カミハテ

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6/17/2024, 3:10:50 PM

 「未来」


「いいなあ」
まことはテレビで最近ハマっているボーカル&ダンスグループのMVを食い入るように見ていた。
こんなふうに自分の好きなことだけして生きていきたい。
そりゃ、楽しいことばかりじゃないだろうけど、きっと今まさにテレビに映っている人たちは夢を叶えられて幸せだろうから。
ライブで思いっきり歌うの気持ちいいだろうな。
羨ましい。
歌手になりたいな。
でも俳優にもなりたいし、ダンサーにもなりたいし、
小説家にもなりたいし、お笑い芸人にもなってみたいんだよな。
塾を開くのも楽しそう。起業するのもいいかも。
やりたいことはたくさんあった。
でも。
それらを叶えるための苦労に耐えられる自信がないから挑戦できない。
まことは弱い人間だ。
こんなにも弱い人間に、なりたい人の中でもほんの一握りしかなれない職業になれるわけがない。
自分で自分の可能性を狭めているのはわかってはいるけど。。。
そもそも、私にとってのやりたいことは本当にやりたいことなんだろうか。
本当にやりたかったら、やりとげるための苦労も苦ではない、むしろ楽しいのではないだろうか。
私は、、、一体何になりたいのだろう。
人気者になりたいことは確かだが、失敗が怖いので挑戦できない。
そういう自分も嫌いだ。
そして自分が嫌いだと言いつつ好きになるために自分を変える行動を取らない私も嫌いだ。

