Saco

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10/11/2024, 12:23:33 AM

涙の理由

最初は、分からなかった『涙』と言う
物が私には、涙を流す機能が無いから
そう言う風にプログラムされてないから

博士は言った「君は、まずいろいろな経験を積んで外部からいろんな刺激を受けるんだそうすればたとえ涙を流す事が出来なくてもいろいろな事が分かるはずだよ」
(いろいろな事? いろいろな事って何?)
訳が分からなかったが博士が言うなら
従わなければならない だって私は博士に
作られたのだから命令なら実行しなければ
ならない こうして私は博士の命令通り
いろいろな物を見たり聞いたり
博士以外の人間とも触れ合った。


そうしてその命令を実行して30年の時が
過ぎたいつしか仲良くなった人間達も
年を取り皆『死』と言う物を迎えた。

私は、『死』と言う物も具体的には
分からなかった。
唯 『死』と言う物を迎えたら皆消えて行く でもそれは、私達のいわゆる『壊れた』とは、違うらしい
死んだら修理して直せば良いと思っていた
でも人間の体は、修理して直す事は
出来なかった。
治療して心臓を動かしたり怪我に絆創膏や
包帯をしたり病気をしたら薬を飲んだり
そう言う事は、私達の修理とは微妙に違うらしい
私達は、部品さえあれば修理して完璧に
体を直す事が出来るけれど人間の治療は
違うらしい手術と言う治療を施しても
時には感染と言う物をしない様に人体の一部を切る事もあるらしい

病気をして薬と言う物を飲んでも時には
それは、病気の進行を遅らせるだけで
完璧には、直らない事もあるらしい
そう常に人間は、生きると言う行為をする
だけで『死』と言う物に直面する

それなのに人間は何故立ち上がろうとするのだろう いや 絶望する人間も
確かに存在する でもそんな時は他の人間がその人間を励まし支えようとする

そんな姿の人間を見ると何て言うんだろう
私のプログラムのデータの中では見つけられない言葉で上手く表現出来ないが....
そんな姿の人間を見ると何だか一層輝いて
見えるのだ....
ふいに気が付くと私の目からオイルが流れた。

10/10/2024, 6:50:18 AM

きっと明日もの続き

ココロオドル

2月14日 バレンタインデー
シズクは、ミーナと一緒にチョコの材料を
買いに来ていた
いっぱいあって一つに決められない
(う~ん う~ん....)シズクは、悩んでいた
去年までは、皆に渡すのが楽しくてワクワクしていた。
でも今年は、その中にドキドキも混じっていた。
ふと顔を上げるとバレンタインデーの広告が目に付いた。
【本命チョコを貴方に....】
(本命チョコ....?)そんな事 去年までは
考えていなかった。
でも今年は、本命チョコと言う単語を
意識してしまう....
そう思うとシズクの頬は自然と赤くなって
しまう....シズクは、目を瞑り
深呼吸する。
(ハイネに喜んで貰えます様に....)
去年のバレンタインデーハイネは
シズクのチョコを家に持って帰って
ゆっくり食べてくれた
他にもいっぱいチョコを貰って食べてた。
つまりそれほどハイネはチョコが好きなんだ だから美味しく食べて貰いたい....
でもどうすればハイネが喜ぶ本命チョコが
作れるだろう....
「シズクどれ買うか決まった?」ミーナが
声を掛けてくれるがシズクは決めかねていた。
「あ....いっぱいあって迷っちゃって....
ハイネ チョコ好きだから美味しく作り
たいけど....手作りだと失敗しちゃうかなあ
でも....手作りあげたい....う~ん....」

実際は、チョコが好きなのでは無くて
シズクがくれるチョコが好きなのだが
そんな細かい機微には、気付かない
シズクなのだった。


一方ハイネ達男性陣は....

ハイネは、ナイトにある相談をしていた
「あのさ....その....女ってどう言う物
あげれば喜ぶと思う?...」
ハイネがナイトにぼそりと呟く
「ハイネ シズクに何かあげたいの?」
ナイトの率直の質問にハイネはバツが悪くなり俯く
「あ...あげたいって言うか....その....
いつも貰ってばっかだし....
ホワイトデーもミーナとか他の奴らと
纏めてお菓子とかだったし....今年は
その....こっ....恋人として何かあげた方が
良いかなあと 少し....思っただけで...」
「つまりシズクに個人的なプレゼントが
したいと」ナイトの指摘にハイネは睨む様にナイトを見る。
「っ.....まあ....そんなとこだよ....」
ナイトは、そんなハイネの様子にくすくすと笑う
「そんな考え込まなくてもシズクはハイネから貰ったものなら何でも嬉しいと思うよ
ハイネだってそうでしょう?」
ハイネはナイトからの問い掛けに視線を
逸らし「ちなみにお前はミーナにどんな
物あげてんだよ参考までに聞いてやるよ」
ハイネがちらちらとナイトの方を見る

