John Doe(短編小説)

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3/13/2023, 1:33:55 AM

シティ・ライツ・エンディング


毎日みすぼらしい服で。
どこか思い詰めたような顔で。
ふらふらと出かけては街の灯りに嫌気が差し。
暗い住みかへと戻る。
満足に食事もせず。
誰にも愛されず。
自分の存在に疑問を感じ。
どこかに居場所を探し。
無意味で空虚な一日を繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し……。
そのうち心が苦しくなって。
薬は必然的に増えていって。
もはや人間の尊厳すら見失い。
周りの人間を恨み、人生を呪い。
そんな自分自身を誰よりも嫌悪し。
そして今、人生のエンディングを準備し始める。
テレビの画面の向こう側で。
「街の灯」のチャップリンが悲しそうに笑った。
僕は今、この映画のチャップリンと同じ顔をしているのだろうか。
僕に向けてチャップリンは笑っているのだろうか。
彼は何を思って笑ったのだろう。
白黒の世界で。
笑いの世界で。
泣きたいような、笑いたいようなそんな顔だ。
そして。映画はエンディングに入る。
僕は泣いていた。
街の灯りが、涙で滲んでいた。
僕のエンディングが、始まる。




3/12/2023, 12:54:42 AM

彼女


夢の中で、僕は彼女と出会った。
彼女の名はシャーリー。
すごく綺麗で元気な子だ。
僕が眠れば、彼女は必ず夢の世界でスタンバイしている。それが何より嬉しかった。

僕はシャーリーと何度も旅をした。
旅をやめることは怖かった。
シャーリーは僕が夢を見ていることを知らない。
触れ合い、愛を感じているこの現状は、現実だとしか思えないからだ。

シャーリーはとても優しかった。
話をしているとき、時間を忘れさせてくれる。
シャーリーはお菓子が好きだった。
僕に手作りのお菓子をくれた。
でも、僕は怖かった。

この世界は現実じゃない。
こう伝えたら、彼女はどうなってしまうんだろう。
すべてが崩れてしまうのだろうか。
それだけは避けたかった。
シャーリーのそばにずっといたかった。

でも、ある日僕は言ってしまった。
「この世界は僕の夢なんだ」と。
シャーリーは驚かなかった。
いつものように笑っていて、その日はいつもと何も変わらなかった。
僕はほっとして、彼女に愛を告げると、シャーリーはとうとう泣き出した。
そして、夢の世界が終わろうとしたその時、彼女は自分の部屋に帰っていった。

間もなく、彼女の部屋から銃声がした。
そしてそれ以降、僕はシャーリーに会ってない。


3/8/2023, 12:33:45 PM

病めるあなたに送る詩


あなたは今、とても傷ついているのかも。
きっと死にたい気分なのかも。
跡形もなく消えてしまいたいのかも。
辛い、苦しい、そんな今の現状から、逃げたい。
もう限界なのかも。

お願い。そんなに抱え込まないで。
私はそばにいるよ。
あなたの心のすぐそばに。
あなたが暗闇を抱いているなら、私は光になろう。
その闇が宇宙のように広大でも。
私の光は小さくても全てを照らすんだ。

世界は残酷じゃない。
人生は牢獄じゃない。
誰かを恨む必要もない。
あなたは決して悪くない。

全ての人は皆幸せになりたいと願っている。
私だってそう。
不安や恐怖や苦痛や悲劇なんか、いらない。
暖かいハグが欲しいだけだよね。
優しさや愛が欲しいだけだよね。
私はあなたには直接目に見えないけど、こうして文字であなたに認識されている。

忘れないで。
この詩を読んでくれたあなたのそばに、私はいる。
あなたは一人じゃないから、安心してね。
愛と希望のハグをあなたに!
最後まで読んでくれてありがとう!!

あなたの人生を応援しています。





3/7/2023, 11:25:42 PM

月夜


夜の帳、静寂の世界に漂う白い月。
反響する私の鼓動、時間の砂。
木霊す生命の幻惑、魂のセッション。
今日が遠く彼方の水平線へと歩いていく。
ゆっくり
ゆっくりと。
まるでまだ今日を終わらせたくないように。
月が輝きを放つのを恐れているように。

アスファルトの水溜まりに映し出された月。
ベランダに誰かの気配を感じる。
きっと私を監視しているのだろう。

窓から吹き込む風に揺られたカーテンの隙間から星が散らばるのが見える。
私は深い眠りの世界へ落ちていく…
そこは廃墟だろうか?
忘却の世界だろうか?
地獄だろうか?
ユートピアだろうか。

そこが悪夢の入り口だとしても。
私は歩いていく。
歩いていく…

3/6/2023, 10:50:06 AM




真っ暗な部屋。
ゆらり、ゆらりと彼女は揺れていた。
そして、笑っていた。
何がおかしいのやら。
口元からは涎が垂れている。
そして、淀んだ瞳に僕は映っていない。
叩いても、きっと目を覚まさないだろう。

切っても切れない絆が、彼女を壊したのだ。
でも、僕は、そんな彼女が、愛おしくて仕方ない。

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