瑠璃

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11/20/2024, 1:16:29 PM

《大切なものは増えるばかり》


初めて出来た宝物は何だっただろう。

時が経つにつれ、守りたいもの。大切にしたいものが増えるばかりで、宝物がひとつ、またひとつと増えた。

両手で抱えきれないほどの宝物が出来た頃には

その全てを守りきれない現実も知った。


何かを大切にすると、何かを諦めなければならない事を知ったあとでも、私はまたひとつ宝物を得て生きてゆく。

11/11/2024, 12:37:19 PM

《籠の鳥》
(刀剣乱舞/蜂須賀虎徹)


長曽祢虎徹の真作。

それが蜂須賀虎徹である。


しかし、あの浅葱色の羽織を着た男が振るったのは贋作の虎徹だった。


真作以上に贋作がその名を、その斬れ味をもって広めることがもどかしく思えた。


「何故真作の俺が使われず、贋作が虎徹の名を広めているのだ....」


どうか、この俺を振るってくれ。


大事に仕舞われるだけなんて御免だ。


飛べる翼を持ちながら、飛ぶことを許されぬ籠の鳥のように。

俺は誇れる斬れ味を持っているのに、刀の役割を果たすことなく、平和な籠の中で生きてゆくのだろうか。


「飾られるだけの刀では無いのに....」





真作であるが故に、大事にされすぎた名刀の話。

11/9/2024, 11:05:10 PM

《最期に浮かぶ顔》
(刀剣乱舞/ 誰でも)


『パキッ..._____』


己の本体にヒビが入る音がした。


傷だらけボロボロの重傷なのに、己を過信して進軍をした結果がこれだった。


ヒビは広がり、軽やかに折れる音がした。

それは余りに軽すぎる己自身の命の音。


途切れゆく意識の中、脳裏に浮かぶのは審神者と本丸のみんなの顔。



(あぁ...もう、会えないんだ....)


後悔ばかりが浮かぶ中、意識は闇の中に吸い込まれた。


10/21/2024, 12:35:22 PM

《叫ぶ声、届かぬまま》
(刀剣乱舞/長曽祢虎徹)


「この刀は"虎徹"ですよ」


その言葉に、その刀に宿る付喪神は目を見開いた。

「おぉ、これがあの虎徹か!」

自分を手にする男の目は輝く。

それに反し、自分は焦るばかり。


「違う!!ソレは虎徹ではない!!」



声が枯れるほど叫んだ。

「俺は、源清麿の刀だ!!長曽祢虎徹ではない!」


それは"源清麿"から"長曽祢虎徹"と呼ばれるようになった始まりの日。

新撰組、近藤勇の愛刀として振るわれた一振の刀の物語

10/21/2024, 9:40:16 AM

《何度でも始めよう》
(刀剣乱舞/蜂須賀虎徹)


その審神者は一度審神者業を辞めた人間だった。

あの日の本丸はもうどこにもない。


また一から始めることとなった。


審神者は始まりの刀を選ぶ際、迷うことなく蜂須賀虎徹を選んだ。


「前の本丸の始まりの刀も蜂須賀だったから。いつかまたあの刀に会えたら、ちゃんと謝りたいんですけどね」

そう言って笑う審神者に、蜂須賀は「何度でも選んでくれるなんて、蜂須賀虎徹ならみんな嬉しく思うよ」と笑って返した。

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