ゆう

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最近ずっと元気がない。
なぜだろう。
毎日に縛られているからか。
世間の常識とやらにがんじがらめになっているからか。
とにかく元気がない。
とにかく明るくない。
とにかく暗い私。

疲れてたのに電車が混んでて座れなかったからか。
乗った車両がたまたま弱冷房車で全然涼しくなかったからか。
スーパーのレジの店員がなんかぶっきらぼうで優しくなかったからか。
疲れてて一人になりたいのに人が多くて神経が摩耗したからか。

なんか世界からぞんざいに扱われている気がする。
ああ、神様ってば。

『それは周りの目を気にしているからさ』
『周りの評価で自分の価値を決めているね』
『そんな顔をしないで』
『気にしなくていいのさ』
『君の価値は君が決めていいのさ』

と、近未来ロボットアニメイションの銀髪の彼に似た彼は言った気がした。

彼はこの世界より上の次元の住人だ。
たまにこうして声が聞こえるのだ。

そうなのだ。
彼以外の周りのみんなはちゃんとしなさいと言うのだ。
ちゃんとってなに?
憲法で基本的人権が守られている日本国に住んでいる私にそれを言う理由を答えよ。

私はちゃんとしたくないのだ。
とにかく自由でいたいのだ。
そうすれば、とにかく元気なはずなのだ。

だから、銀髪の彼の言葉がより身に沁みるのだ。

『そう。それでいいのさ』
『君は君でいい』
『それに気づけたら、また元気になれるさ』

『ほら、今日の終わりを知らせるベルが鳴るよ』

キーンコーンカーンコーン

キーンコーンカーンコーン

『今日もお疲れ様』

銀髪の彼がそう言った。

少しだけ元気出た気がした。



『鐘の音』 おしまい

8/6/2024, 9:59:26 AM