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麦わら帽子(番外編)⑰の続き

心の健康(番外編)⑱

●やきもち

さっきから、ハイネの心は、ぐるぐると
回っていた。

太くごつごつした男らしい指先が
彼女の髪に掛かるたびそうして知らない男の指先が彼女の髪に指先を入れて梳くたび

ハイネの心は、ちくっと針が刺したみたいに痛みだしイライラが募る。

そうして、別の男の手で、可愛くなっていく彼女もといシズク
(注此処で言う彼女は、別に二人が恋人に
なったとかでは、ない)

今 シズクは、男の美容師さんの手で
髪型を可愛くアレンジされていた。

その姿に見惚れている自分がまたいる事も
ハイネは、分かっていたがやはりイライラが募っていた。

「ハイネそんなに気になるなら頼まれた時に反対すれば良かったのに...」
ナイトがハイネの横に立って忠告する。

ハイネは、壁に寄りかかってしゃがみながら「別に反対する理由なんて俺には無い」と膝を抱える。


今日は、前ウェディング雑誌で模擬挙式を
撮影しモデルもした三人 それにつられてと言う訳では、無いが 今度は、シズクに
モデルをしてくれないかと言う話しが来た

カットモデルとして少し髪を弄らせてくれないかと言う話しが来た。

シズクは、最初首を横に振って全力で
拒否していたがどうしても頼みたいと言う事で困っていたのでシズクも強く断れず
皆も付いて来てくれると言うのでシズクも
安心し承諾したのだった。

そうして、皆でシズクを見守る体でまた
撮影の見学に来ていた。

ミーナなんか「シズク可愛いわよ!」と
何だか押しのアイドルを盛り上げるファンみたいに撮影のカメラより先に自分の
スマホでシズクの姿を撮影していた。
ナイトは、そんなミーナを見て微笑ましい視線を向けて楽しそうなのに....

何だか自分だけがイライラしたり
見惚れたり心が定まっていなかった。

(来るんじゃなかった....)とハイネは、
後悔していた。

最初は、緊張して、こわごわしていた
シズクも男性の美容師さんに髪をセットされてアレンジされて可愛い髪型にしてもらったのがよっぽど嬉しかったのか
今では、緊張も溶け美容師さんに笑顔を
向けていた。

その笑顔を向けている姿をみるとハイネは、胸が絞られる様に苦しくなり
イライラが溜まっていく

(っくそっ....)分かっているこれは、
撮影だそれ以上の事は、何も無い
現に自分だって撮影された時は、女性の
美容師さんに髪を整えられた事も
あった だからこれは、普通の事で
波風立てる事じゃ無い事は、分かってる
のに....

「シズクちゃん可愛いね 髪もちょっとだけカットしてみる?」そう男性の
美容師さんがシズクの名前を呼ぶたび
シズクの髪の毛に遠慮無く触るたび
イライラが止まらない
「っ~」そのたびにハイネは、自分自身を
抑え(これは、普通の事.... だからこれは
俺がわがままなだけで....)

恋人じゃないんだからやきもちなんて
焼く資格俺には、無い 俺のせいで
シズクの行動を制限したくない
困らせたくない....

(ああ いつも意地悪しか出来ないくせに
こう言う時だけ勝手にイライラするとか
俺ってどんだけ醜いんだろう....)

男性の美容師さんの方に視線を向けるハイネ ああ言う風に自然に可愛いって言える
人の方がきっとシズクも好きになるんだろうなあ....

俺が模擬挙式で新婦役の人と撮影してても
シズクは、嬉しそうにして普通にしてたのに 俺は、やきもちを焼いてくれないかなあなんて浅はかな事を期待して
シズクに男として意識されないのも
当然だ....

そんな事を考えているとハイネは涙が
出てきそうになる。

「ハイネ....」その声にハイネは、びくんと
肩を震わせる。
みるとシズクがアレンジされた髪型のまま
トテトテとハイネに近づいて来ていた。

近くでその姿を見てまた胸がトクンと
高鳴るハイネ「かっ....」可愛いその一言が
言えないハイネ

「髪....元に戻さなくて良いのかよ.....」

「うん....このまま帰って良いって
ミーナとナイトが呼んでるよ
早く帰ろう....!!」そう言って
シズクは、にっこりとハイネに笑顔を見せる。
「うっ....うん....」(その格好で嬉しそうに
笑うんじゃねぇ馬鹿シズク)ハイネは、
また再開した胸の鼓動を必死に抑えつけ
ながらシズクと一緒に歩いて行った。

こうして、ハイネの心の平穏は、
一人の少女の行動と喜怒哀楽で目まぐるしく変化する しかしハイネは、
この変化を絶対に手放したくは
無いのだった。

8/14/2024, 5:12:59 AM