John Doe(短編小説)

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8/13/2023, 12:03:25 PM

エリア


崩壊したビルのガラスは青空を映している
静寂の中、唯一聞こえるのは俺の足音のみ
無人の都市に俺だけが一人取り残されている
きっと世界中が廃墟と化しているんだろう
今が春なのか秋なのか分からない
俺は海図も持たずに海に出てしまった船頭だ

あれから何年が経過したか想像がつかない
お前を見失ってから、俺の世界はずっとこうだ
どこかで今もお前が生きているんじゃないかと
微かな希望を抱くことが俺の理性を保たせる
いつかこの気持ちが絶望に変わるんじゃないかと
内心は酷く不安になって恐怖している

お前さえいてくれれば、俺はそれでいいんだ
お前さえいてくれれば、世界はたちまち動き出す
どんなアクシデントもきっと乗り越えられるんだ
俺とお前の二人なら
どんなに時が流れても、お前を守り続けるよ
だから、早く戻ってきてくれ

すべてをやり直そう
俺とお前の二人で。

8/12/2023, 11:22:19 AM




工場のベルトコンベアをすべて停止する
もう、私のために彼らが働く必要はないから
「おやすみなさい、お疲れ様でした」
電源を落として、彼らに永遠の別れを告げる
間もなく巨大な工場に静寂が訪れる
唯一の明かりは非常灯だけ
でも、それももうじき消えるはず

私の身体は無数の鳥になっていく
痛みや苦しみは存在しない
あるのは、恍惚だけ
私はすべてを超越する
そしてこの大宇宙を漂い続けるんだ
後悔なんかしていない
忌々しい過去と対峙する必要もない

世界が私を受け入れてくれる
すべてが私を慰めてくれる
ベンゾジアゼピンで繋ぎ止めていた糸が切れる
私をいたぶっていた惑星が小さくなる
聞こえてくる、静謐なメロディー
神様がいる場所に近い所へ行く
酸素も二酸化炭素もない所へ

古びた私の肉体は鳥たちが啄んでいった
もう、何も怖くない
もう、何も悲しくない
もう、これ以上死ぬこともない
私は新しい世界で永遠に生きていくのだから…

8/9/2023, 11:36:11 PM

運命の子供たち


僕らはいつだって運命に翻弄される
最も見たくない領域は目を瞑ればよかった
そしてそのまま眠りにつけば忘れることができた
誰もがそうやって生きていると思っていた
僕もアイツもこれから先ずっと生きていくんだと。

僕は彼女と車に乗り、深夜の道路を飛ばして走る
その瞬間。
心の底から生を実感した
永遠に生きていけるような気さえした
僕らは本当に幼い子供だった

ある朝、「なんでだよ」と僕は呟く
先週までその椅子に座ってたアイツはもういない
もうこの世界のどこにもいないんだ
アイツは焼かれて灰になってしまった
国の統計の一人となった
ありふれたニュースの報道ネタとなった
アイツがこの平凡に思えた日常のなかで
どれだけ苦しんでいたのか想像がつかない
兆候はまったく感じられなかった
時間を巻き戻せばアイツを救えるのだろうか
俺はただ、肩を震わせて泣くしかなかった

これから先の未来が、ひどく虚しく苦しいものでしか感じられなくなり、以降僕は彼女とドライブすることはなくなった。

8/8/2023, 9:58:46 AM

自傷


刃物で傷を負ったとき
すぐには痛みを感じないように

じわりじわりと
私の人生も痛みだす

いつも痛みは後からやってくる

8/6/2023, 10:14:42 AM

#:_□'/


何もかもが手遅れだよ
でも、それは誰のせいでもない。
誰もが私を傷つける
私も貴方を傷つける
私は私自身を傷つける
貴方も貴方自身を傷つける
心を傷つけ合うの
でも、それは誰のせいでもない。

行き場のない少女たちは風邪薬を取った
私は自分の腕を刃物で傷つけた
押し付けるつもりはないけど
祈るつもりもないよ
それがこの世界だから
心が壊れている
私は壊れた人間
この街の人はみんな私のトモダチ
誰もが壊れている
でも、それは誰のせいでもない。

偽善者の誰かが言った
「周りを変えたければ、まず自分を変えろ」と
笑いそうになるよ
ムダなことなのにね
何も変わらないから
変えようとして努力すればまた傷つくだけだって分かりきっている
世界はそうやってずっと私を苦しめる
無意味な生殖行為
テレビの報道に失望する
明日の天気は雨らしい
老人と病人は死を静かに待つ
でも、それは誰のせいでもない 。

私も終わりを望んでいる。
世界が終わろうが、私が終わろうが 。

私が産まれてきた意味は///////////////////





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