John Doe(短編小説)

Open App

エリア


崩壊したビルのガラスは青空を映している
静寂の中、唯一聞こえるのは俺の足音のみ
無人の都市に俺だけが一人取り残されている
きっと世界中が廃墟と化しているんだろう
今が春なのか秋なのか分からない
俺は海図も持たずに海に出てしまった船頭だ

あれから何年が経過したか想像がつかない
お前を見失ってから、俺の世界はずっとこうだ
どこかで今もお前が生きているんじゃないかと
微かな希望を抱くことが俺の理性を保たせる
いつかこの気持ちが絶望に変わるんじゃないかと
内心は酷く不安になって恐怖している

お前さえいてくれれば、俺はそれでいいんだ
お前さえいてくれれば、世界はたちまち動き出す
どんなアクシデントもきっと乗り越えられるんだ
俺とお前の二人なら
どんなに時が流れても、お前を守り続けるよ
だから、早く戻ってきてくれ

すべてをやり直そう
俺とお前の二人で。

8/13/2023, 12:03:25 PM