紅茶の香り(番外編)24の続き
もう一つの物語(番外編)25
●シズクとシズクちゃん
シズクが目を開くとそこは、いつも皆と
いる場所では、ありませんでした。
(此処は、何処だろう?)
見渡すと何処かの森の中でした。
シズクは、木々の間の光を頼りに森を
出ました。
すると.... パチパチとシズクは、丸い目を
瞬きました。
シズクの顔を見てパチパチとシズクちゃんも同じ様に瞬きました。
「?」とシズクが疑問符を浮かべて首を
傾げると「?」と同じ様にシズクちゃんも
首を傾げます。
(この子は、誰だろう....?)自分と顔が
そっくりなけれど小柄な自分よりさらに
小さい5歳位の女の子がシズクの事を
見つめていました。
シズクがどうしようかとこわごわとしていると....シズクちゃんがパッと顔を
明るくして「お姉ちゃんだあれ?お名前は」シズクは、ビクッと肩を震わせ
「シズク....」と何とか答えます
「シズク!私と同じ名前」シズクちゃんは、お揃いの名前なのが嬉しくなって
シズクの手を繋ぎます。
シズクは、勇気を出してシズクちゃんに
聞いてみます。
「あの....此処は、どこ....ですか?」
「此処は私のお家の庭だよ!今皆と
パーティーをしてるの私は、お花を摘んでたの.... お姉ちゃんも私の家でパーティーしよう!!」とシズクちゃんは、シズクの
手を引っ張ります
シズクは、どうしたらいいか分からず
シズクちゃんに手を引っ張られるまま
シズクちゃんの家に行きました
そうしてシズクちゃんが皆にシズクを
紹介します。
その面々を見てシズクは、心の中で
驚きを隠せませんでした。
(ハイネ....ミーナ....ナイト....ハロルド局長....マリアさん...)シズクの知っている
人達に皆 顔がそっくりでした。
シズクの心中を知ってか知らずか
シズクちゃんは、元気良くシズクを
皆に紹介していました。
紹介された灰色猫ハイネ達も目を丸くして
びっくりしていました。
にこにこしているのはシズクちゃんだけ
です
そうしてシズクは、灰色猫ハイネ達に自分の状況を説明し気が付いたら此処に居た事を自分の拙い言葉で一生懸命説明しました。
「なるほど」シズクの話を聞き終わり
魔法使いハロルドが言いました
「結論から言おう君が居た森の中を逆方向に進めば君は、元居た場所に帰れる」
「どう言う事だよ!」灰色猫ハイネが
魔法使いハロルドに質問します
「この世界は、私達には、現実だが別の
次元に住んでいる私達には、唯の夢だからさ!」灰色猫ハイネ 帽子屋ナイト
白兎ミーナは、首を傾げます。
「私達の住んでいる世界には、それぞれ
色んな世界がある 同じ様に別空間にも
それぞれの世界がある そこには私達と
同じ魂を持つが全く違う人達が住んでいる
んだ」
つまりシズクが目を覚ませばシズクの居た
世界に帰れるらしい
目を覚ます為には、あの森の道を引き返さなければならないらしい
シズクは、帰れると知って安堵した。
(良かった.....)
そうしてシズクは、シズクちゃん達皆に
いろいろともてなされパーティーにも
少しだけ参加して元の世界に帰る為
またシズクちゃん達のお家の庭の森に
入ります。
途中シズクちゃんが状況が分からずシズクと一緒に森の中に入ろうとした時は、
灰色猫ハイネが慌ててシズクちゃんを
抱き上げ引き留めます。
「お前は、こっちだろう!」
「? ?」シズクちゃんは、訳が分からず
疑問符を浮かべます。
「この道を真っ直ぐ行けば帰れるからね」
と魔法使いハロルドが森の道を真っ直ぐ
指差します。
「はい....いろいろありがとうございました....」シズクは、ぺこりと頭を下げました
「シズクお姉ちゃん今度は、いつ遊びに
来れる?」シズクちゃんはすっかりシズクに懐いていました。
「えっとぉ~」シズクは、シズクちゃんの
問いかけに答える事が出来ません
「もう会えねぇよ!こいつと俺らは
違う所に住んでんだから!」灰色猫ハイネが
シズクちゃんを窘めます
「もう会えないの....ぐすっ....ふぇっ....
うう~」シズクちゃんは、灰色猫ハイネの
腕の中で泣き出してしまいました。
「ほら お前最後なんだからちゃんと
バイバイしろ」灰色猫ハイネがシズクちゃんに言い聞かせます。
「ぐすっ....シズクお姉ちゃんこれ私が摘んだお花シズクお姉ちゃんにあげる元気でね」シズクちゃんは、泣きながらシズクに
バイバイと手を振りました。
「ありがとう....シズクちゃんも元気でね」
シズクも手を振り返し元来た道を帰って行きました。
そうしてシズクは、目を覚まし....
パチクリと瞬きをして....
「おはようシズク!」とにこにことしてる
ナイトがいて.....
「暖かいと眠くなっちゃうわよね!」と
気遣ってくれるミーナがいて....
「ったくいつまで寝てんだ馬鹿シズク」
不機嫌な顔のハイネがいる
そう此処が私の世界 ふとシズクは手の中で自分が握り締めている物を見た
自分の手の中に小さなお花が握り締められていた。
(夢じゃ無かったのかなあ....)シズクは、
自分にそっくりな小さな女の子の笑顔を
思い出す。
あの子には、あの子の物語(人生)があり
私には私の物語(世界)があるんだ。
どっちが良いとかでは無い....
唯 願わくばもう一人の私が幸せであります様に....シズクは、シズクちゃんがくれた
小さな花を見てそう思ったのだった。
10/30/2024, 6:36:43 AM