「僕?僕は普通だよアクセサリーとか
服とか小物とか」

「女のお洒落なんてわかんねえし....」
「一緒に買いに行けば良いじゃない
シズクが欲しいって言ってた物を買ってあげれば」なんてナイトなりにハイネに
提案してくれるものの ハイネにはそれは
出来なかった シズクを前にしたら
恥ずかしくなって素直に買ってやるなんて
言えないハイネだった。

こうして街を一人でブラブラしてめぼしい
物を探していたハイネだがふと目に
留まった物がシズクらしくて思わず
買ってしまったハイネだったが....
(どうしよう....)買ってから恥ずかしさが
込み上げて来て買った事を後悔する
ハイネだった


そして何んやかんやでバレンタインデー当日 

毎年の様に皆に配り終わったシズク
後は、ハイネだけなのだが 何だか
緊張して未だに話し掛けられずにいた

一方のハイネもプレゼントを渡す機会を
逃してしまい未だ渡しそびれていた

そんな二人を心配そうに覗き込む他の面々
これは二人が両想いになってから
他の面々が気付いた事だが もしかして
ハイネとシズクって一見すると
素直と意地っぱりで性格が正反対だが
根本的な所は、もしかしてそっくりなのではと....


そうしてもじもじしながら意を決して
ハイネに話し掛けるシズク
話し掛ける前にもう一度目を瞑り
深呼吸 そして「ハイネ....これ....」
おずおずとシズクはハイネの前に
ラッピングしたチョコを差し出す
ハイネは去年みたくまた言葉に詰まるが
勇気を出してシズクにお礼を言う
「ああ....ありがとな....」但し顔が真っ赤に
なっている為 俯いたままだった
「あ....開けても良いか....」ハイネが
シズクに尋ねる様に了承を取る。
「うん.....」シズクが恥ずかしそうに
頷く 中を開けるとチョコケーキが
入っていた
「あっ....あのね....ハイネ....チョコ好きだと思ったからそのケ....ケーキを作ってみたの....で....でも....大きいかもしれないから
む....無理しないで 他の人と分けて食べてね 手作りなんてしたから形がその....
大きくなりすぎちゃってごめんなさい....」
シズクが涙目でハイネに謝る。
ハイネは手づかみでケーキを頬張りながら
シズクに言う 「誰にもやらねぇよ馬~鹿
俺が貰ったんだから俺が全部食うに決まってんだろう!!」ハイネは、指に付いた
チョコを舐め取りながらシズクに
向かって不敵に笑う

「で....でも....ハイネ全部食べたら
お腹壊しちゃうよ....」

「壊さねぇよ....意地でもなぁ....!!」
「? ?」シズクはハイネの言葉に
キョトンとして頭に疑問符を浮かべる。
ハイネはシズクのキョトンとした表情に
口元を緩ませるとシズクの手の中に小さな
包みを握らせる そうしてシズクの耳元で
「ハッピーバレンタイン」とぼそりと呟く
「ハイネ....これ....」シズクはハイネに
問い掛けるがハイネはそれ以上何も
言わない シズクは小さな包みを手の中で
ゆっくり丁寧に開ける
中に入っていたのは可愛らしい小花が付いたヘアピンだった
シズクは丸い目でハイネを見上げる
ハイネはシズクの視線を避けるように顔を
逸らし「その....何だ....いつも貰ってばっかじゃ悪いだろう その....人として....
偶々通り掛かったら 偶々見つけて
偶々安かったから買っただけだから
要らなかったら別に捨てても....」
ハイネが最後まで言い終わらない内に
シズクがハイネに抱き付いた。

「....ありがとう....大切にするね....」
ハイネはシズクの嬉しそうな顔から
視線を逸らしそっぽを向いた。

こうして二人の心は幸せいっぱい
胸いっぱいで心踊っていた。

10/9/2024, 6:51:31 AM

別れ際に(番外編)22の続き

束の間の休息(番外編)23

 ●灰色猫ハイネとシズクちゃんの
  ひなたぼっこ


ぽかぽかのお日様の光を浴びて
シズクちゃんと灰色猫ハイネは
ひなたぼっこをしていました。
さっきまで二人で草むしりをしていたので
しばしの休息です。
ハイネは、久々の猫型に姿を変え
シズクちゃんの隣ですやすやと眠っていま
した。
シズクちゃんもハイネの隣で横向きに
寝ていました。
二人は、綺麗に揃えて寝息を立てて
いました。

