Saco

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1/9/2025, 10:34:32 AM

星のかけら

「これは、星のかけらだよ!」そう言って
やんちゃな近所のお兄ちゃんは僕につやつやに磨き抜かれたキラキラした丸い石を見せてくれた。

石は、最初 青みがかって見えた
けれど光の加減で赤みがかって見えるし
黄色味を帯びている様にも見えた。

あの時 お兄ちゃんが掌の上で見せてくれたキラキラした石が本当に星のかけらだったのかは、分からない....

けれど体が弱くいつもベッドの上で窓から
外の景色を見て憧れを募らせていた僕に
対してのお兄ちゃんなりの優しさだったのかもしれない

それでも僕は、あの時お兄ちゃんの手の中で輝いていた石が 僕が憧れた景色の全てだと確信出来る程 あの日の光景は僕の
胸に焼き付いて離れない....

それにお兄ちゃんなら夜空から本当に星を
取ってきても あり得る事だと思えてしまう

だってあの時 僕に手を広げたお兄ちゃんの笑顔は、星空の様に輝いて とても
誇らしく見えたから 僕は、お兄ちゃんの
その笑顔を誰かに自慢したいと心の中で
強く思えたのだった....。

1/8/2025, 10:41:53 AM

Ring Ring...

輪廻転生を繰り返す 生と死の狭間

メビウスの輪 人の営み あらゆる流れ
の循環 全く同じ流れの様に見えて
少しずつ変わって行く 風景 日常

ほんの些細な出来事 葉っぱの色が少しずつ 色付いて行く様な 目を凝らしていないと見逃してしまうそんな小さな現象
だけど.... 私達は....Ringの中で
繋がっている 全くの他人同士でも
Ring(輪)の中で生命を燃やし続けている

一人 一人かけがえのない 変わらない命を 今日も私達は、精一杯 皆
動かし続けているのだ....。

1/7/2025, 10:33:39 AM

追い風

躊躇う足を 震える足を 手助けする様に

追い風が私の背中を押す。

足がガクガクと痙攣する。

嗚呼 あの人が私の前を通り過ぎて行く
その姿を見るだけで私の心臓の鼓動は
ドクンドクンとけたたましく脈打って行く

私の足が無意識に後退して行く
すると また追い風が私の心を揺らす様に
私の体を押し上げる。

そうしてその反動で私は、とうとう一歩を
踏み出し....「あっ....あのっ!」声が
ひっくり返る。

私の聞きづらい声にそれでもあの人は
振り向いた。

顔を見られたらもう逃げられない....
私は、顔を熱く火照らせ俯きながら
手に持っていた手紙をその人に勢い余って
差し出す。
「こっ....これ....その....」私は、目を瞑り
「ひっ....暇な時で良いので気が向いたら
....かっ....軽く目を通して下....さい....」

私は、頭の中で何を言ってるんだ私は~と
思いながら恥ずかしさで気が付いたら
全速力で駆け出していた。

その人の顔も見ずに....ダッシュで踵を
返していた。

我に返った私は、終わったと心の中で
嘆いたのだった....



その後の結果は.... 私の羞恥心が増すばかりなので割愛させて頂くが.....

何か一つ言葉を添えるとするなら....
あの時背中を押してくれた気まぐれな
お節介な追い風さんには、感謝の念が
絶えない 本当にありがとうございました。❤

10/31/2024, 1:33:57 AM

愛言葉の続き

懐かしく思うこと

私が小さい頃 お父さんとお母さんが
私に言った。

『シズクは、好きな人は、居るのかい?』
お父さんが私に聞く

『貴方シズクにその質問は、まだ早いわよ』お母さんが可笑しそうにお父さんの
言葉に笑う

『好きな人?私は、お父さんとお母さんが
一番好きだよ!!』
その私の言葉にお父さんとお母さんは
クスクスと笑い二人揃って
『『ありがとう!!』』とお礼を言ってくれる。

『もちろん僕だってティアとシズクが
一番好きだよ! でもいつかシズクにも 
僕達より好きな人が出来る それは僕達に
とってとても嬉しい事なんだ 何より
シズクの可愛さを分かってくれる人と僕は
シズクの可愛さについて一晩中語り合いたいんだ』
『もう貴方ったら仕方無い人ねぇ』

