ゆう

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8/8/2024, 9:47:19 AM

砂を、袋に入れていた。

甲子園の初戦で敗れた私たち高校の野球部は、
丁寧にかき集めながら、
砂を袋に入れていた。

その姿を、私は三塁側の応援席から見ていた。
見ているだけだった。

その姿に、ふと昔のことを思い出した。
砂の記憶。

幼少期の砂場。
友達がいない私は、一人、砂のお城を作って遊んでいたっけ。
360度どこから攻め込まれても迎撃できるように、
ぐるりと砲台で囲まれたお城。

夕方、日が暮れるまで一人でせっせと砂のお城を作っていた。
そうしているうちにパラパラと雨が降ってきて、
360度どこからも迎え撃てるように作った私のお城は、
どんどん崩れて、溶けて、流れてしまった。

なぜ、頑張って作ったのに壊れてしまうのだろう。
なぜ、頑張ったのに負けてしまうのだろう。

その事実に世界の無慈悲を想った。

神様はいじわるだから、たまにこういういたずらをするのかな。
それが運命なのかな。

でも、それでも、どう生きるかは、自分次第なんだよね。
きっと。



そっか、それに気づくために、
今ここにいるんだね。



『最初から決まってた』 完

8/7/2024, 9:54:34 AM

「太陽っていつか燃え尽きてなくなるんだってぇ。」
友達の空美が独特の間延びした喋り方で、
唐突にそんなことを言い出した。

彼女はガーリーでふわふわした見た目からは想像もつかないのだが
科学に興味があり、Newtonを毎号読んでいるような女の子だ。
でも理系というわけではなく、数学が苦手だったりする。

どちらかというと文系寄りで、想像力豊かでいつもとりとめもない妄想をしているような女の子だった。
世の中の不思議なことが科学で説明できてしまうことが彼女には面白く、興味を惹かれるみたいだった。

空美は続けた。
「太陽ってめっちゃでっかいじゃん。」
「でも燃え続けててどんどん大きくなってるんだって。」
「しかもどんどん熱くなってて、5億年後には地球の海水が蒸発しちゃうんだってぇ。」
「それで50億年後には地球は膨張した太陽に飲み込まれちゃうんだって。」
「そしたら地球に住めなくなっちゃうよ。」
「こまっちゃうよねぇ~」

困るどころではないと思うのだが、彼女の危機感ない喋り方がかわいかった。
私はどちらかというと几帳面で、神経質で、いつも些細なことが気になったり、勝手に傷ついたりする。
自分で言うのもなんだが、繊細なタイプだと思う。
そんな私にとって空美みたいな子は、ほっと息をついて張り詰めた神経を休ませてくれる癒しの存在なのだった。

「その頃には生きてないでしょw」
私は突っ込んだ。
それでも何回も生まれ変わって、人生何周もして、また私の意識があるときと、たまたま地球が飲み込まれるタイミングとが重なったらやだな。
なんて、起こりうるかもわからないことを心配している自分が滑稽だった。

「だよね~」
危機感ない喋り方で空美は言った。
空美の洗いたての真っ白でふわふわした制服がかわいかった。
いい匂いがした。

地球が飲み込まれる瞬間も空美と一緒だったら怖くないかも。
私はそんなことを思った。

能天気で太陽みたいな女の子。
空美と一緒なら。



『太陽』 おわり

8/6/2024, 9:59:26 AM

最近ずっと元気がない。
なぜだろう。
毎日に縛られているからか。
世間の常識とやらにがんじがらめになっているからか。
とにかく元気がない。
とにかく明るくない。
とにかく暗い私。

疲れてたのに電車が混んでて座れなかったからか。
乗った車両がたまたま弱冷房車で全然涼しくなかったからか。
スーパーのレジの店員がなんかぶっきらぼうで優しくなかったからか。
疲れてて一人になりたいのに人が多くて神経が摩耗したからか。

なんか世界からぞんざいに扱われている気がする。
ああ、神様ってば。

『それは周りの目を気にしているからさ』
『周りの評価で自分の価値を決めているね』
『そんな顔をしないで』
『気にしなくていいのさ』
『君の価値は君が決めていいのさ』

と、近未来ロボットアニメイションの銀髪の彼に似た彼は言った気がした。

彼はこの世界より上の次元の住人だ。
たまにこうして声が聞こえるのだ。

そうなのだ。
彼以外の周りのみんなはちゃんとしなさいと言うのだ。
ちゃんとってなに?
憲法で基本的人権が守られている日本国に住んでいる私にそれを言う理由を答えよ。

私はちゃんとしたくないのだ。
とにかく自由でいたいのだ。
そうすれば、とにかく元気なはずなのだ。

だから、銀髪の彼の言葉がより身に沁みるのだ。

『そう。それでいいのさ』
『君は君でいい』
『それに気づけたら、また元気になれるさ』

『ほら、今日の終わりを知らせるベルが鳴るよ』

キーンコーンカーンコーン

キーンコーンカーンコーン

『今日もお疲れ様』

銀髪の彼がそう言った。

少しだけ元気出た気がした。



『鐘の音』 おしまい

8/3/2024, 9:59:25 AM

「皆さんは匂いと記憶の関係について知っていますか?」
大学の講堂で心理学の授業中、にこにこしながら教授が話し始めた。
「最近夏の匂いがしてきましたねぇ」



ごろごろしてて19時までに書ききれねー😭
つづく
あとで書く

『病室』

8/1/2024, 9:44:49 AM

『ついに8月になってしまった』
『やっちまった』
7月のカレンダーは7/31までしか見えないが、
8月のカレンダーは8/31が見えるので、
8月になったと同時に夏の終わりを感じてしまうのだ。

つづく
(19時に間に合わないので、あとで編集)

『だから、一人でいたい。』

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