雪を待つ
シャク シャク シャク 息子(3歳)は、
この音が大好き
秋に地面に降る 落ち葉
敷き詰められたように落ち葉が
全面に落ちると 息子は、パリッ パリッと落ち葉を踏む この音も大好き
最初に言った シャクっと言う音は、
雪に足跡を付ける音
一面 真っ白で 綺麗な銀世界
その雪の地面に 何の脈絡も無く 小さな
足跡を付ける。
まるで 真っ白いキャンパスに
落書きするみたいに....
息子は、意味も無く駆け回り
きゃきゃきゃきゃ 両手を振る。
それが 息子なりの雪遊び
しかし 今年は、その雪がまだ降らない
しかし息子は、雪を待つと言うより
雪を見つけたら 家から飛びださん勢いに
なる。
息子は、雪が降ると言う概念では無く
見つけると言う概念らしく
みかけたら ラッキーみたいな
宝箱に入っているラッキーアイテムみたいな
感覚だ。
いつかこの遊びも息子にとって
終わりを迎える時が来るだろう....
それまでは、私も一緒になって見守る。
息子の代わりに私が雪が降るのを
待っている。
いつか息子が「雪降ったよ~」と自分から
教えて 自分から雪を待ち望む日も
来るだろうから....
それまでは、秘密のラッキーアイテム扱い
させておくのだ。.....
イルミネーション
キラキラと輝くイルミネーション
チカチカと瞬く光
眩い光明が 目に痛い
だけど とても綺麗
電飾の コードを絡めて
クリスマスツリーの形やサンタクロース
トナカイ そり 雪だるま
クリスマスを主張するイルミネーション
電球も 赤 青 緑など色とりどりの
光を催す。
此処に 貴方と来れて幸せ
この景色を貴方と見れて幸せ
手を繋ぎ 一年の終わりの日数を
数える。
今年も あともう少しで終わりだね!
毎年 毎年 貴方とクリスマスの
イルミネーションを見ながら
こうして、手を繋ぐのが冬のデートの
定番だね!
来年も同じ景色に飽きる事なく
幸せを噛みしめる。
貴方と言う存在が変わる事なく
隣に居てくれるだけで
私にとっては、毎年のイルミネーションが
変化を伴う輝きに等しいから
これからも ずっと側に居てね!
大好きだよ!
メリークリスマス!!
愛を注いで
チュ チュと 小さなリップ音
彼女は、愛情の印に 僕に小さなキスを
送る。
「チロ 可愛い!」
耳や口に愛情表現 チュっとまた一つ
キスを落とす。
肉球を 親指で グリグリと弄られた
時は、身体が ゾワッとして
しばらく 身体が 硬直して
擽ったさに 身を捩る暇も 無かった。
堪らず 僕は 彼女の腕から
逃げ出すと....
「あ~チロ 待ってよ~」彼女は
途端に僕を追いかけて来る。
いい加減 飼い猫離れして欲しい.....
とか言って 飼い主離れできないのは
僕の方....
僕は、大きくため息を吐いた。
「また 彼女から抜けだせなかったの?
いい加減 正体がばれるよ!」
仲間の猫又に 毎度 毎度 同じ事を
注意される。
そう 僕は、普通の猫じゃない....
猫又に分類される類の 所謂
妖だ...
だから 普通の猫と違って 寿命も
何百年 何千年とある。
だから 寿命が ばれない様に
そろそろ 今の住処を変える必要が
あるのだが.....
僕は今の飼い主 彼女の元から
なかなか離れられずに居た。
「君がまさか そんなに 人間に
入れ込むなんてね
一層の事 人型に なって仲良くなって
恋人関係を作れば良いのに...」
「ばっ馬鹿言うなそんな事....」
「今 僕の目の前で見目麗しい 人型に
なっているのにかい?
彼女の前でも そうやって人型に
なれば良いのに...
今 猫の姿の僕から見ても....
人型の君は、美しいと思うよ
彼女も君のその姿を見れば
君の虜になると思うよ!」
仲間に そう言われて 僕は、
顔が火照り 両手で顔を隠す。
「そっ そんな事できる訳ないだろう!!」
「何でさ?」仲間は、心底 不思議そうに
首を傾げる。
仲間のその質問に 僕は、
黙ってしまう....
