John Doe(短編小説)

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4/9/2023, 1:37:47 PM

誰よりも、ずっと


青い石畳の街角で

そこに貴方はいた

小さな噴水のそばに

水しぶきをうけて輝く貴方がいた

レンガ造りの街で

朝か昼かわからない空間で

光を浴びた貴方の姿は眩しかった

誰よりも、ずっと。

風のざわめきが、街をすり抜けていく

貴方は繊維のようにほつれて

とおくへ行ってしまった

4/8/2023, 12:35:37 PM

カル・デ・サック


爆発する色彩。

躍動する空間。

炸裂する時空。

廻転する惑星。

創造する精神。

ああ、今、私は芸術家である!
ああ、今、私は創造している!
我々には膨大な生命力がある!
大海は太陽の光りを受け輝く!
摩天楼に!
大都市に!
工場群に!
住宅街に!
そこかしこに溢れんばかりの生命力!

ああ、私は今、生きている。
膨大な歴史の小さな断片を描いている。
なんとも素晴らしい!!

袋小路に差し掛かっても問題はない。
来た道を戻ればいいのだ。
人生はたったそれだけでいい。

私は生きている!
そして詩を、絵を作らなければならないのだ!

4/1/2023, 10:52:08 PM

青空


夜が来るのが怖い。
眠れないし、悪夢を見るのが不安。
日が沈み出す頃、私の心はぐちゃぐちゃになる。
どうして夜は来るんだろう?
朝日が輝けば安心するのはなぜだろう?

死にたくなる。

そうだ。
夜の街に、真夜中の寂しいあの世界に。
夜空の代わりに紺碧の青空を張り付けよう。
どんなに夜が静寂に包まれても、空を見上げれば安心できるだろう。

青空は好き。
泣きたくなるほど安心するあの青さが好き。
夜空の星や月も綺麗だけど、不安になる。
人は死ぬと星になるそうだけど、私は綿雲になりたいと思う。
そして、あの広大な青の世界で引きちぎられ、揺られ、どこまでも流れていきたいと思うの。

私ってなんてバカなんだろう。

3/31/2023, 12:45:16 PM

フィクション


人生は、うまくいかないことの方が多い。
人生は、幸福より不幸の方がずっと多い。
人生は、儚い。
人生のラストが、映画のようにハッピーエンドなものになるとは限らない。

それでも、人は生きる。
それでも、僕は戦う。
例え、理不尽な結果が待ち受けていても。
例え、絶対に幸せにはなれないようなシナリオが用意されていても。

僕はどんな結果になっても、運命を呪わない。
でも、ベストを尽くして全力で戦うよ。
それでもどうしようもないのなら、抗わない。
それはむしろ心地よい。

だって、僕の人生はノンフィクションなのだから。

3/30/2023, 6:41:36 AM

ワン・モア


部屋の窓辺から光が差す。
色とりどりの光。
カラフル。
窓を開ける。
人々の喧騒、そして輝く摩天楼。

瞬間。

荒波が部屋の家具を流してしまう。
私はボートに乗る。
窓から外へ出ると果てしない海原。
珊瑚の大陸。
摩天楼は巨大な珊瑚と石灰岩だった。

真っ赤な夕日が世界を染める。

西の空には私が出てきた窓。
カーテンが揺れ、お気に入りの観葉植物が見える。
その窓から見下ろす目。
私だ。
世界を覗いているのは私。
じゃあボートの上にいるのは誰だ?
水位が上昇する。
手が窓に届きそうなほど近くに。
目は私を見続けている。

そうだ、世界を砂時計みたいに逆さまにすれば。
もう一度。

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