Saco

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10/16/2024, 12:33:05 AM

鋭い眼差し

隣の席に座る君がさっきから目を吊り上げて うんうん唸っていた。
「なぁこれ何て読むんだ?」君は、自分の
教科書を僕の方へ押し付ける。

その光景を見て 僕は、ため息を吐く

「ねぇ 今日は、もう早退しなよ!
そんな状態じゃあ授業もままならないでしょ!」
「そうだけど...」君は、少し逡巡する様に
視線を彷徨わせ 「分かったよ....」と
渋々頷く そうして席を立ち
「職員室行って来る!」
こうして視力が悪くいつも眼鏡をしている
友人が 今日は、眼鏡を誤って壊してしまい裸眼で登校してきた。

予備の眼鏡は、持っておらず
コンタクトは、目がゴロゴロするとかで
性に合わず今までその一回しか嵌めた事が
ないらしい....

なので今日の午前中の授業は友人はずっと
目付きを窄めて眉を吊り上げていたので
唯でさえ友人は、元々の容姿が吊り上がった目元の為事情を知らない第三者からは
四六時中 怒っている様に見える
友人にそんなつもりが無いのは重々承知なのだがクラスメート達が友人と目が合うたび びくりと肩を震わせるので
さすがに友人も周りの状況に気付いたらしく「今日 一日 裸眼で頑張る」と言っていた友人も 早々にその決意を諦め
午後は、早退し新しい眼鏡を作りに行くと
言う事だ.... しかし友人は、顔に似合わず
学校 大好き人間で 今まで無遅刻
無欠席 無早退だった為 踏ん切りが
付かなかったらしい....
(全くしょうがないなあ....)僕は頬杖を
付きながら窓から正門から出ていく
友人の後ろ姿を見ながら思う
(そう言う所が彼の可愛くて面白い所だよなあ....)と自慢の友人の事を思い僕は
午後の授業に戻った。 

10/14/2024, 10:55:24 PM

高く高く

眩しい青空の下 白い軌跡が青空の上を
通過して行く 小気味良い金属がカンッと
当たる音 そうしてなだらかな放物線を
描いて白球が空を高く高く飛んで行く
気が付けばフェンスを越える特大ホームランが青色の空の中に白く輝いていた。

10/14/2024, 12:03:15 AM

子供のように

子供のように燥ぐ君を見て微笑ましい様な
羨ましい様な気持ちになる

そりゃあ いつまでも子供のままで居られ無いのは分かってる

けれどふと何かに追われていると
あの頃の無邪気で無鉄砲で怖い物知らずで
楽しいと言う気持ちだけが自分を動かす
原動力だったあの頃が一番無敵だったのでは無いかと思う

なんて公園で無邪気に子供と全力で遊ぶ
君の姿を見ているとあの頃の自分も其処に
混ざって一緒に追い掛けっこをしている
幻が浮かぶ

その内シャツを汗だくにして僕が座っているベンチの隣に腰掛けて君は言う
「いやあ~やっぱりちょっと動くだけで
疲れるわ~年かなあ」とTシャツの襟の近くを持ち上げてパタパタさせて首元に風を
送りながら君がそんな事を言うから
思わずさっきまでの子供の様な君の姿の
ギャップと相まって僕は笑いが込み上げてきて大きな声でくすくすと笑ってしまった
君は、首を傾げて「何~笑ってんだよ!」と聞いて来たけど僕は笑いが収まるまで
説明することが出来なかった
僕の笑いが収まるまで君は、頭に疑問符を
浮かべ首を傾げ続けていた。

10/12/2024, 10:42:57 PM

放課後

キーンコーン カーンコーンと
下校のチャイムが鳴る
一斉に下校する者
放課後の部活に向かう者
寄り道の相談をする者さまざまだ
学校が終わっても私達の日常は、続いて行く そんな日常風景を窓から目に焼け付けながら 私は、愛用のカップに入れたコーヒーを一口啜り 自分の職員室にある
デスクに戻り椅子に座り大きく伸びをして
テストの採点作業に戻った。

10/12/2024, 12:25:28 AM

カーテン

しくしくとカーテンの裏で君が泣いている
此処なら誰にも見つからないと思っているのか それでも周りの気配に気を配っているのか嗚咽を堪える様では無いけれど
それでもさめざめと小さく泣き
はらはらと小粒の涙を手で覆い隠して
君は、泣く そこには、悔しいやら
寂しいやらも詰まっているのだろう
一人で泣きたくてカーテンの裏を選んだくせに一人のままで居るのは、苦手な君
だから今日も僕は、いや これから
何度だって君が泣いていたらどこに居たって探しに行く だから気が済むまで泣いて
良いよ 必ず君を一人になんてさせないから そうしてカーテンの裏で泣きじゃくって気が済むまで泣いて泣き止んだ君は、
恥ずかしそうにカーテンの裏から顔を出して僕に笑った。

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