Saco

Open App

鋭い眼差し

隣の席に座る君がさっきから目を吊り上げて うんうん唸っていた。
「なぁこれ何て読むんだ?」君は、自分の
教科書を僕の方へ押し付ける。

その光景を見て 僕は、ため息を吐く

「ねぇ 今日は、もう早退しなよ!
そんな状態じゃあ授業もままならないでしょ!」
「そうだけど...」君は、少し逡巡する様に
視線を彷徨わせ 「分かったよ....」と
渋々頷く そうして席を立ち
「職員室行って来る!」
こうして視力が悪くいつも眼鏡をしている
友人が 今日は、眼鏡を誤って壊してしまい裸眼で登校してきた。

予備の眼鏡は、持っておらず
コンタクトは、目がゴロゴロするとかで
性に合わず今までその一回しか嵌めた事が
ないらしい....

なので今日の午前中の授業は友人はずっと
目付きを窄めて眉を吊り上げていたので
唯でさえ友人は、元々の容姿が吊り上がった目元の為事情を知らない第三者からは
四六時中 怒っている様に見える
友人にそんなつもりが無いのは重々承知なのだがクラスメート達が友人と目が合うたび びくりと肩を震わせるので
さすがに友人も周りの状況に気付いたらしく「今日 一日 裸眼で頑張る」と言っていた友人も 早々にその決意を諦め
午後は、早退し新しい眼鏡を作りに行くと
言う事だ.... しかし友人は、顔に似合わず
学校 大好き人間で 今まで無遅刻
無欠席 無早退だった為 踏ん切りが
付かなかったらしい....
(全くしょうがないなあ....)僕は頬杖を
付きながら窓から正門から出ていく
友人の後ろ姿を見ながら思う
(そう言う所が彼の可愛くて面白い所だよなあ....)と自慢の友人の事を思い僕は
午後の授業に戻った。 

10/16/2024, 12:33:05 AM