瑠璃

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9/20/2024, 12:30:29 PM

《守ること、守られること》
(刀剣乱舞/明石国行)


明石国行という刀は、普段はやる気が全くないのにも関わらず、蛍丸と愛染の同派に対してだけは少しだけやる気をだす刀である。

特に蛍丸については【大事にする】という意識があるように見受けられた。

それは愛染から蛍丸への態度も時折同じように見えた。

2振りにとって蛍丸は【大事に守るべき存在】なのだろう。

けれども蛍丸は決して弱くなどない。ああ見えても大太刀なのだから、腕っ節は2振りよりある。

では何故か?


あくまでこれはある審神者にとっての憶測だが、

現世においての蛍丸という大太刀は【所在不明】なのだ。

かつての大戦後に接収され、行方知らずの大太刀。

『もう二度と会えないと思っていた同派の仲間に会えた』となれば、大事にするのも道理なのではないか、と。


明石に関しては、大事に守られ続け、国宝に成るほどの美しい姿を保っている存在。

大事にされてきたからこそ、その心を誰よりも知る刀。

あの飄々とした姿の奥底には、人知れず抱いている想いがあるのではないだろうか。

9/19/2024, 12:01:58 PM

《この瞬間を永遠に》
(刀剣乱舞/大包平)


誰しもが「この時間が永遠に続けばいいのに」と思う事があるだろう。

この大包平も同じだった。

彼にとっての時を止めたくなる程の事は、近侍である時だという。

その本丸では近侍を1日交代で務めており、大所帯となればなるほど、近侍が巡ってくるまでに時間がかかる。

だからこそ、近侍として審神者の傍に居られる時間は、大包平にとってかけがえのない時間なのだ。


「次に俺が近侍になる時も、存分に頼ってもらっていいぞ」

9/18/2024, 10:18:12 AM

《夜景を見たがる理由と見せるもの》
(刀剣乱舞/包丁藤四郎)


「夜景が綺麗なとこ知らな〜い!?」

包丁藤四郎が審神者(男)の元に来て一言目がそれだった。

審神者は仕事の手を止め、「何を突然言うのかな、包丁?」と聞き返す。

「夜景が見たいんだよー!花火もいいけどさー?」

「なんのために?」

「そりゃ....人妻に綺麗な夜景を見せて、好きになってもらいたいからじゃん!」

あぁやっぱり、と苦笑いを浮かべる審神者。

とはいえこの審神者は恋人なんておらず、ましてやこんな環境下で出会いなどあるわけもない。

つまりは"夜景がきれいなとこ"なんて知らないのだ。


とは言え、願いを無下にする訳にもいかないという気持ちもある。


考えた末に審神者は景趣を変えることで手を打った。


《九周年 祝い花火》にすれば、現代の夜の景色。

つまりは夜景と花火が見れるから、という考えだ。


勿論、彼がそれで納得するかは分からないので

駄目だったらお菓子で機嫌を取ろうと思っているのは内緒である。

9/17/2024, 12:35:22 PM

《花の下で眠る願い》
(刀剣乱舞/五虎退)

その本丸の審神者は、季節によって景趣を変え、四季を楽しむことが好きな人間だった。

春は桜。夏は向日葵。秋は彼岸花。冬は椿。

他の花々も好きで、二十四節気に合わせて変える人だった。

だからなのか、ある日審神者は唐突にこう言った。


「死んだら、花の下に埋めて欲しい」


五虎退は反応に困り、「あるじさま....」と心配をする。

審神者は直ぐに笑い、「いつか来る日の話だよ」と言った。

人はいつか死ぬ。刀剣男士とていつか壊れて消える日が来るかもしれない。

それを受け入れ、前向きに生きるのは簡単なことでは無いことくらい、五虎退とて分かっている。

ならば、その終わりや、終わったあとの事を願うのは人も刀も同じだろうと。


「あるじさまはなんのお花の下に眠りたいんですか?」


審神者は五虎退の問いに「そうだねー....」と悩み、


「桜かな。大きな桜の木の下で眠って、春にはその桜の下で皆に花見をして、一緒に楽しみたいかな」

と笑って答えた。


五虎退は「絶対叶えます!」と笑って返した。

9/16/2024, 11:56:39 AM

《感情とリンクする空》
(刀剣乱舞/乱藤四郎)


その日、乱藤四郎はとにかくツイていなかった。

馬当番では馬に髪を食べられ、昼餉は苦手な物が出て、
気分転換に万屋に足を運んだが、欲しかった品が売り切れ、挙句帰り道は雨が降っていた。

「今日は上手くいかないなぁ〜.....」

嘆く乱の気持ちは、まさしく今の天気と同じく泣きそうだった。

「空も泣いてるのかなぁ.....」

乱は、燻る気持ちを吐露しながら雨が止むのを待つことにしていた。


暫くすると万屋街を繋ぐゲートに見慣れた人影が現れた。

「いち兄!?」

「乱が1人で万屋に行ったと聞いてね。傘も持たなかっただろうから迎えに来たよ」

それは粟田口兄弟の長兄・一期一振だった。

乱は大好きな兄の姿を見ると、先程までの心の曇りがすぐに無くなった。

「いち兄を独り占め〜!」

「こらこら。ちゃんと傘を差さないと濡れてしまうよ」

「はーい♪」


空は涙を流すように雨が降っている。

けれども涙と同じなら、いつか笑うように晴れるために流す涙と思えば、雨も悪くは無いと思えた。

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