夜勤の中、一段落ついて廊下を歩いていた。
疲労も出てきたから、目を覚まそうと飲みものを買おう。
窓から外を見ると、夜景の中にたくさんの照明がキラキラ輝いている。
ここは都会のど真ん中にある大きな病院だから、この都市を見下ろしていた。
と、言っても高層ビルが近くにあるものだから、この病院も見下ろされているんだけどね。
もっと高いところから見える景色であれば、ジュエリーボックスのような夜景ってやつになるのにな。
このキラキラとした都市の中には、気になる彼女もいる。
俺の手で届く限り手を差し伸べていきたい。
そんなことを思いながら、自販機で買った飲みものを口に含んだ。
おわり
五六八、きらめく街並み
明日、愛しい人と家族になります。
その人との出会いも、今までの時間も、これからの時間。その全てが宝物だ。
だいすき、という気持ちと一緒に感謝の気持ちを精一杯込めて水色の便箋につづっていく。
大したことはないけれど、それでもありがとうを込めてペンを走らせた。
書き終わって同じ水色の封筒にいれて、引き出しの中にしまう。
ちゃんと言葉にはするけど、今の気持ちを形にしたかった。
この手紙は、いつか……ね。
おわり
五六七、秘密の手紙
昨日までは暖かいを通り超えて暑かったのに、今日は本当に寒かった。
――
私は先にお風呂をいただいたので、恋人はお風呂に入っている。
風邪をひかないよう今のうちに暖房をつけて寝室を温めていた。
「はー、暖かいー」
頭をタオルでわしゃわしゃと拭きながら彼が寝室に入ってくる。
「わ、ちゃんと髪の毛乾かしてくださいね?」
「えー暖かいから良くない?」
「良くないです」
「ここにドライヤー持ってきてもいい?」
「あ、じゃあ私がかけてあげます」
「やった!」
弾む声でドライヤーを取りに行く。
嬉しそうな笑顔で持ってくると、コンセントに指してから私にドライヤーを向けてくる。
「よろしく!」
彼の満面の笑みに胸が暖かくなりながらドライヤーを受け取った。
ヘアミルクをつけてブラッシングをしてからドライヤーをかけていく。根元からしっかりね。
ある程度乾かしてから、冷風で全体にドライヤーをかける。
「乾いてないところありますか?」
「……大丈夫そう」
少し考えてからそう答えてくれる。
私はまた温風に戻して全体にドライヤーかけた。
「寒くないですか?」
「うん」
ドライヤーを止めて、軽くまとめていると彼が後ろから抱きしめてくれた。
「急に寒くなったから抱き枕になってね」
私が乾かした彼の柔らかい髪が頬にあたって嬉しくなる。
「私も抱き枕になってもらいますからね!」
おわり
五六六、冬の足音
今年のクリスマスプレゼント、どうしようかな。
アクセサリーは付けるタイプじゃないし。
私は左手を開くと薬指の指輪が輝いていた。
彼がこだわって選んでくれた、アイスブルーダイヤモンドがはまった指輪。
大切な約束の指輪。
これをくれた意味を思うと胸が熱くなってくる。
同じくらいのものを贈りたい気持ちはあるけれど、それより彼らしいものを贈りたいな。
そんなことを考えながらショーウィンドウを見ていると目を引く腕時計があった。
値札のゼロの多さにびっくりはしたけれど、彼がくれた指輪を思うと気にしていられなかった。
時計屋さんに入って目を引いた腕時計を見せてもらう。
シンプルだけれど洗練された文字盤。
革のベルトも格好いいと思うけど、金属のもいいな。
日常生活強化防水と聞いて、これなら彼の仕事の邪魔にもならないかな。
そして店員さんから〝時計を渡す意味〟を教えてもらった瞬間、私はこの時計に決めた。
私は彼からこの指輪をもらった。
それにどんな想いが込められているか知ってる。
だから私はこの腕時計をプレゼントに選んだ。
あなたの時間を私にください。
そんな気持ちを込めて。
おわり
五六五、贈り物の中身
気になるあの子のことが頭から離れなくて、頭を冷やそうと外に出る。
頬に当たる風が冷たい。
秋色から冬に季節が一気に進んだ気がした。
空を見上げると冬空の大気は澄んで星をより眩い。
たくさんの星空が輝いていて、キラキラした彼女の瞳を思い出してしまう。
自分が彼女に惹かれているのは、なんとなく察してる。
でも、認めるのが怖いんだ。
頭を冷やそうと思ったのに、かえって彼女を思い出してしまうほど、想いは募っているのだと痛感した。
おわり
五六四、凍てつく星空