初心者太郎

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10/16/2025, 2:39:29 AM

—愛の方程式—

最近、妻と会話をする事が減った。結婚してから三十年も経つのだから、仕方ないとは思う。

付き合っていた頃は、いつも何かを話していた。会えない時には、電話越しに夜更けまで会話したものだ。
もちろん、以前のような胸の高鳴りはない。

「なぁ、今度映画館にでも行かないか?」

私は妻をデートに誘ってみた。

「いいですよ。一緒に出掛けるなんて久しぶりですね」

妻はそう言って笑みを浮かべた。

恋という感情はとっくの昔に消え去ってしまった。それでも一緒に居たいと思うのは、愛がある故である。

だからもし『愛 — 恋』という方程式があるならば、その解は愛であると思うのだ。

お題:愛 — 恋 = ?

10/15/2025, 4:37:55 AM

—幸せはもうここに—

子供の頃は病気がちで、よく入院していた。父はお見舞いに来てくれる時に、よく梨を持ってきてくれた。

大人になってから知ったことだが、病気見舞いで梨を持っていくことはあまり良くないらしい。でも私は梨が好きだから、むしろ嬉しかった。

「お父さん、早く良くなると良いね」

私が大人になって、今度は父がよく入院するようになった。

「いつもありがとうなぁ。俺も梨が好きなんだべ」

そう言いながらむしゃむしゃと食べる。
食が細くなったせいで、父の体はだんだんと弱々しくなっていく。

「何か欲しい物があったら言ってよ」
「それなら、アイの幸せな話が聞きてぇな」

まだ冗談を言う余裕はあるらしい。私は父が食べ終わった皿を回収した。

「じゃあまた来週来るから、ちゃんとご飯食べて元気にしててね」
「何で無視するんだべ。まぁいいや、いつもありがとうなぁ」
「うん、またね」

そう言って、病室を後にした。
今度は、私が父に恩返しをする番だ。父が好きな梨をまた買っておこうと思う。

お題:梨

10/14/2025, 2:14:41 AM

—最高のライバル—

親友が、大学進学の為に上京するという。その大学はサッカー部が強い。何人ものプロ選手を輩出している、有名な大学である。

駅の改札口で彼の後ろ姿を見つめていた。

「他の奴らに負けるんじゃねぇぞ」

俺は、小学校の頃から彼と一緒にサッカーをプレーしてきた。だから、周りの誰にも負けてほしくなかった。

「当たり前だ。今度は敵同士で——」

俺は地元の大学に進学し、サッカーを続けるつもりだ。

「また会おうな」
「あぁ。試合であたったらボコボコにするからな」

俺がそう言うと、彼は笑った。
最後に手を振って、彼が見えなくなるまで見送った。

「絶対負けない」

次会う時には、絶対に彼よりも上手くなって見せる。彼と再会できるのを楽しみにしながらも、心は闘志で熱く燃えていた。

お題:LaLaLa Goodbye

10/13/2025, 6:27:24 AM

すみません、後日書きます。

お題:どこまでも

10/12/2025, 5:58:37 AM

—New Game—

知らない交差点で、目を覚ました。断片的な映像を辿りながら、昨日の出来事を整理する。

夕方、渋谷駅で中学の時の友達と待ち合わせた。そして十年ぶりに再開して、近くの居酒屋で一緒に呑んだ。もちろんその店だけでは話し足りず、何軒か梯子して……。

呑みすぎた。一軒目を出た後からの記憶が曖昧だ。

「まずい……」

ポケットの中に手を突っ込んだ。スマホがない。昨日の夕方は持っていたはずの、バッグもない。あそこには財布が入っていたのに。

詰んだ。
体育座りをして、顔を埋める。

「ダイジョウブデスカ?」

カタコトの外国人が話しかけて来た。俺は涙交じりの目を彼に向けて言った。

「大丈夫だったらこんなところで座ってません……」
「ニホンジン、ミンナイイヒトダカラネ、タスケテアゲルヨ!」

彼はそう言うと、千円札を渡した。俺は震える手でそれを受け取る。

「あぁ……、ありがとうございます……!」
「バイバイ」

彼はそう言って去っていった。

まるでゲームのイベントのようだった。

お題:未知の交差点

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