川柳えむ

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12/11/2025, 11:41:45 PM

 ここはたくさんの動物が暮らしている森。いろんな動物が、いろんなことをしています。その中に、魔法が使える猫がいました。
 ある日、なかなか朝がやって来ませんでした。夜が明けないので、動物達はそのままずっと眠り込んでいます。
 唯一活動していた魔法使いの猫が、夜の女王である月に、なぜ朝が来ないのか尋ねると、月はこう答えました。
「知らないわ。太陽が寝坊でもしてるんじゃないかしら?」
 猫は箒に跨ると空に飛び上がり、東へと全速力で向かいました。
 夜空を越えて、少しずつ空が白んできます。
 そうしてその先に、朝と昼の王である太陽が眠り込んでいるのを見つけました。
 起こすと、まだまだ眠い太陽は一瞬ムッとした顔をしましたが、時計を見て飛び上がりました。
「まずい。遅刻だ! 起こしてくれてありがとう!」
 そうして、ようやく森に朝がやって来たのでした。
 動物達が時計を見て、「おかしいなぁ。なんでこんなに時間が経っているんだろう?」と不思議がる中、猫だけがその真実を知っていました。


『夜空を越えて』

12/10/2025, 10:33:09 PM

 温かい腕の中で目が覚めた。
 嬉しそうに私の顔を見つめてくる。
 これが『母』なんだろうと、直感的に理解した。
 ベビーベッドに寝かされ、天井を見つめる。小さな部屋だ。
 母は毎日私の顔を覗いて、嬉しそうにニコニコしている。
 何が楽しいんだろうか……。
 そういえば、私は、ここに来る前は何をしていたっけ?
 ……思い出せない…………。
 でも、今あるこの温かい風景はずっと忘れないでいようと、心に刻んだ。


『ぬくもりの記憶』

12/9/2025, 3:05:32 PM

 君の冷たくなった指先をぎゅっと握って、僕のポケットにそっと運ぶ。
 冬は寒くて嫌だね。でも、これで少しは温かくなるかな?

 ……全然温かくならないね。
 それに、乾き切ってなくてぬるぬるするし、ポケットも赤く染まってきた。

 やっぱりいらないや。
 僕は君の指先を、近くのゴミ箱にぽいっと投げ捨てた。


『凍える指先』

12/9/2025, 8:12:22 AM

 雪原のその先へ進みたかった。長い冬を越えたその先に、春があるから。
 手を伸ばした。けれど、届かない。
 いつの間にか降り出した雪が、激しく吹き荒れた。濃い白が視界を覆っていく。前が見えない。
 もう、先に進む力は残っていない。

 仲間がいた。
 今もなお別の場所で、使命を果たす為に戦っている仲間が。
 自分がいなくなっても、世界は回る。あいつらが、世界を回してくれる。

 ……眠くなってきた。
 このまま、終わっていくのだろう。……。
 …………。

 厚い雲の隙間から、薄い光が差した。徐々に吹雪が止んでいく。
 雲もいつしか去っていき、太陽が辺りを温かく照らし出した。
 目を開けると、どこまでも澄んだ青空が、視界いっぱいに広がっていた。
「…………春?」
 春がやって来たんだと、そう感じた。
 きっと使命は果たされた。凍えることはもうない。
 雪原の先へ、仲間の元へと、再び歩き出す。
 早く会いたいと、心から願っていた。


『雪原の先へ』

12/7/2025, 10:47:33 PM

 部屋の窓を開けると冷たい空気が流れ込んでくる。
 外に向かって息を吐けば、それはふわりと白く浮かぶ。
「さむーい!!」
 子供達はキャッキャッと笑いながら息を吐き出した。
「あ、ねぇねぇ」
 窓を閉め、そこに向かって息を吹きかける。それは透明なガラスを白く曇らせた。
 姉の指先が、その白いキャンバスにスマイルマークを描いた。
 それを見ていた弟の目が輝く。
「僕もやる!」
 窓ガラスにたくさんの『楽しい』が描き込まれていく。
「こら! 窓拭きの途中でしょ!」
 ママの雷が落ちる。二人は残念そうに溜息を吐き、「は~い」と返事をした。
 大掃除はまだまだ終わりそうにない。


『白い吐息』

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