川柳えむ

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 部屋の窓を開けると冷たい空気が流れ込んでくる。
 外に向かって息を吐けば、それはふわりと白く浮かぶ。
「さむーい!!」
 子供達はキャッキャッと笑いながら息を吐き出した。
「あ、ねぇねぇ」
 窓を閉め、そこに向かって息を吹きかける。それは透明なガラスを白く曇らせた。
 姉の指先が、その白いキャンバスにスマイルマークを描いた。
 それを見ていた弟の目が輝く。
「僕もやる!」
 窓ガラスにたくさんの『楽しい』が描き込まれていく。
「こら! 窓拭きの途中でしょ!」
 ママの雷が落ちる。二人は残念そうに溜息を吐き、「は~い」と返事をした。
 大掃除はまだまだ終わりそうにない。


『白い吐息』

12/7/2025, 10:47:33 PM