私のそれまでの世界はモノクロのようなつまらない世界だった。
何を食べても、何を見ても楽しく思えなくて。
ただ今日という一日の時間を過ごすだけ。
だけど変わってしまった。出会ってしまった。
運命といえば聞こえがいいけれど、心から応援したい。その姿を目に焼き付けたいと思える存在に出会った。
それは世界が色付くようなものだった。
誰かを想うことの愛おしさも、大切さも知った。
ずっとずっとこの人を追いかけたいと願った。
「また明日」
「また会おうね」
「また今度遊ぼうね」
さよならじゃなくて再会の約束の言葉。
今日よりも楽しい『次』になるといいな
私の友達は私と正反対の人。
明るくて、誰とでも仲良くなれて、勉強も運動もそれなりに出来て、美人で優しい子。
『なんでこの子は私と仲良くしてくれるのかな』
なんて思ったことが何度もある。
クラスの人気者、って感じで眩しかった。
隣にいるだけでその眩しさに目が眩んでしまう。
けれど、私はあの子に憧れることは無かった。
憧れたところであの子にはなれない。
あの子の友達で居られるだけでいいと思うから。
友達に連れられて行ったアイドルのライブ。
なんの興味もなかったけれど、幕が開くと一気に非現実的な光と音の世界に包み込まれた。
ステージに立つアイドルの姿はずっと眩しくて、同じ世界に生きる人とは思えないほど輝いていた。
あの日見たライブの輝きが。あの景色が。
私は今も忘れられない。
たった一つだけ、願いが叶うのならば何を願おう?
あれが欲しい、これが欲しいと強欲なお願いはしたくなくて。
ただ、明日もその先も今日と変わらない世界で笑って、怒って、泣いて、悩んで生きていたいと思った。
でも、もしその日々の中に。その日々の隣にあの人がいてくれたらなんて素敵だろう、なんて考えてしまって。
『君の隣にずっといられますように』
そんなお願い事、叶えられたらな。