そう言って、楽しそうに笑う二人がシズクは大好きだった。





(懐かしいなぁ....)シズクは、感慨深げに
イクスとティアが眠っているお墓を見つめ
手を合わせる。

(お父さん お母さん 今日またルークさんとも話ました。ルークさんに一緒に
お父さんとお母さんのお墓参りに行こうと
言ったら一緒に付いて来てくれて
バインダー局の皆も一緒です これルークさんがくれた花束ですお母さんが大好き
だった黄色いマリーゴールドです
ルークさんは、私と少しお話ししたら
すぐ帰っちゃったけど.....何だか前会った時よりルークさんの笑顔が柔らかくなってて
良かったです....)

シズクは、お墓に手を合わせた
そうしてイクスとティアに自分は
今 幸せですと報告する

そうしてシズクが報告し終わって立ち上がり振り返るとシズクの大好きな人が
ぶっきらぼうな顔でシズクの事を待って
いた。
「終わったか.....」とハイネが不機嫌な
目付きがつり上がった表情で問いかける
「うん!」しかしシズクは、知っている
ハイネは、本当は、とても優しい事を....

シズクが泣いている時優しく抱き締めてくれる事も.....

シズクが転びそうになった時必ず
受け止めてくれる事も....

(お母さん お父さん 私 この世で
一番大好きな人が出来たよ.....)

空に向かってシズクは、懐かしい二人に
心の中でそう呼び掛ける。

「ほら ミーナとナイトが待ってるぞ!」
ハイネの促しにシズクは少しだけハイネに
甘えたくなって..... 意を決してこんな
お願いをしてみる。

「あっ.....あの....ハイネ....手繋いで良い」
シズクが真っ赤になってお願いしてみると
少しの間があって....それから優しくシズクの手にハイネの手が触れてシズクより
大きな手でシズクの手を包んでくれる。

シズクがハイネの方を見るとハイネは横を
向いていてシズクに表情を見せてくれない
「一々言って来るんじゃねェ繋ぎたいなら
勝手に繋げよ!」そうぶっきらぼうに
ハイネは言うがシズクから手を離したいと
思うまで決して自分からは、シズクの手を
離さない シズクにはそれが嬉しくて嬉しくてたまらない

こうしてミーナとナイトのところに戻っても二人は手を繋いだままだった。

お互いの体温を感じて体も心もぽかぽかと
暖かくなって行く

これからもシズクの周りでは、色んな事が
起こるだろう
楽しい事ばかりじゃ無く....辛い事
悲しい事苦しい事も生きていれば起こるかもしれない.....
だけど....ミーナ ナイト ハロルド マリアの変わらない優しさそしてハイネの
不器用なこの温もりさえあればシズクは 
どんな事でも乗り越えられると胸の中で
強く信じられるのだった....。



                (完)

10/30/2024, 6:36:43 AM

紅茶の香り(番外編)24の続き

もう一つの物語(番外編)25

●シズクとシズクちゃん

シズクが目を開くとそこは、いつも皆と
いる場所では、ありませんでした。

(此処は、何処だろう?)

見渡すと何処かの森の中でした。
シズクは、木々の間の光を頼りに森を
出ました。
すると.... パチパチとシズクは、丸い目を
瞬きました。

シズクの顔を見てパチパチとシズクちゃんも同じ様に瞬きました。

「?」とシズクが疑問符を浮かべて首を
傾げると「?」と同じ様にシズクちゃんも
首を傾げます。

(この子は、誰だろう....?)自分と顔が
そっくりなけれど小柄な自分よりさらに
小さい5歳位の女の子がシズクの事を
見つめていました。

シズクがどうしようかとこわごわとしていると....シズクちゃんがパッと顔を
明るくして「お姉ちゃんだあれ?お名前は」シズクは、ビクッと肩を震わせ
「シズク....」と何とか答えます

「シズク!私と同じ名前」シズクちゃんは、お揃いの名前なのが嬉しくなって
シズクの手を繋ぎます。
シズクは、勇気を出してシズクちゃんに
聞いてみます。
「あの....此処は、どこ....ですか?」

「此処は私のお家の庭だよ!今皆と
パーティーをしてるの私は、お花を摘んでたの.... お姉ちゃんも私の家でパーティーしよう!!」とシズクちゃんは、シズクの
手を引っ張ります
シズクは、どうしたらいいか分からず
シズクちゃんに手を引っ張られるまま
シズクちゃんの家に行きました


