ」
    人間とは、母親や父親の愛情を受けて育つものだ。
    例外として、きみ見たく両親が居なくなった人間もいる。
    だったら愛情は受けられない?ちがう。
    親の愛情が欲しくて、足りなくて、そうやって心がズタボロになるのならば。
    「親じゃなくても、愛は受けられるよ」
    "どんな人にも、愛は向けるものよ"
    いつの日か、おれの母がそう言ったように。
    「ほんとは親から、が良いだろうけど…。
    ほんの小さな幸せにも人は喜べる力がある。
    きみを愛しているのはおれだけじゃない。
    きみを信頼してるあの子達も、きみに愛を向けているよ。」
    さて、泣きまくった後は、サンドウィッチでも食べようね。
_2023.11.27「愛情」
    まふてふ…?
11/27/2023, 1:37:01 PM