John Doe(短編小説)

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シティ・ライツ・エンディング


毎日みすぼらしい服で。
どこか思い詰めたような顔で。
ふらふらと出かけては街の灯りに嫌気が差し。
暗い住みかへと戻る。
満足に食事もせず。
誰にも愛されず。
自分の存在に疑問を感じ。
どこかに居場所を探し。
無意味で空虚な一日を繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し……。
そのうち心が苦しくなって。
薬は必然的に増えていって。
もはや人間の尊厳すら見失い。
周りの人間を恨み、人生を呪い。
そんな自分自身を誰よりも嫌悪し。
そして今、人生のエンディングを準備し始める。
テレビの画面の向こう側で。
「街の灯」のチャップリンが悲しそうに笑った。
僕は今、この映画のチャップリンと同じ顔をしているのだろうか。
僕に向けてチャップリンは笑っているのだろうか。
彼は何を思って笑ったのだろう。
白黒の世界で。
笑いの世界で。
泣きたいような、笑いたいようなそんな顔だ。
そして。映画はエンディングに入る。
僕は泣いていた。
街の灯りが、涙で滲んでいた。
僕のエンディングが、始まる。




3/13/2023, 1:33:55 AM