《花の下で眠る願い》
(刀剣乱舞/五虎退)
その本丸の審神者は、季節によって景趣を変え、四季を楽しむことが好きな人間だった。
春は桜。夏は向日葵。秋は彼岸花。冬は椿。
他の花々も好きで、二十四節気に合わせて変える人だった。
だからなのか、ある日審神者は唐突にこう言った。
「死んだら、花の下に埋めて欲しい」
五虎退は反応に困り、「あるじさま....」と心配をする。
審神者は直ぐに笑い、「いつか来る日の話だよ」と言った。
人はいつか死ぬ。刀剣男士とていつか壊れて消える日が来るかもしれない。
それを受け入れ、前向きに生きるのは簡単なことでは無いことくらい、五虎退とて分かっている。
ならば、その終わりや、終わったあとの事を願うのは人も刀も同じだろうと。
「あるじさまはなんのお花の下に眠りたいんですか?」
審神者は五虎退の問いに「そうだねー....」と悩み、
「桜かな。大きな桜の木の下で眠って、春にはその桜の下で皆に花見をして、一緒に楽しみたいかな」
と笑って答えた。
五虎退は「絶対叶えます!」と笑って返した。
9/17/2024, 12:35:22 PM