だって.... 彼女が 僕を溺愛してくれるのは 猫の姿だからだ。
猫の姿だから 毎日 毎日 僕に口づけをしてくれ 愛を注いでくれるのだ。
それに下手に人間の姿になって
彼女の前に現れたりしたら...
「どうした?」仲間が 顔を赤くしながら
のたうち回る 僕を心配して声を掛けて
くれるが 僕は、それに答える事が
出来ない。
そんな事になったら 僕は、
もう 彼女から愛を注がれるのを待ってられなくなるだろう....
猫の姿のままの今だって...
必死に抵抗して逃げ出すのに
精一杯なのだから....
そんな事になったら
僕は自分から彼女に愛を注いでしまうから
彼女に溺れてしまうから....
心と心
心と心を重ね合わせるなんて出来ない
お互いの思っている事が100%分かり
合えないのと同じ様に・・・
でも 私は、それでも 貴方を
待ってる。.....
1時間 2時間 待ちぼうけを
喰らっても 諦めきれず
まるで ストーカーの様に待ってる。
「馬鹿みたい....」小さく呟き
瞳から 涙を滲ませる。
それは、やがて瞳から 洪水の様に
溢れて来て 後から 後から雫となって
頬に伝って行く。
「っ.....」せめて 声だけは、
周りに聞こえ無い様に 必死に
我慢する。
溢れる雫を手の甲で 一生懸命に拭い
周りに 怪訝な目で見られない様に
取り繕い 諦め掛けたその時
ポンっと肩を叩かれる。
「待った!」緩い笑顔を向けて
にへらと 私に声を掛けて来た
青年の胸を叩く
「待ったじゃない この馬鹿
遅くなるならメールしろ
ラインもしたのに 何も返さないし」
「いや~どうしても 仕事抜けられなくて
長引いちゃって それでも もう
帰ったかなあと思ってたから
だから 俺も帰ろうかなあと
思ってたんだけど... まさか 居るし」
私は、持っていた鞄で さっきより 更に
青年の胸を叩いた。
「帰ろうとすんな馬鹿! 私が何時間
待ってたと思ってんだぁ~!」
「何時間待ってたの?」キョトンとした顔でそんな事を言うから
また 腹が立って バシンと 今度は
鞄で青年の頭を叩く
「普通に質問して 聞いて来るな
馬鹿じゃないの!!」
「あの~さっきから俺 馬鹿 馬鹿しか
言われて無いんだけど....」
私は、青年を思いっきり 睨み上げ
バッと駆け出し 青年の胸に
飛び込んだ。
「えっ 何 何? ? ?」
青年は、キョロキョロと 目線を動かす。
「寒い 暖めろ 馬鹿!」
「ん~何か良く 分かんないけど
分かった。」青年は、私の背中に
自分の腕を回す。
そして... ぎゅうっと 私の身体を
自分の胸に閉じ込める。
その 力加減に 私の気持ちも緩む
そして 青年の胸の中で
はぁ~っとため息を吐く
両思いのはずなのに いつだって
一方通行 私の方が 怒ってばっか
彼の方は 友達の頃から 変わらず 緩い
私はもっと 彼との時間が欲しくてたまらないのに....
だけど こうして 抱きしめ合えば
彼が私を自分の胸の中に閉じ込める
この瞬間だけは、彼の心と私の心が
重なったと感じる。
この緩い彼氏が私の心より
もっと私を欲しがってくれる日はいつか
分からないけど...
「じゃあ行くよ!!」
「えっ!!帰るんじゃないの?」
「何言ってんのよ! 人を待たせといて
お店回ろうって言ったじゃん
まだ開いてるお店 探せばあるよ
行くよ!!」
「え~もう帰ろうよ~」
「ほら文句言って無いで歩く」
彼は、ぶつくさ付いてくる。
もう仕方ないなぁ~
私は、彼の腕を引っ張り手を繋ぐ
そうすると彼は、私に誘導されるまま
付いて来る。
彼の心と私の心 全然噛み合わないけど...
