追い風
躊躇う足を 震える足を 手助けする様に
追い風が私の背中を押す。
足がガクガクと痙攣する。
嗚呼 あの人が私の前を通り過ぎて行く
その姿を見るだけで私の心臓の鼓動は
ドクンドクンとけたたましく脈打って行く
私の足が無意識に後退して行く
すると また追い風が私の心を揺らす様に
私の体を押し上げる。
そうしてその反動で私は、とうとう一歩を
踏み出し....「あっ....あのっ!」声が
ひっくり返る。
私の聞きづらい声にそれでもあの人は
振り向いた。
顔を見られたらもう逃げられない....
私は、顔を熱く火照らせ俯きながら
手に持っていた手紙をその人に勢い余って
差し出す。
「こっ....これ....その....」私は、目を瞑り
「ひっ....暇な時で良いので気が向いたら
....かっ....軽く目を通して下....さい....」
私は、頭の中で何を言ってるんだ私は~と
思いながら恥ずかしさで気が付いたら
全速力で駆け出していた。
その人の顔も見ずに....ダッシュで踵を
返していた。
我に返った私は、終わったと心の中で
嘆いたのだった....
その後の結果は.... 私の羞恥心が増すばかりなので割愛させて頂くが.....
何か一つ言葉を添えるとするなら....
あの時背中を押してくれた気まぐれな
お節介な追い風さんには、感謝の念が
絶えない 本当にありがとうございました。❤
1/7/2025, 10:33:39 AM