吹くだけで飛びそうな、触れるだけで崩れそうな誰の意識にも残らない存在感の危うい命。繊細な花はいつも震える。雨が凌げる藪の中でも風が一筋吹き抜けただけで足音の幻聴に怯える。太陽を知らない花は木の葉の下の湿った土と苔むし朽ちた倒木と死骸に群がる小蝿と蟻と日陰の重みが全てだった。
6/25/2023, 6:03:49 PM