そうしてシズクちゃんが皆にシズクを
紹介します。
その面々を見てシズクは、心の中で
驚きを隠せませんでした。

(ハイネ....ミーナ....ナイト....ハロルド局長....マリアさん...)シズクの知っている
人達に皆 顔がそっくりでした。

シズクの心中を知ってか知らずか
シズクちゃんは、元気良くシズクを
皆に紹介していました。

紹介された灰色猫ハイネ達も目を丸くして
びっくりしていました。

にこにこしているのはシズクちゃんだけ
です

そうしてシズクは、灰色猫ハイネ達に自分の状況を説明し気が付いたら此処に居た事を自分の拙い言葉で一生懸命説明しました。

「なるほど」シズクの話を聞き終わり
魔法使いハロルドが言いました

「結論から言おう君が居た森の中を逆方向に進めば君は、元居た場所に帰れる」

「どう言う事だよ!」灰色猫ハイネが
魔法使いハロルドに質問します

「この世界は、私達には、現実だが別の
次元に住んでいる私達には、唯の夢だからさ!」灰色猫ハイネ 帽子屋ナイト
白兎ミーナは、首を傾げます。

「私達の住んでいる世界には、それぞれ
色んな世界がある 同じ様に別空間にも
それぞれの世界がある そこには私達と
同じ魂を持つが全く違う人達が住んでいる
んだ」

つまりシズクが目を覚ませばシズクの居た
世界に帰れるらしい
目を覚ます為には、あの森の道を引き返さなければならないらしい

シズクは、帰れると知って安堵した。
(良かった.....)

そうしてシズクは、シズクちゃん達皆に
いろいろともてなされパーティーにも
少しだけ参加して元の世界に帰る為
またシズクちゃん達のお家の庭の森に
入ります。

途中シズクちゃんが状況が分からずシズクと一緒に森の中に入ろうとした時は、
灰色猫ハイネが慌ててシズクちゃんを
抱き上げ引き留めます。

「お前は、こっちだろう!」
「? ?」シズクちゃんは、訳が分からず
疑問符を浮かべます。

「この道を真っ直ぐ行けば帰れるからね」
と魔法使いハロルドが森の道を真っ直ぐ
指差します。

「はい....いろいろありがとうございました....」シズクは、ぺこりと頭を下げました

「シズクお姉ちゃん今度は、いつ遊びに
来れる?」シズクちゃんはすっかりシズクに懐いていました。
「えっとぉ~」シズクは、シズクちゃんの
問いかけに答える事が出来ません

「もう会えねぇよ!こいつと俺らは
違う所に住んでんだから!」灰色猫ハイネが
シズクちゃんを窘めます

「もう会えないの....ぐすっ....ふぇっ....
うう~」シズクちゃんは、灰色猫ハイネの
腕の中で泣き出してしまいました。

「ほら お前最後なんだからちゃんと
バイバイしろ」灰色猫ハイネがシズクちゃんに言い聞かせます。

「ぐすっ....シズクお姉ちゃんこれ私が摘んだお花シズクお姉ちゃんにあげる元気でね」シズクちゃんは、泣きながらシズクに
バイバイと手を振りました。

「ありがとう....シズクちゃんも元気でね」
シズクも手を振り返し元来た道を帰って行きました。







そうしてシズクは、目を覚まし....

パチクリと瞬きをして....
「おはようシズク!」とにこにことしてる
ナイトがいて.....
「暖かいと眠くなっちゃうわよね!」と
気遣ってくれるミーナがいて....
「ったくいつまで寝てんだ馬鹿シズク」
不機嫌な顔のハイネがいる

そう此処が私の世界 ふとシズクは手の中で自分が握り締めている物を見た
自分の手の中に小さなお花が握り締められていた。

(夢じゃ無かったのかなあ....)シズクは、
自分にそっくりな小さな女の子の笑顔を
思い出す。

あの子には、あの子の物語(人生)があり
私には私の物語(世界)があるんだ。
どっちが良いとかでは無い....
唯 願わくばもう一人の私が幸せであります様に....シズクは、シズクちゃんがくれた
小さな花を見てそう思ったのだった。

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