6/15/2024, 4:45:00 PM

読書好きなまこと



「ここはこうなってこうなるからこうなるんだよー、
オッケー?じゃ、次ねー」

カリカリカリカリ。

クラスの数学苦手勢が必死に板書する音が聞こえる。

先生の言ってることがすぐ理解できないから、とりあえずノートに写して、後から質問するなりじっくり考えるなりしなければならないからだ。

かくいうまこと自身もその一人なのだが。




まことは高一だ。

今年の春入学したばかりのぴちぴちJ Kというやつである。

塾に恵まれ、親の頭の良さがそこそこ遺伝したおかげで県でトップの進学校に入学した。

周りはもちろん秀才ばかり。

中学の頃はワークを丸暗記して定期考査で高得点を取るだけで頭が良いと言われた。

それが中1からできる子はあまりいないからだろう。

そして中1の頃からその方法をして、高得点をとり、周りよりも頭が良いと思われた。

人は、周りと異なるものが個性となる。

中学の頃は周りに頭が良い子が少なかったから、「頭が良い」というのが1つの個性として成り立っていた。

だが、高校は違う。

同レベルの学力をもつ集団なのだ。

もう、「頭が良い」は個性にはならない。

そもそも中学の頃言われていた「頭が良い」は本当の意味での頭の良さではない。

ただ暗記するだけなら誰でもできる。

真の頭の良さとはなんだろう。

それはまだまことにはわからないが、、、。

ともかく、そうなってくると、まことの個性は何もない。

個性のなさにまことは結構悩んでいる。焦っている。

一体どうしたらいいんだろう。 

そして今、さらに大きな問題がまことにふりかかろうとしている。

中間考査である。

中学の頃は根性で一夜漬けでもどうにかなったが、高校ではそうはいかないことはわかっている。

なんせ県トップの進学校である。

中間考査がそんなに甘いわけがないだろう。



「キーンコーンカーンコーン、、、」

「きりーつ、れいっ」

「ありがとうございましたー」

スマホで音楽を聴いてるとき、ボタンが長押しされ、ボリュームが徐々に上がるような感じで、まことの耳に皆の話し声が入ってきた。

帰りの準備を済ませ、席に座ってぼーっとしていると、
後ろの方から声が聞こえてくる。

「ねー、物理どんくらい勉強してる?」

「一応昨日初めてワークやった、結構むずいねあれ」

「だよね、物理ってさーどうやって勉強」

もうワークしてんのか。はっやいなあ。

まことは聞き耳を立てるのを中断し、頬杖をつきつつ考える。

でも、もううかうかしてられない時期だよなあ。

最近休み時間も勉強してる人増えてきたし。

嫌だなあ。

この前受験が終わったばっかなのにまた勉強かよ。

そもそも毎日予習が大変すぎるから中間の勉強とかできねえよ。

予習に加えて課題もあるからマジでくそだわ。

「さ、ホームルーム始めるぞー」

「きりーつ、、、」





「ただいま、、、」

「おかえりー」

学校が終わり、家に帰るとまことはソファーに身を投げた。

母は最近ハマった韓国ドラマを見ていた。

「ねえ、お母さんが高校の頃って勉強どのくらい頑張ってた?」

まことはソファーに顔を埋めたまま聞いた。

「ぜんっぜん。定期考査の前日だけ、ワーク暗記しまくってたよ。一夜漬け。」

「へえ」

一夜漬けねえ。リスク高すぎるよなあ。中学と違って留年とかあるし。

あーでも勉強したくねえ。勉強っていうか暗記がめんどくせーんだよなあ。

「ああー、暗記めんどくせーーーー」
ソファーの上で仰向けになって呟く。

なんか昔の方が暗記力あったような気がするんだよな。

ま、そりゃそうか。

そりゃ今より昔の脳の方が容量の余裕あるに決まってらあ。

昔は絵本の文丸々暗記とかしてたもんなあ。

ふと、立ち上がり、自分の部屋の本棚を覗いてみる。

久しぶりに小さい頃大好きだった絵本を読んでみる。

亡くなってしまった子供がどうにか母に自分の無事を伝えて安心させようとする絵本だ。

子供の健気さと母親の愛情と親子の絆。

あたたかいストーリーで絵本とは言えど侮れない。

気づいたら泣いていた。

あー、自分、だいぶ弱ってんなあ。

思ってたより、新しい環境というのはストレスを与えるものらしい。

「こういうときは、、、」




「まことっいい加減本読むのやめてっ!」

母がなんか叫んでいるが、やっぱ、好きなことを思いっきりするっきゃないよな!

何時間没頭しただろう。

前ハマった全ての本を読み返している。

美少女が見事な推理で事件を颯爽と解決するミステリー小説、
少年とタイムトラベルによって過去から来た少女との儚いラブストーリー、
悩みの持つ中学生が集まって励まし合い、慰めあってそれぞれの夢を見つけて歩み出す友情物語、
きつねのキャラクターがバカなことばかりしてて爆笑できる児童書。。。

