春恋
隣の席の南君は、いつも授業中 寝ている
スピー スピーと寝息を立てる物だから
先生にも丸聞こえだった
その寝息をスルーして授業を続ける
先生も居れば 南君に的確に注意する
先生もいた。今日は、後者の先生だった
スパーンと良い音がした 先生が教科書を
丸めて見事に南君の頭に命中させていた。
「南 先生の記憶が確かならお前この前も
寝てたよな 何か先生の授業は、
つまらないか」先生が軽くそんな事を
言っていた。
すると南君が悪びれもせず
「先生 俺 寝ないと死んじゃう病気みたい」とにっこり微笑んでいた。
他のクラスメイトがクスクスと笑う中
隣の席の私だけが何だかあたふたしていた
「そうかじゃあそのまま永眠してくれ」
先生の辛辣なツッコミが入るが
南君は、どこ吹く風と言わんばかりに
二度寝に入っていた。
先生は、呆れて隣の席の私を見て
「花岡!」「はい!」私は、反射的に
返事をする。
すると先生は、「時間になったら起こしてやれ!」と先生は、私にそんな事を言って
授業に戻って行った。
「あ....は...い....」私は、自信なさげに
返事をする
そして授業が終わり皆が思い思いに帰り支度をしている頃私は、南君に声を掛け
揺さぶった
「南君!」と呼んでみるが南君は、「う~ん」と唸るだけだった。
私は、南君が中々起きないので南君の寝顔を覗いて見た。
トレードマークの赤い髪が綺麗だなあとか
長い睫毛が下を向いてお人形さんみたいだなあとか場違いな事を思っていると・・・
パチリと唐突に南君が目を覚ました。
私は、びっくりして思わず身を引く
すると南君が「う~ん」と唸って大きく伸びをした。
南君が時計を見る
「もうこんな時間か~ ふわあ 帰ろうっと」南君が鞄を持って椅子から立ち帰ろうとした時にふと私と目が合った。
何故か目を丸くして驚いた顔をしている
私は、何で南君がびっくりしているのか
分からず首を傾げる。
「あれ?花岡さんまだ帰って無かったの?」「え?」私は、その質問に固まった。
「え~と先生に時間になったら南君を
起こしてって言われて 南君中々起きなかったから思わず南君の寝顔を見てました」
私は、何も考えず馬鹿正直にありのままに
詳しく事柄を述べていた。
途端に南君が・・・「プッ アッハハハ
何ソレ 普通 律儀に待つ 花岡さんって
のんびりしてるって言うか 面白いね~」
私は、目を瞬き南君を見る
「そんなに面白い事したかなあ それに
のんびりって言うなら南君が一番のんびりだと思うけど?」と私は、首を傾げる
そうして南君は、目尻に残った涙を拭いて
「じゃあのんびりした者同士 一緒に
帰る?」南君は、鞄を持って私の方を
振り返る。
私は、特に断る理由も無かったので
南君の提案に「うん!」と頷いた。
私と南君の交流は、こうして始まったの
だった。....。
4/16/2025, 5:24:07 AM