John Doe(短編小説)

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運命の子供たち


僕らはいつだって運命に翻弄される
最も見たくない領域は目を瞑ればよかった
そしてそのまま眠りにつけば忘れることができた
誰もがそうやって生きていると思っていた
僕もアイツもこれから先ずっと生きていくんだと。

僕は彼女と車に乗り、深夜の道路を飛ばして走る
その瞬間。
心の底から生を実感した
永遠に生きていけるような気さえした
僕らは本当に幼い子供だった

ある朝、「なんでだよ」と僕は呟く
先週までその椅子に座ってたアイツはもういない
もうこの世界のどこにもいないんだ
アイツは焼かれて灰になってしまった
国の統計の一人となった
ありふれたニュースの報道ネタとなった
アイツがこの平凡に思えた日常のなかで
どれだけ苦しんでいたのか想像がつかない
兆候はまったく感じられなかった
時間を巻き戻せばアイツを救えるのだろうか
俺はただ、肩を震わせて泣くしかなかった

これから先の未来が、ひどく虚しく苦しいものでしか感じられなくなり、以降僕は彼女とドライブすることはなくなった。

8/9/2023, 11:36:11 PM