自由への讃歌
音楽、絵画、彫刻、建築、そして詩。
これらは皆アートだと僕は思っている。
僕は詩を書くとき、音楽を聞いてインスピレーションを得るんだ。
例えばジャズ。
クラシックも好きだけど、20世紀のスイング、モダンジャズが特に好きで、これを聞くと頭の中に一枚の絵画が完成する。
具体的なものから、だいたいは抽象的な、あるいは記号のようなものが頭に浮かび、それをスケッチするんだ。
スケッチしたものを今度は紙に起こす。
それは抽象画になったり、詩になったりする。
躍動感を得る。
「芸術は爆発だ」とはこの感覚だろう。
逆に僕は風景や自然をアートにすることは非常に苦手で、ただ目に見える美しさというのは表現が困難だと思う。
美しい写真を見るのと、風景画を見るのとでは違う、そんな感じだ。
でも、不思議なことに20世紀のモダニズム建築や古風な住居などを見るとアートの感覚が再び沸き上がってくる。
建築は立派なアートだ。そこで生活する人々を魅了する、設計家たちの感性が詰め込まれた魔法の箱のようなもの。
だから、休日はモダニズム建築巡りの社会科見学ごっこをして楽しんでいたりする。
建築で僕がいちばん好きなのはコンサートホール。
たくさんの観衆の前でグランドピアノを弾くピアニストは圧巻だ。
僕が敬愛している亡きジャズピアニストのオスカー・ピーターソン氏に是非「自由への讃歌」を演奏していただけるなら、そんなコンサートホールで聞きたいと思う。
世界はアートで溢れている。
人々は常に芸術に惹かれ、芸術を創造し、芸術を探求する。
映画や本の世界もそうだ。
チャップリン、キートン、ヘミングウェイ、メルヴィル。
僕も本や詩や絵画を楽しむそんな一派だ。
さあ、今日は何を創造ろうか?
アクエリアス
自動車に乗って、ご機嫌な様子の君。
毎日電車に揺られる僕の気持ちなんて知らない。
水瓶座が全てを終わらせてくれると信じている。
町中に水瓶座のマーク。
僕の顔にも水瓶座。
おぞましい記号。
封印が今解かれたんだ、王がやってくる。
僕を噛み殺す。君も噛み殺される。
ざまあみやがれと笑ってやろう
ただそこにある青
空が青い。
でも、空気中は汚染物質が漂っている。
海も青い。
でも、人は海の中で生きてはいけない。
地球は青い。
でも、あの青の下では血が流れている。
ただそこにある青。
何も知らなければ、本当に綺麗な青。
でも、それは残酷な青。
コールド・マン
『嵐が起きたようだ』
大都市に住むコヨーテのように、私は孤独だった。
いつの間にか嵐がやって来た。
遠い地球の裏側で、嵐は人々の生活を奪っている。
それでも世界はまわる。
絶えず太陽と月は追いかけっこをする。
『それでも世界は美しい』
私は憂鬱だった。
そして、冷酷。
自分のことにしか興味がない。
他人を思いやる気持ちなど、持ち合わせていない。
『コールド・マン』
孤独は冷酷にさせるのだろうか。
冷酷が孤独にさせるのだろうか。
私にはどうでもいいことだ。
『腹が減った』
夜食は買ってきたまずいサンドイッチとコーヒー。
野良猫の糞尿の臭いがする部屋。
レディオヘッドのベストアルバム。
タバコを吸う。
『特別な存在になりたい』
考えてみたが、人生は退屈なゲームだ。
これといって楽しいことはほとんどない。
それでも社会の奴隷のように奉仕活動。
生きてくため。
『生きてくためさ』
私は、負け組。
少なくとも幸福とは程遠い生活。
私が知らないだけで世の中はもっと悲惨だろう。
死ぬのは馬鹿馬鹿しい。
『死ぬのは馬鹿馬鹿しい』
指をピストルの形に折り曲げて、こめかみを撃つ
通常運行
私は極めて冷静だった。
体調は整っていたし、腹は減っていなかった。
しっかり眠れたし、これといって問題は全くない。
ただ、目の前に広がる光景だけは受け入れ難い。
赤。
部屋一面真っ赤の。
それは本当に美しく、残酷な通常運行。