だんだんと元気が出てきた。

やはり、好きなことをすると元気が出る。

母の忠告もことごとく無視。

お風呂にも入らずにずうっと読み続けた。

ふとスマホで時間を確認すると、もう真夜中の一時だった。

と同時にクラスラインの通知に気付く。

「なあ、明日数学単元テストだよなあー?他クラスに聞いたけどめっちゃむずいのに90点合格らしいよ」

まことの顔は顔面蒼白になった。

一夜漬け決定である。

6/14/2024, 4:09:56 PM

あいまいな空と、イラつきがちなまこと



「ねえ、まことー、洗濯物取り込んで畳んでくれない?」

「、、、」

「ねえ、聞いてんの?返事は?」

「はいはい後でするよー」

「後でじゃダメ、だっても」

まことは母の声を耳からシャットアウトした。

最近母にイラつくことが増えた。

まことは高一なのでちょうど反抗期の時期だが、
自分では反抗期じゃないと思っている。

なぜなら、まことの思う反抗期とは、理由もなく親にイラつき、当たり散らかす時期のことだからだ。

それに対して、最近まことが母にイラついたことといえば、飼い犬のしつけの仕方について、まことの意見をだるそうに聞かれたことだった。

正当なルートを辿ってと言えば変な感じだが、
真っ当にイラつくことをされてイラつくのはごくごく普通のことである。

頻繁に親にイラつくからと言って、必ずしも原因が子供の反抗期にあるわけではない。

さらにもっと言えば、原因が子供にあるとも限らない。

原因は、親にあるかもしれないのだ。

反抗期になるぐらいの年齢の子供をもつ親は、一般的に40,50代だろう。

そのぐらいの年代になると、アドバイスしてくれる先輩のような存在が減っていく。

だから、自分の欠点に気づく機会が減り、結果、欠点を直すことが難しくなるのだろう。

そして、まさに今、まことの母がそうだ。

自分の意見とは異なる意見を耳を傾けようとしない、聞くとしてもあからさまに嫌そうに聞く。

その欠点を指摘しようにも指摘したところでその話を聞こうとしないのだから一生改善されない。

負のループである。

年を重ねるとどんなに優しい人間でもだんだん頑固になるらしい。

まことの母も徐々に頑固になってきている気がする。

人の話を聞かない今でさえまことは困っているのに、
これからさらに頑固になられると、、、
想像しただけでうんざりしてゲボをしてしまいそうだ。

まあ、母という生き物は、血がつながっているだけの他人である。

たとえ親だとしても、なんか馬が合わないことはよくあることだ。

そこは割り切っていくしかないだろう。

なぜここまで相性が悪いのか、それは、、、

まことが深く考えを巡らせようとした時、、、

「ことっ!まことっっ!!」

「えぇ?」

「えぇ?じゃないでしょ、むかつくわー。さっきからなんかっい呼んでも返事しないし。そもそもさ、まことは」

「で、何言いにきたの?用があるんでしょ?」

母が小言をまくしたてる気配を素早く嗅ぎ取り、まことは母の口を遮って問う。

「ちゃんと最後まで話聞いてよ。はぁー。」

そうは言っても母の小言を聞いていたらキリがない。

非効率的なのだ。

「、、、」

母は、黙って要件を待っているまことを横目で見つつ、どこか呆れた表情で言った。

「もうすぐ雨が降りそうなの!早く洗濯物して!」

「あぁ、、そうなんだ」

「はぁー。さっきも言おうとしたのにあんた、聞かなかったじゃん。ほんと、人の話聞かないんだから。」

それはこっちのセリフである。

母が話をするときは、良い話だろうが悪い話だろうが話が長いのだ。

だから、せっかく良い知らせでも、途中で聞く気が失せてしまう。

長い付き合いなので、そこらへんは対策済みである。

良い知らせのような雰囲気を感じたら、話の最初だけ集中して聞き、まことに関係ありそうなら続けて聞く。

なさそうならシャットアウトという方法だ。

なので、さっき雨が降りそうだと言っていたとしても、まことはまだ洗濯物をしたくないので、まことに不利益な情報として処理されたのだった。

まあでも、この場合は母は悪くない。

「ごめん、聞いてなかった。今からするわ」

まことはすっと立ち上がり、ベランダへ足を出す。

母はなぜか真顔で洗濯物を取り込むまことを目で追う。

あまりにも目線が執拗なので、まことは我慢ならず、尋ねた。

「さっきからなに?」

「ん?うーんとね、まことってやっぱよくわかんない子だなあって思って」

「はぁ。あっそ。てゆーか、外晴れてきてんだけど。雨降らんじゃんか」

まことが不満そうに訴えると、母はやっとまことから目線をはずし、外へ向けた。

「あー、ほんとだ。ま、いーじゃん。私のおかげで早く洗濯物取り組めて。」

「、、、」

はぁ。こいつ調子良いな。

よくもまあこんなに都合良く解釈できる。

