John Doe(短編小説)

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3/6/2023, 12:54:48 AM

たまには


今日、私は機嫌が良かった。
いつもなら気にかけず素通りするだろう、野良猫にエサを与えてやった。
薄汚れた毛並みの身体で、私にすり寄って来たので思わず避けてしまった。

私は、機嫌が良かったから親切になろうと思った。
明日になれば、すっかり元の性悪な性格に戻っているだろうから、今日くらい“イイヤツ”になろう。
友人に昼食をおごった。出来心だ。
たまには、イイヤツになるのも悪くない。

帰りに私は気分が良かったから酒を買って帰った。
機嫌が悪くても酒は飲むのだが、今日の私が飲む酒は一味違うだろう。
部屋に戻り、テレビをつける。
遠い異国で戦争が起きている。
気分が悪くなり、テレビを消し、酒を飲んだ。

結局いつもと何ら変わらない空虚な一日だった。

3/5/2023, 4:46:54 AM

大好きな君に


僕が大好きだった君はもういない。
それがあまりにも非現実的で。
信じられなくて、冗談みたいで。

君がかつて好きだった曲。
Bob DylanのKnockin' on heaven's door。
世界一の詩人が作った世界一の曲。

ノック、ノック、天国のドアをノック。
口ずさむ。涙が頬を伝って、砂浜に染み込む。
大好きな君に、僕の歌を届けよう。

君は扉の向こうへと行ってしまった。
僕は煙突から流れる煙を見た。
これで最後だと知ったとき、僕の世界は壊れてしまった。

3/3/2023, 10:08:05 AM

*;


壊れてしまえ。

3/2/2023, 11:57:40 AM

たった1つの希望


昨日、私は父と口論になった。
そして酒に酔った父は私を殴り、蹴飛ばした。
私は鼓動に合わせて脈打つ痛みに悶えていた。
床に垂れた自身の血液の赤さと、生臭い鉄のような味を覚えている。
おかしいな。
私は昔を思い出す。
ほら、蘇ってきた。
私の頭を優しく撫でる父が。
私に絵本を読み聞かせてくれた父が。
私のためにお弁当を作ってくれた父が。

希望。
私が忘れない限り、今日も私の大好きな父が微笑みかけている。

3/1/2023, 10:29:20 AM

欲望


私はあなたを渇望していた。

心の底から、あなたを求めていた。

多くの獣が群がるように、

様々な絵の具が混じり合うように、

あなたを想う感情が、

溶けて。

溶けて。

私の中に流れ込んできて。

疼いて。

息苦しくなって。

私は

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