しばらくするとパチリとシズクちゃんが
目を覚ましました。
そうしてぐぅ~とお腹が鳴りました。
そろそろお昼の時間です。
シズクちゃんは、ハイネが作ってくれた
お弁当をバスケットごと持って来て
レジャーシートにお弁当を並べました。
そしてハイネに呼びかけます
「ハイネお昼ご飯だよ!!」しかしハイネはよっぽど疲れているのか深く眠っていました。
シズクちゃんは、ハイネが起きるまで
待ちます 食事は、皆で食べた方が
美味しいからです。
シズクちゃんがハイネが起きるのを待っていると どこからかリスが顔を出し
レジャーシートに置いてあったお弁当の
ミニおにぎりを....「あっ....」ひょいと抱えて持ち去ります。

「リスさん待って....それハイネと食べる
おにぎりなの.... 待って....」シズクちゃんの声も虚しくリスは、自分の巣穴におにぎりを持っていきます。
シズクちゃんはリスを追い掛けおにぎりを
持って行かれない様にリスの巣穴に
近づきました。
普通のリスの巣穴よりは、大きい巣穴
でした。
シズクちゃんは巣穴を覗き込むと
すってんころころと穴の中に落ちてしまいました。
幸い滑り台の様に滑って落ちて来た為
怪我は、ありませんでした
シズクちゃんは、丸い瞳をパチクリとさせ
リスさんに話し掛けます
「リスさんおにぎりを返して下さい」と
シズクちゃんが言いましたがリスの手に
もうおにぎりは、ありませんでした
そうしておにぎりの代わりにリスが
シズクちゃんにくれた物は.....




そしてシズクちゃんに遅れてハイネも
目を覚ましました。
(ふああっ 良く寝た あれ?)
ハイネが目を覚ますとシズクちゃんが
いませんでした。
(あいつどこ行った.....)ハイネは人型に
なるとシズクちゃんを探しに行きました
「お~い!」ハイネが呼びかけると
シズクちゃんが目を丸くして木の根元に
座っていました 見ると服が所々汚れて
いました。
「お前どうしたんだ?」ハイネはシズクちゃんを抱き上げました。
シズクちゃんが言う事には....
「あのね....リスさんが此処まで送ってくれ
たの....でもね....ハイネが作ったおにぎり
リスさんが美味しいから食べちゃったの
だから代わりにリスさんがこれくれたの
ハイネにごめんなさいだって....」
シズクちゃんは自分の首に掛かっている
長いネックレスをハイネに見せました。
そのネックレスは、紐でドングリやクルミなどたくさんの木の実や葉っぱが連なって
いました。

ハイネは(何があったかさっぱり分からん)と思いましたがシズクちゃんが一生懸命
説明してくれるので....
「そうか....とりあえず無事で良かった」と
言ってシズクちゃんと元居た場所に戻り
一緒にお昼ご飯を食べました。

   (おしまい)

10/8/2024, 1:52:43 AM

力を込めて

力を込めてぐっと腕を曲げる。
フーッと息を吸ってぐっと唇を真一文字に
結んで歯を食い縛るその内 力が入りすぎて顔の方が熱くなり真っ赤になる
その内苦しくなり力を抜きはーっと息を吐く疲れて呼吸が荒くなり肩で息をする

そんな僕の疲労を見て父親が
「まだまだだなあ!」と笑い
父親が見本を見せる様に同じ様に腕を曲げ
ぐっと力を込めると大きな力瘤がぷくっと
膨らみ腕に貫禄を付けていた。

まだまだ父親は、超えられない
これからもトレーニングを続け様と心に
強く誓った。

10/7/2024, 12:03:33 AM

過ぎた日を想う

あんな事もあった こんな事もあった
あの時は、ああすれば良かった
この時は、こうすれば良かった
過ぎた日を想うと後悔ばかりが積み重なる。

けれどあの後悔があったから あの失敗が
あったから あの時の挫折があったから
今に繋がって居るとも思うんだ。
だからあの時の事を想っても決して振り返らない 前だけを見て進んでいきたいと
今の私は、そう想うんだ....。

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