ミッドナイト_28
今宵 ウルフムーンの明かりの下
100万カラットのハートを頂きに参上します。
安心と不安_27
私の居場所はいつも お風呂場だった。
泣いて辛さを分け合えるのも
笑って幸せを噛み締めるのも
そこでしかできなかった。
逆に考えるとしたら
そこなら
私の全てを受け入れてくれる場所である
というのが最適解だろう。
鏡を見ては
「大丈夫 だいじょぶ。貴方なら出来るわ。」
と言って 安心感を得る。
今日も鏡を見ては
「大丈夫 だいじょぶ。貴方なら出来るわ。」
と言って 安心感を得ようとした。
だが もう既に限界を迎えていたみたいだ。
顔にシャワーを当て続けても
目頭が熱くなったのは治らない。
湯船に浸かっても
一人であることを思い出させるだけだった。
そして 私は気づいた。
何が一番怖いのか 何が一番不安になるのか。
それは 孤独 だったのだと。
こんな夢を見た 逆光_26
僕は 君に対して
罪を犯したと言うのだろう。
取るものも取れない。
それは僕にとって一番辛かった。
目を閉じれば
君の横顔や背中が 青く浮ぶのだが
どうも手が届かない。
背景は眩しい白色だった。
君を縁取る青さが
これ以上は濃くなれないのだと悟った時
ついに君が僕の夢に訪れ始めた。
だから もう良いんだって思った。
僕はまず君と手を繋いだ。
何も話さない君にも 胸の高鳴りは増した。
僕は次に君にキスをした。
そして めちゃくちゃにしたんだ。
どうしようもなく 我慢できなかったから。
でも 抵抗しなかった君も悪い。
だって僕は
「嫌だったら殴っていいし何か示してくれ」
と言っておいた。
だが もう遅かったみたいだ。
死人に口なし とは言うが
死人に耳なし とは言わないじゃないか。
僕は 冷たく残る君のうなじに
二度目のキスをした。
そして
君が一番に輝けない世界が
二度と来ないように
部屋のカーテンを全て 閉めきった。
タイムマシーン_25
タイムマシーンなんか
私には必要ない。
だが
私がもっと若かったなら
君は私を愛してくれていたのだろう?
私は
「それでも 過去に戻りたい」
などと言う
弱い人間じゃあない。
どうせ人間は 同じ過ちを繰り返す。
だから人間は 結局弱い。
だったら 今の私を 今の君に
心から愛してほしい。
特別な夜_24
私は言われるがままに
彼から渡された薬を飲む。
「さぁ 飲め。教授のために。」
そんなことを言われようかと
既に覚悟は決めていたので 丁度良かった。
ごめんなさい 教授。
この実験結果は
レポート出せなさそうです。
上を向き 強引に喉に通すと
カプセルが流れる音が
外にまで聞こえた。
が 何もなかった。
正確に言えば 実験は失敗だった。
だが やはりどの薬にも
個人差はあるようだった。
彼は少々キレ気味に 研究室を後にした。
少し眠気を感じて仮眠をすることにした。
辺りはまだ暗く 肩にはブランケットが…
ん?私はこれを掛けた記憶はない。
『あぁ 起きたかい? 僕の助手よ。
その顔…
何か飲まされたんじゃあないだろうね?』
心地よい教授の声が 私の頭を駆けた。
そして案の定 全てお見通しだった。
『おいで。』
なんだ…。
貴方はどこまで
私のことを見透かしているの?
貴方は申し訳ない顔をして
私にキスをした。
それから
今にもう一度したくなるような声で言う。
『君は研究者である以前に
僕の助手だ。
こんな簡単に人を信じても良いと
教えていないはずだが?』
また眠気がした。
その瀬戸際 彼は間違いなく言った。
『恋情を引き起こせとは言ったが
アイツ 分量を間違えたな。
まぁ良いさ。
おやすみなさい 僕の可愛い助手。』