私は何度も何度も殺してきた。
小さな命をこの手で。
蟻の行列を踏み殺した。
蚊を叩き殺した。
命の大きさは違えど重さは同じだというのに。
とはいえ。
今更懺悔するつもりもない。
ただ許しを乞う訳でもない。
私は、殺してきた命共の呪いを背負って
今度は私が現実から解放される時が来るまで
生きていくつもりだ。
とある日の病床。
月は燦々と輝いている。
私は貴方の皺の寄った手を握りしめている。
私はこの手が健康的だった時から知っている。
貴方は言う "外を見てください"
"今夜はこんなに月が綺麗ですよ"
「あぁ。今夜は月が綺麗だ」
そう言うと貴方は少し笑う。
"それはそういう意味ですか?"
「そう受け取ってもらっても構わないよ」
貴方の目は少しずつ虚ろになる。
貴方の手は少しずつ冷たくなる。
貴方は最期に言う。
"最期くらい真っ直ぐに言ってくださいよ"
―――「愛してるよ。」
Love you
ベランダに二人。
街を見つめる。
君は太陽に照らされている。
「好きだよ。」
ふと口にする。
「どうしたの?」
君は笑顔でこちらを見ていた。
綺麗な虹彩、二重、鼻、口、眉。
目の前に二つ太陽があるようだ。
大好きだ。
0
[0ってなんですか?]
何にもないことです
[とは?]
本当に何もなくて、真っさらで、何の概念もな い、それこそ、0という概念もない。
[そこから何も生まれなくないですか?]
それはそう。何でビッグバンなんか起こったんだろ。
[0から1を生み出すという言葉がありますが?]
本当の0なんかもうこの世に存在しない。
僕らはもう、道具がある。言葉がある。知能がある。僕らにあるのは0じゃなくて0.1だ。
零
同情
―他人の気持、特に苦悩を、自分のことのように親身になって共に感じること。かわいそうに思うこと。あわれみ。おもいやり。
同情するな。
私になれる訳でもないのに
何を感じれるものがあると言うのか。
私を哀れに思うか。
勝手に思っててくれ。
私はお前が簡単に同情できるほど薄っぺらい人間ではない。
―――こんな自分を許してくれ。
たった独りで周りに楯突く私が可愛いだけなのだ。
同情するなら、
もういっそ一緒に消えてくれ。