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8/16/2024, 11:33:58 AM

心の健康(番外編)⑱の続き

誇らしさ(番外編)⑲

●シズクちゃんのはじめてのおつかい

灰色猫ことハイネは、人型になって
耳と尻尾を出しながら料理をしていました。

ハイネの飼い主シズクちゃんの為に
お昼ご飯を作っているハイネ
(何か飼い猫と言うより給仕係みたいに
なってる....)とそう思うのだがハイネは、
考えないように料理を続け
冷蔵庫を開けると(あ....しまった)
卵が無い 今日のお昼ご飯は
オムライスを作っていたハイネ
(どうすっかなあ.....)一瞬考え
チキンライスに変更しようか
そう考えていた時....
「ハイネ 私もお手伝いしたい!」と
シズクちゃんがハイネの元に駆けてきます

「あ~じゃあ買い物に行って来るから
留守番....」とハイネが言い掛けた時
シズクちゃんが「買い物のお手伝いしたい」と名乗りを上げます。
「いや....でも....」ハイネは、一瞬断りますがシズクちゃんの瞳の中に
『お手伝いしたい』と書いてあり断りづらくなったハイネはため息を付いてシズクちゃんに言い聞かせます

その① 卵は、此処から歩いて五分位の
近くのお店で買う事

その②一番小さい卵パックを買う事

その③何かあったら近くの人に助けを
呼ぶ事 その際優しい人を選ぶ事

怪しい人には付いていかない事

この三つをシズクちゃんに約束させました
シズクちゃんは「うん!」と素直に
頷いて出掛けていきました。

ハイネは、(まぁ卵だけだし.... 歩いて
五分位の店だし.... 大丈夫か....)
ハイネは、付いて行くのも過保護かなあと 
思いシズクちゃんに任せる事にしました。


一方お手伝い出来てウキウキの
シズクちゃんは.....

「卵!!卵!! あれ?」シズクちゃんが目を
向けるといつも一つしかないお店が
今日は、隣同士くっ付いて2軒並んでいました。
「? ?どっちのお店で買うんだっけ?」
ハイネからは、どっちのお店で買うか言われていませんしかもどっちも外観も
デザインもそっくり同じで
シズクちゃんは、迷ってしまいます。

すると....「お嬢さん お嬢さん!」と
右側のお店の店主がシズクちゃんに
声を掛けました。
「何かお探しかい?」店主は、にっこりと
シズクちゃんに声を掛けます。

「はい あの卵は、ありますか?」
「卵なら此処にあるよ!」と店主が
机の上に卵を載せます。
しかしシズクちゃんは、それを見て
目を丸くします。

その卵は、普通の卵より一回り大きく
シズクちゃんが両手で持ってやっと運べる
位の大きさでした。
シズクちゃんは、ハイネに言われた事を
思い出し店主に聞いてみます。
「あの一番小さい卵は、ありますか?」
「この卵が家の店では、一番小さい卵だよ」と店主は、シズクちゃんに教えます
シズクちゃんは(そうなんだあ....)店主が言うのならそうなのだろう
シズクちゃんは、「これでお金足りますか?」と店主にお金を差しだします
店主は、にっこりと「ありがとうございました」とシズクちゃんからお金を受け取り
ます。

シズクちゃんは、(うんしょ うんしょ)と
両手で卵を落とさない様に運び家路に帰りました。

こうして買い物と言うお手伝いをやり遂げたシズクちゃんは、誇らしくなり
ハイネに褒めて欲しくて
元気良く「ただいま!」と言いました。

想定外の大きさの卵を買ってきた
シズクちゃんに(たった10分の間に何が
あった....)とハイネは、目を白黒させましたが嬉しそうなシズクちゃんを追及出来ず
そのまま心中で(はぁ~)とため息を吐き
(まぁ夕ご飯も卵料理を食べれば良いかぁ
しかしこの卵どうやって割ろう...)
ハイネが卵の割り方に頭を悩ませる
事態があったりもしたが....
何とかオムライスが完成し二人で仲良く
食べたのだった。

(おしまい)

