汚水 藻野

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その揺らめく炎が美しく輝く時、「ああ、冬が来たのか」と悟る。

きみの炎は冬の方が綺麗に見える。
クルクルと優雅にまわって炎を纏うその姿。
自分に伝わらない言葉を伝えずとも語りかけて来るのだ。
人じゃない。言葉が分からない。生活の仕方も違う。
そんなきみが自分を選んでくれた理由。

「初めて私を褒めてくれたから」

きみみたいな種族がそんな理由で人間について行っていいのか、と疑問に思ったが、いいのだろう。揺れる炎に触れても火傷はしない。

「自分に良いことをしてくれた人には、感謝を述べたり、行動に移すことが大事だよ。……って、そう教えてくれたでしょう。
だから私は、私を褒めてくれたあなたに、感謝の意を示したい。
そうするのには、貴方について行くしかなかったですから。
今まで沢山の時間を一緒にして、迷惑もかけましたし、大変でした。でもそんなことより、

楽しかった。

ありがとうございます。これからも私を相棒として側にいさせてくださいね。」

雪山。雪が降る。涙。こぼれる。周り。人はいない。

人生初の最高な相棒からの感謝の言葉。
…泣いてもバレないよね。この冬の訪れを知らせる雪なら隠してくれる。

_2023.11.29「冬のはじまり」

最近話がよく逸れるし長くなる…。

11/29/2023, 10:25:19 AM