初心者太郎

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—New Game—

知らない交差点で、目を覚ました。断片的な映像を辿りながら、昨日の出来事を整理する。

夕方、渋谷駅で中学の時の友達と待ち合わせた。そして十年ぶりに再開して、近くの居酒屋で一緒に呑んだ。もちろんその店だけでは話し足りず、何軒か梯子して……。

呑みすぎた。一軒目を出た後からの記憶が曖昧だ。

「まずい……」

ポケットの中に手を突っ込んだ。スマホがない。昨日の夕方は持っていたはずの、バッグもない。あそこには財布が入っていたのに。

詰んだ。
体育座りをして、顔を埋める。

「ダイジョウブデスカ?」

カタコトの外国人が話しかけて来た。俺は涙交じりの目を彼に向けて言った。

「大丈夫だったらこんなところで座ってません……」
「ニホンジン、ミンナイイヒトダカラネ、タスケテアゲルヨ!」

彼はそう言うと、千円札を渡した。俺は震える手でそれを受け取る。

「あぁ……、ありがとうございます……!」
「バイバイ」

彼はそう言って去っていった。

まるでゲームのイベントのようだった。

お題:未知の交差点

10/12/2025, 5:58:37 AM