John Doe(短編小説)

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たった1つの希望


昨日、私は父と口論になった。
そして酒に酔った父は私を殴り、蹴飛ばした。
私は鼓動に合わせて脈打つ痛みに悶えていた。
床に垂れた自身の血液の赤さと、生臭い鉄のような味を覚えている。
おかしいな。
私は昔を思い出す。
ほら、蘇ってきた。
私の頭を優しく撫でる父が。
私に絵本を読み聞かせてくれた父が。
私のためにお弁当を作ってくれた父が。

希望。
私が忘れない限り、今日も私の大好きな父が微笑みかけている。

3/2/2023, 11:57:40 AM