『友だちとの思い出』
友達は移りゆくもの
幼い頃からの友達がずっと続く人もいるけれど、殆どは時と共に変わっていく。
幼稚園、小学、中学、高校、大学、社会人
それぞれに新しい出会いがあり、別れがあって。
私の友達も時と共に変わっていき思い出も塗り変わっていく。
でも、例え色褪せてしまったとしても友達との記憶は私の中から消えることは決してない。
良い思い出も、悪い思い出も、今の私を形作ってきたものだから。
『星空』
共に切磋琢磨し腕を磨きあったあの日
疲れきった俺は地面に寝転がり見上げると、眩いばかりの星が一面に散りばめられた美しい星空に感嘆の声を上げ、先程まで稽古に勤しんでいた親友に向かって寝転んで見ろと脚を引っ張りすっ転ばせた。
油断していたのか、あいつは思い切り尻もちを付くと俺を見下ろしながら睨みつける。そんな事は予想済みとばかりに口端を釣り上げると指を天へ突き付け、
「空見てみろよ!すっげー綺麗だぜ!」
はしゃいだ俺の声に溜息を付くと諦めたのだろう、あいつは俺の隣に寝転がり同じように空を見上げた。
「本当……綺麗だな」
あいつの呟きに込められた驚く色に、俺はだろ?と満得意げに相槌を打つも、
「けど、転ばせたことは許さないからな」
「えー、そのくらいいいじゃん。さっき散々俺を転ばた癖にさ」
「それとこれとは話は別」
意地悪に笑い俺を揶揄して来るものだから俺も負けじと応戦するもさらっと交わされてしまう。
お互い顔を合わせると静かな夜に男二人の笑い声が空へと響き渡った。
普通に過ごしていてはきっと見過ごしていた、あいつと二人で見上げたあの景色を俺は一生忘れはしない。
例え数年経った今、俺が親友に剣を向けることとなったとしても。
『神様だけが知っている』
今日も響いてくる無数の想い。
目に見える地上の姿。
喜び、怒り、悲しみ、憎しみ。
生き物の心は風のようにごく当たり前に私の元へ流れ込んでくる。
水鏡に映し出されるのは地上の未来、生きとし生けるものの行く末。
私に知らないものは無い。産まれてからずっと兼ね備えているこの力。
地上の生きとし生けるもの、全てを知ることが出来る力。
故に地上が滅びぬよう導く事が出来るのも私だけ。
地上のものは私の手助けを"神様"と呼ぶようだ。
私に知らない事はなにひとつない。
だが、私を知るものは…誰もいない。
『この道の先に』
人生は沢山枝分かれした選択肢という道の先に続いている。
小さな道と大きな道
人は毎日、選び進んでいく。
人それぞれ道は違っていて、長さ、形、数、複雑に無数に存在している。
進む先が決まっている時もあれば、迷い戸惑い苦しむ中で見つける時もある。
大きな道を進む時は特に慎重に考えなければならない。
何せその道は後戻りが出来ないのだから。
僕が進んでいく道の先には何があるのだろう。
明か暗か。幸か不幸か。楽か苦か。
今日も僕は己の道を選び歩いていく。
『日差し』
友達の家に遊びに行く途中、たまたま見かけた一人の女性に俺は目を奪われた。
真っ白なワンピースに身を包み、服と同じ色の帽子と日傘を差していて、肌もこの日差しでは直ぐに焼けてしまうんじゃないかってくらい繊細な白さだ。
クラスメイトや家族 、親戚、俺の知る『女』を思い出してみても、こんなに仕草も歩く姿も淑やかな人なんて初めて出会うんじゃないかと感じられる程に可憐で美しい女性。
女性の周りだけがまるで一枚の絵のように切り取られているかのようで。
何処かの社長令嬢とか身分の高いお嬢様だろうと思いながら、魅入られた俺はその姿が去るまで目で追い続けた
顔が火照るのは昼下がりの日差しが暑いせい?
それとも彼女に恋をしたせい?