サチョッチ

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6/26/2023, 5:23:38 PM

君と最後にあった日

本当に突然の再会だった。

なんの気無しに過ごしていた日常に、かつての同級生だった君がいきなり舞い込んできて、何年かぶりの対面をしばし喜んだ。

次会うときはいつだろうなんて、あやふやな未来に心を弾ませていた。


しかしそれきり君とは音沙汰なく、試しにSNSで声をかけたが、どれだけ待っても反応が返ってくることはなかった。

電話をかけた。出る気配はない。

思い切って家まで訪ねてみたが、玄関をくぐって愕然とした。

中はとても人が生活できるとは思えないほど、滅茶苦茶に荒れていた。
完全にガワが綺麗なだけの廃墟となっていた。

異常を感じて自宅へ飛んで戻り、アルバムを開いた。
クラスの電話番号が乗っていたはずだ。
特に仲良しだった女子をピックアップし、うち一人に電話で事の顛末を伝えた。

電話越しに女子の声がする。私との久しぶりの会話をやはり喜んでいた。

しばらく事情を聞いていた女子が一言。

「うちらの友達にそんな娘いないよ?」

ハッとして手元のアルバムに目をやる。


君が写っていたはずの写真など一枚もなく、集合写真にさへ君の痕跡は全く存在しなかった。



一番心を許せていたはずの君の存在が、なぜ突然失われたのか。
学生時代に一緒にいた君とは誰だったのか。

理由も知るすべも、私は今だって分からない。

6/25/2023, 6:03:49 PM

吹くだけで飛びそうな、触れるだけで崩れそうな
誰の意識にも残らない存在感の危うい命。
繊細な花はいつも震える。
雨が凌げる藪の中でも
風が一筋吹き抜けただけで
足音の幻聴に怯える。

太陽を知らない花は
木の葉の下の湿った土と
苔むし朽ちた倒木と
死骸に群がる小蝿と蟻と
日陰の重みが全てだった。

6/23/2023, 3:57:35 PM

子供の頃は とても幸せだった
何不自由なく愛され、自分にとってありふれた生活だった。
だがそれは世間的に見れば、常識からも希望からも外れきった、異常な形だったのかもしれない。

6/22/2023, 1:08:36 PM

朝、職場の人間たちから忘れられていればいいのにと、ぼんやり考えながら目が覚める。うだつの上がらない着替えを済ませ、機械的に仕度をして重い脚を運び、車で無心になりながら職場に着く。
それから一日、周りと自分の距離感の掴めなさに無意識下で摩耗されながらつまらない時間をひたすらやり過ごす。その後、またいつもの自己嫌悪とともに仕事を終え、逃げるように帰ってから少しずつ落ち着きを取り戻す。
それからは慣れた時をダラダラと過ごして、気づくとまた眠る時間になる。そうしてまた明日を恨み、日々の自分の嫌な想像に怯えながら諦めて眠りに落ちる。

これが私の日常。不安と服従と妥協だけ。

6/21/2023, 11:04:51 AM

画家の彼女に聞いてみたことがある。
「いつも君は数えきれない数の色を使ってるけど、どの色が一番好きなの?」
すると彼女は決まって答えた。
「自分色。」
それを聞いた私は意地悪く尋ねた。
「じゃあ君の色って何色?」
彼女はそれに対し平然と、どこか得意げに答えた。
「その日の気分で気まぐれに出来た色。絵の具は選んだ色と混ぜ具合で何色にもなるでしょ?それでいつも出来上がる色が毎回違うんだけど、それってなんだかその時々の自分の心が反映されてるみたいでさ、自分そのものみたいに見えるのよね。」

君はいつも"天才"みたいなことを言うな。

#好きな色

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❖昨日のお題

降りしきる雨音を聞くたび、燃える羽の鳥は思い出す。みなし児だった自分を餓え死に寸前のところで救い出したのはあの人だった。天井から落下したあの人が自分の命を繋いでくれた。みすぼらしく弱っていた自分も、今やこんなにも神々しく立派な翼を携えて、光さえも焼き尽くす敵なしの業火を繰り出す力まで身についた。鳥は主と慕う男に日々使い魔として従う。肉体をなくして尚確かな存在を保つ彼へ、鳥は精一杯の忠誠心を以って尽くす。男と鳥は互いを自らの半身のような心で、無限の夜を生きていく。

#あなたがいたから

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