静かな情熱
一心不乱にひたむきにキャンバスに
向かう君 周りの音も一切聞こえ無いかの
様に静かな情熱を燃やして 絵を描き上げる横顔が一つの絵画が額縁に嵌まる様に
美しかった。....
遠くの声
「おーい!」「おーい!」と遠くから
呼びかける声が聞こえる。
僕が振り向くと君がニカッと白い歯を
見せて手にクワガタムシ虫かごにカブトムシを入れて仁王立ちして立っていた。
これから始まる王様達の相撲取りに
ワクワクしている様だ。
彼は、虫かごからカブトムシを出し手に
持っていたクワガタムシをカブトムシと
相対させて角と挟みを交差させる様に
至近距離で2匹を向かい合わせた。
はっけよい残ったと言う様に2匹の
頂点を決める王様合戦が始まった
2匹を応援する僕と君の声が遠くの空の
青空まで響いていた。
春恋
隣の席の南君は、いつも授業中 寝ている
スピー スピーと寝息を立てる物だから
先生にも丸聞こえだった
その寝息をスルーして授業を続ける
先生も居れば 南君に的確に注意する
先生もいた。今日は、後者の先生だった
スパーンと良い音がした 先生が教科書を
丸めて見事に南君の頭に命中させていた。
「南 先生の記憶が確かならお前この前も
寝てたよな 何か先生の授業は、
つまらないか」先生が軽くそんな事を
言っていた。
すると南君が悪びれもせず
「先生 俺 寝ないと死んじゃう病気みたい」とにっこり微笑んでいた。
他のクラスメイトがクスクスと笑う中
隣の席の私だけが何だかあたふたしていた
「そうかじゃあそのまま永眠してくれ」
先生の辛辣なツッコミが入るが
南君は、どこ吹く風と言わんばかりに
二度寝に入っていた。
先生は、呆れて隣の席の私を見て
「花岡!」「はい!」私は、反射的に
返事をする。
すると先生は、「時間になったら起こしてやれ!」と先生は、私にそんな事を言って
授業に戻って行った。
「あ....は...い....」私は、自信なさげに
返事をする
そして授業が終わり皆が思い思いに帰り支度をしている頃私は、南君に声を掛け
揺さぶった
「南君!」と呼んでみるが南君は、「う~ん」と唸るだけだった。
私は、南君が中々起きないので南君の寝顔を覗いて見た。
トレードマークの赤い髪が綺麗だなあとか
長い睫毛が下を向いてお人形さんみたいだなあとか場違いな事を思っていると・・・
パチリと唐突に南君が目を覚ました。
私は、びっくりして思わず身を引く
すると南君が「う~ん」と唸って大きく伸びをした。
南君が時計を見る
「もうこんな時間か~ ふわあ 帰ろうっと」南君が鞄を持って椅子から立ち帰ろうとした時にふと私と目が合った。
何故か目を丸くして驚いた顔をしている
私は、何で南君がびっくりしているのか
分からず首を傾げる。
「あれ?花岡さんまだ帰って無かったの?」「え?」私は、その質問に固まった。
「え~と先生に時間になったら南君を
起こしてって言われて 南君中々起きなかったから思わず南君の寝顔を見てました」
私は、何も考えず馬鹿正直にありのままに
詳しく事柄を述べていた。
途端に南君が・・・「プッ アッハハハ
何ソレ 普通 律儀に待つ 花岡さんって
のんびりしてるって言うか 面白いね~」
私は、目を瞬き南君を見る
「そんなに面白い事したかなあ それに
のんびりって言うなら南君が一番のんびりだと思うけど?」と私は、首を傾げる
そうして南君は、目尻に残った涙を拭いて
「じゃあのんびりした者同士 一緒に
帰る?」南君は、鞄を持って私の方を
振り返る。
私は、特に断る理由も無かったので
南君の提案に「うん!」と頷いた。
私と南君の交流は、こうして始まったの
だった。....。
君と僕
君と僕は、双子だ だから背丈もそっくり
顔もそっくり髪形もそっくりだ
だけれども性格は、全然違って
君は、ものぐさでいつも気怠い感じだ
勉強も運動もきっと人より出来るのに
君は、やる気を見せず 好きなマンガや
ゲームばかりして母や父に怒られてばかり
いる。
対して僕は、人の事ばかり気にして
いつも気疲ればかりして肩の力の抜き方が
分からず最後には、いつも倒れてしまって
父と母に心配ばかり掛けさせてしまう....
そんな自分にはぁとため息ばかり吐いていると君がやって来て僕に言う
「ねぇねぇ此処の問題どうやって解くん
だっけ?」そう言ってノートと教科書を
広げるので僕はペンを持って君に分かりやすく教える。
すると君が「ありがとうお礼にゲームの
ラスボスの倒し方を教えるね!」そう言って僕にゲームのコントローラを差し出す
僕は、ゲームが下手なので戸惑っていると
君が早く受け取ってと言わんばかりに
ゲームのコントローラを更に強く差し出す。
僕は、コントローラを受け取ると下手なので戦闘シーンに差し掛かると体が
コントローラと一緒に左右に動いて焦ってしまう君が「このアイテムを取ると一時的に
ステータスが強化されるよ!」と指示してくれるけど其処のアイテムまである場所まで
辿り着く前に敵にやられてゲームオーバーになってしまった。
何だか勉強するよりも疲れてしまったが
不思議と充実感があり嫌な感じは、しなかった。
隣に居る君を見ると.... ニコニコとしている僕とそっくりな顔があった。
それにつられて僕もいつの間にかニコニコと笑い返していて気付けば二人して
大きな声で笑い声を上げていた....
君と僕は、そっくりな様で全然違う
僕に出来無い事は、君が簡単に出来て
君が難しい事は、僕が教えてあげる事が
出来る
そうやって君と僕は、これからも生きて行くんだね!
二人仲良く一緒にね!!
夢へ!
夢へ向かって努力する そんな自分の姿に
間違いは、無いと思っていた。
しかし現実は、甘くなかった。
夢へ近付く為の試験に私は落ちてしまった
寝る時間以外は、勉強漬けの日々だったにも関わらず 本番のテストは何回も
見直しし ケアレスミスがないかダブルチェックまでしたのにダメだった.....
私は、がっくりと肩を落として家族の元へと戻った。
「ダメだった....」私は、小さく涙を流した
すると姉が私の肩を強く叩き言う
「あんたは、まだその夢になりたいの?」
私は、姉を見上げる様に顔を上げ
自分の気持ちを考えて見る
正直あんなに勉強してダメだったんだ
次も、出来るか分からない.... でも....
「うん なりたい!」私は、気持ちが
出るまま答える。
私の答えに姉は、口の端を上げて言った。
「じゃあ まだ頑張れるね!」
姉は、私の目を真っ直ぐ見てそう言った。
私は、姉の言葉にまだ頑張っても良いんだ
と言う想いが沸き立ち思いっきり首を縦に
振り「うん!」と頷いた。
こうして私は、来年の試験に向け姉と対策を立てる為に家に帰る足を姉と一緒に
早めたのだった。....