8/15/2024, 11:44:39 AM

夜の海

暗い空と同じ色をしてそこに佇む
広い海 闇色に染まる空と黒色の液体の様に大きく唸る波が周囲を飲み込む
波打ちぎわに足を浸ければ冷たい水温が
肌を刺す様に冷たい

心の奥底に眠っている翳りが冷たい水温に
浸かる事で頭の中に蘇って来る
何がいけなかったのだろうか
自分自身を省みても 何が原因だったのか
心当たりが思い付かない
嫌 きっと 私とあの人のボタンが少しずつ掛け違っていったのだろう
少しの価値観のズレをそのままにし流し
気付かない振りをして幸せな家庭円満な
夫婦だと思い込んで 私は、幸せだと
恵まれているのだと刷り込む様に自分の
脳に言い聞かせていたのかもしれない

嗚呼 何故あの人は、あの女の元に
行ってしまったのか 私は、あの人に
尽くして 尽くして 尽くしたのに
やはり、若さか 美人で若い女に男は
食いつくのか けれど私だって独身時代は
自分を磨いて 化粧も美容も念入りに
丁寧にやってきたのに さぼって
居たわけじゃない 唯私は、あの人に
快適に過ごして欲しくて 暖かい家庭を
あの人に少しでも感じて欲しくて

仕事や家事で荒れてしまった手や肌を
顧みず 私は、身を粉にして、働いて
家事もして あの人も仕事を頑張ってるん
だから私も少しでも支えようとして  
頑張って 頑張って でもそれが家庭で
すれ違いを生んで そうして気付いた頃には あの人に裏切られ 傷付けられ
そしてあの人は、私の元を去って行った....

(あはははっ笑える!)私は、意味も無く
笑いが込み上げてきた

そうして私は、波打ちぎわに浸かって
いる足を進ませ深く 深く体を浸からせた
私の死体が見つかるかは分からない
だけど私は、もう生きるのが辛い
死にたい訳じゃないだけどもう疲れた
何もかもなくなりあの人も私の元から
居無くなった今何を糧に生きていけば良い
せめて子供でもいればまた違ったのだろうか お互い仕事 仕事でそんな甘い一時は、最初の内だけだった。

でも真面目に働いていたのは私だけだった
みたい.....
嗚呼早く楽になりたい私の下半身はもう
暗い海に浸かっている。
このまま暗い海の底に体を沈めて
いけば深海と言う綺麗な場所に
行けるのだろう そうして私は、海の一部になる。綺麗に真っさらにリセットされる
その姿を思い浮かべ私は、笑みを深くする

こうして 私の体は、海の底に消えていき
波間に溶けて行く まるで泡になって
消えた人魚姫の様に 私の体はリセットされ穢れが浄化される様に暗い海が 夜の海が私を包み込んで行く

8/14/2024, 1:44:06 PM

自転車に乗って

自転車に乗ってどこまで行こう
君と二人ならどこまでだって行ける気がする。

坂道を二人乗りで下って ぐんぐんと
スピードが上がる。
二人で きゃははっと笑いながら
ブレーキを引く

一瞬のジェットコースター君と二人でスリルを味わい笑い合う そうしてまた
真っ直ぐな道を二人で進んでそれぞれの
家路に帰った。

8/14/2024, 5:12:59 AM

麦わら帽子(番外編)⑰の続き

心の健康(番外編)⑱

●やきもち

さっきから、ハイネの心は、ぐるぐると
回っていた。

太くごつごつした男らしい指先が
彼女の髪に掛かるたびそうして知らない男の指先が彼女の髪に指先を入れて梳くたび

ハイネの心は、ちくっと針が刺したみたいに痛みだしイライラが募る。

そうして、別の男の手で、可愛くなっていく彼女もといシズク
(注此処で言う彼女は、別に二人が恋人に
なったとかでは、ない)

今 シズクは、男の美容師さんの手で
髪型を可愛くアレンジされていた。

その姿に見惚れている自分がまたいる事も
ハイネは、分かっていたがやはりイライラが募っていた。

「ハイネそんなに気になるなら頼まれた時に反対すれば良かったのに...」
ナイトがハイネの横に立って忠告する。

ハイネは、壁に寄りかかってしゃがみながら「別に反対する理由なんて俺には無い」と膝を抱える。


今日は、前ウェディング雑誌で模擬挙式を
撮影しモデルもした三人 それにつられてと言う訳では、無いが 今度は、シズクに
モデルをしてくれないかと言う話しが来た

カットモデルとして少し髪を弄らせてくれないかと言う話しが来た。

シズクは、最初首を横に振って全力で
拒否していたがどうしても頼みたいと言う事で困っていたのでシズクも強く断れず
皆も付いて来てくれると言うのでシズクも
安心し承諾したのだった。