だけど 心と心を近づけると
愛情の総量は、違うかもしれないけれど
やっぱり私は、最終的には、
彼に側に居て欲しいと願うのだ。
何でもないフリ
目が 合ったら終わりだ
何でもないフリをして 通り過ぎなければ
ならない
俺は、視線を前に固定し
何食わぬ顔で 人混みに紛れて そこを
通り過ぎた。
「あああーーー武 探してたんだよ!!
こっち こっち おーーい」
バカでかい 巨体の男が
俺の 名前をバカでかい声で呼んでいる
様に聞こえるが もちろん気のせいだ。
周りが ひそひそ 何か話しているが
迷惑な奴が いる者だと思い
俺は、歩調を変えず 校門へと 着実に
向かう。
あと一歩で 学校を出られる。
そう思い 少し 歩調を 無意識に
速めてしまったのが 良く無かった。
がしっと 長い腕が 俺の細腕を
むんずと摑む
「お~い武 さっきから 呼んでるのに
無視するなよ ひどいじゃねェか!」
「武とは どの武だ 言っておくが
この 学校に 武と言う名前は、
23人は、居る。お前は その
一人 一人と会話を 交わし
一人 一人の顔を確認したのか
もう一度 一人一人確認して
調べ直して来い」
「何言ってんだよ!武は、武だろう
俺の知っている武は、お前だけだせ
相澤 武(あいざわ・たけし)君」
と この男 俺を長年の 旧知の
友人みたいに 言っているが...
はっきり言っておくと
この男とは、昨日が初対面だ
なのに 生来の 幼馴染みみたいな
ノリで 話し掛けて来るとか
どういう神経をしてるんだ!!
と ツッコミたいが それをすると
さらに 面倒臭い事になる事が目に見えて
いるので抑える。
「あのぉ~離してくれない 痛いんだけど...」
「じゃあ 逃げない!!」
その男は、にっこりと 恐い笑顔で
俺の腕をさらに締め付ける。
俺は、諦める様にため息を吐き
「逃げない...」と呟く
周りが ひそひそと また騒ぎ出した。
「ねェあの大きい人 不良の...」
と 耳打ちして 低い声で喋り出す声が
うるさい
俺は、其奴の腕を握り返し
別方向へと 引っ張る。
「ちょっと 場所を変えよう!」
俺達は、体育館裏へと移動した。
「で....何の用?」
俺は、上目遣いで睨みながら
大きな巨体を見上げる。
そうすると 其奴は、ニカッと白い歯を
見せて笑い 握手を求める様に
大きな手を差し出した。
「は?」俺は、呆気にとられる。
すると其奴は、また俺の腕をむんずと掴み
俺の手を取り 本当に握手をした。
「いや~昨日のあんたの一発に惚れたね
俺と一緒に 天下を取らない?」
と 自分の頬に貼られている
絆創膏を指で 掻きながら
キラキラした目で訳の分からない事を言う
天下 なんだそれ 何時代? 三国志?
「何言ってんの あんた?」
「あれ?昨日の事覚えて無いの?
昨日 俺の頬を 思いっきり グーで
殴ったじゃん!!」
俺は気まずそうに目を逸らす。
「いや~まさか 同じ学校だなんて
気づか無かったよ! だってそんな
優等生みたいな 格好してんだもん
武チャン いやあ~武君が 同じ
学校だと 知ってたら 学校 真面目に
行ってたのになぁ!」
嘘つけ それに さっきから
チャンだの君だの馴れ馴れしい・・・
「弱味を握ったつもりか・・・」
俺は目線を鋭くし 其奴を睨む
「弱味 何ソレ? 俺は 武君と
友達に なりたいだけだって!!」
「嫌だって言ったら?」
「武君の 学校生活 一日中 付き纏う」
悪びれもせず其奴は言う
俺は じとーーっと其奴を睨み
ため息を吐く
「分かったよ!」
こうして 中学時代 不良だった俺は
高校では、優等生キャラで行こうと
高校デビューを果たしたのに...
高校の不良
「あっ俺の名前 まだ言って無かったね
槙洋介(まき.ようすけ)宜しくね!」に
捕まってしまった。