ま、母とは生涯付き合っていかなければならないのだ。

いちいち反応してては疲れるだけである。

反応もそこそこに、まことは洗濯物を畳み出した。

ふと、窓の外を見上げる。

はぁ?結局曇りなんですけど。

晴れるか雨かはっきりしろよ。

白黒はっきりしろよもー。

まことは空ごときに対して腹が立っている自分に気づき、また自分にもイラついたのだった。

6/13/2024, 3:11:52 PM

ひとりごと  「あじさい」



紫陽花と聞いて思い浮かぶのは、うちの近所に咲いている紫陽花。

大きくて、ひとつひとつの花が目一杯咲いているような、本当に見事な白い紫陽花。

昨日、飼い犬の散歩の途中で見つけた。

紫陽花があまりにも真っ白だから、その白さと、無意識に自分の心の中のどすぐろい部分を対比してしまう。

こんなに見るもの全てをネガティブに変換できるんだから、ある意味才能である。悲しきかな。

ちなみに白い紫陽花の花言葉は「寛容」。

私も寛容になりたいなあ。

なりたいということはまだなれていないということ。

つまり、心が狭いと言うこと。

自分では優しい時ととげとげしい時の差が激しいと感じる。

券売機の前で困ってそうなおばあちゃんがいたら、券の買い方を教えてあげたことがある。

てっきり心優しい人間なのかと思いきや、目の前で人が物を落としても拾ってあげないときもある。

人間っていうのは不思議な生き物だ。

人間というか、「私」というヒト自身が不思議な人間なのだろう。

自分自身でもよく分からないが、複雑で面倒くさい性格をしている。

自分でさえ自分の取り扱い方がよく分からない。

自分に厳しいけど甘い。

「こんなにぬるいもんじゃダメだ」とストイックに本気で思うのに、努力しようと思うのにできない。

できない状態の中でも常にストイックな心境のまんまだから、体はしたくないのに心はしたい。

体と心で摩擦が起こり、熱が発生して、火事が起こる。

火事が起こると何もかも放棄してしまう。

火事の火の燃え盛る激しさのピークを過ぎたとしても、火はずっと燃え続ける。

激しくなったり弱まったりしながら一向に消えない。
しかしそれはもう慣れたことだ。

ここ数年はずっとそんな感じである。

ただ根性がないだけなのかもしれないし、周囲の人間が私に甘すぎるのかもしれない。

その両方かもしれない。

この問題を解決したいが、解決しようと行動しないのが私という人間である。

偉そうに語っているが阿呆な人間だ。

本当に阿呆だ。

解決するためのエネルギーを集める方法も蓄える方法も放出する方法も知らない。

知らないふりをしているだけかも。

知りたくない。分かりたくない。

知ってしまったらせねばならなくなるから。

問題を後回しにしたって結局自分にのしかかることはわかっている。

わかっていながら後回しにするのが私という人間である。

本当に本当に阿呆な人間だ。

どうしてこんなふうに育ってしまったのだろう。

昔は天使のような子だったはずなのに。

人生楽しかったはずなのに。

心のどすぐろさは汚くなるばかりだ。

生きるのが苦しいな。

6/12/2024, 3:02:07 PM

ひとりごと 「好き嫌い」



好き嫌いと聞いて思い浮かべるのは、人に対する好き嫌い。

特に私には嫌いな人がたくさんいる。いつからだろう。

嫌いになりたくて嫌いになっているわけではない。

なのに、人の嫌なところばかり目が行ってしまう。

たいてい、自分と関わる全ての人のことを嫌いになる。

でも、一番嫌いなのはそういう自分自身だ。

自分を変えたいと思いつつも行動できていないところ、継続が苦手なところ、自信がないところ、そのくせ承認欲求は強いところ。

自分が嫌いだ。

年を追うごとに自分をより嫌いになっている気がする。

だんだん人と関わりたくなくなっている。

だんだん生きていくのが苦しくなってきている。

毎日精一杯生きる中で、何かを見るたびにマイナスなことばかり思いつく。

生きていく中で考えることの9.5割がマイナスなこと。

そんなに人生がマイナスで埋め尽くされているなら死んだ方がいいんじゃないかと思えてくる。

それでもまだ生きているのは、最終話までアニメ化が終わっていないアニメを最後まで見たいから。

愛犬と旅行に行きたいから。

今死ぬのは勿体無い気がするから。

死ぬときは痛いだろうし、苦しいと思うから。

大した理由じゃないけどまだ生きてる。

生きていたらこれのために生きたいと思えるようなものに出会えるかもしれない。

夢が見つかるかもしれない。

今のところはぜんっぜん兆しは見えないけれど、いつか見つけられたら良いなと思う。
死ぬ前に。

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