そうして、皆でシズクを見守る体でまた
撮影の見学に来ていた。

ミーナなんか「シズク可愛いわよ!」と
何だか押しのアイドルを盛り上げるファンみたいに撮影のカメラより先に自分の
スマホでシズクの姿を撮影していた。
ナイトは、そんなミーナを見て微笑ましい視線を向けて楽しそうなのに....

何だか自分だけがイライラしたり
見惚れたり心が定まっていなかった。

(来るんじゃなかった....)とハイネは、
後悔していた。

最初は、緊張して、こわごわしていた
シズクも男性の美容師さんに髪をセットされてアレンジされて可愛い髪型にしてもらったのがよっぽど嬉しかったのか
今では、緊張も溶け美容師さんに笑顔を
向けていた。

その笑顔を向けている姿をみるとハイネは、胸が絞られる様に苦しくなり
イライラが溜まっていく

(っくそっ....)分かっているこれは、
撮影だそれ以上の事は、何も無い
現に自分だって撮影された時は、女性の
美容師さんに髪を整えられた事も
あった だからこれは、普通の事で
波風立てる事じゃ無い事は、分かってる
のに....

「シズクちゃん可愛いね 髪もちょっとだけカットしてみる?」そう男性の
美容師さんがシズクの名前を呼ぶたび
シズクの髪の毛に遠慮無く触るたび
イライラが止まらない
「っ~」そのたびにハイネは、自分自身を
抑え(これは、普通の事.... だからこれは
俺がわがままなだけで....)

恋人じゃないんだからやきもちなんて
焼く資格俺には、無い 俺のせいで
シズクの行動を制限したくない
困らせたくない....

(ああ いつも意地悪しか出来ないくせに
こう言う時だけ勝手にイライラするとか
俺ってどんだけ醜いんだろう....)

男性の美容師さんの方に視線を向けるハイネ ああ言う風に自然に可愛いって言える
人の方がきっとシズクも好きになるんだろうなあ....

俺が模擬挙式で新婦役の人と撮影してても
シズクは、嬉しそうにして普通にしてたのに 俺は、やきもちを焼いてくれないかなあなんて浅はかな事を期待して
シズクに男として意識されないのも
当然だ....

そんな事を考えているとハイネは涙が
出てきそうになる。

「ハイネ....」その声にハイネは、びくんと
肩を震わせる。
みるとシズクがアレンジされた髪型のまま
トテトテとハイネに近づいて来ていた。

近くでその姿を見てまた胸がトクンと
高鳴るハイネ「かっ....」可愛いその一言が
言えないハイネ

「髪....元に戻さなくて良いのかよ.....」

「うん....このまま帰って良いって
ミーナとナイトが呼んでるよ
早く帰ろう....!!」そう言って
シズクは、にっこりとハイネに笑顔を見せる。
「うっ....うん....」(その格好で嬉しそうに
笑うんじゃねぇ馬鹿シズク)ハイネは、
また再開した胸の鼓動を必死に抑えつけ
ながらシズクと一緒に歩いて行った。

こうして、ハイネの心の平穏は、
一人の少女の行動と喜怒哀楽で目まぐるしく変化する しかしハイネは、
この変化を絶対に手放したくは
無いのだった。

8/12/2024, 10:57:53 PM

君の奏でる音楽

ステージの上で、繰り広げられる
音の大合奏 オーケストラと言う一つの
集団が渾然一体となって一つの音を作り上げる。

それは、とても素晴らしい事で
感動する事なのは分かって
いるけれど.... 僕の耳に一際大きく響くのはどうしても君の音なんだ贔屓と言われるかもしれないが君の音だけが僕の脳を
揺らし 僕の心の奥の奥に訴え掛ける
様に僕の胸の奥にしまってあった感情を
引き出してしまう。

自分でもこんな感情が僕自身に眠っていた事にびっくりする位 君の音は、僕の
琴線に触れ 僕の目から滂沱と涙を
溢れさせるんだ。

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