忘れられない、いつまでも。
冷静で居られるわけがなかったが、とりあえず朝礼へ戻った。
「寮長は」
帰ってきた私を見て、1人の女の子が私を見る。
「寮長は、寮長室でお亡くなりになられました。」
どよめき、ざわめき、戸惑い、不安、
「あんたが殺したんでしょ」
さっきと同じ子がそういう。
周りの声もその子に賛同するかのように大きくなる。
「違います、私は殺していません、」
「じゃあ寮長室の前で何日も立ち尽くしていたのは何」
ハッと我に返る、見られていたのか、他にも
「毒でも盛ってたの?それとも、油でも撒いてたの?」
「違う!そうじゃない!」
「だったらなんで寮長が死ななきゃいけなかったのよ!」
「知るわけないでしょ!なんで私がそんなの知ってるのよ!」
お互い喚き散らしていた。
「寮長は自殺したの、わかってよ、」
「え…そんな、嘘よ…」
周りの声は急に縮こまってしまった。
「だから次は私が寮長よ」
明日世界が終わるなら
魔女になって寮長を救ってやりたい
君と出逢って。
美鳥と市城が消えた今、寮生は20人になっていた。
朝礼の姿になっても、寮長の姿がなく、
全員が不思議がっていた、
寝坊、病気、色んな理由が飛び交ったが、30分経っても一向に寮長は来ない。
仕方なく、私が呼びに行くことに、
コンコンコン
「失礼します、寮長、ちょうれ、」
寮長は首を吊って死んでいた。
寮長室には置き手紙が置いてあり、
こう書かれていた。
「私は自分に嘘をついた、だから自ら命を立たせてもらう。どうせ、君がこの部屋に来たのだろうから、この置き手紙を読んで最後の私の願いを聞いて欲しい。
最後に、君に出逢えて良かった」
寮長の首元には、グリップがはさがってあり、
そのグリップは嘘を吐いた時のように
赤く光っていなかった。
耳を澄ますと。
翌日の朝。
初めての犠牲者が出てから1週間程。
美鳥が、今度は口を覆われて出てきた。
普段の美鳥からは想像もつかないような、怯えた目をしている。
ふと目が合ってしまった。
美鳥は私をキツく睨んで、真正面へ向き直った。
「寮長」
私は、寮長の前に立った。
「今回の件は私にも責任が、」
「さぁ今日の魔女狩りを始めよう」
遮られた、寮長は昨日の私の発言をどう思っているのだろうか。
「え、あの子にも責任あるの?」
「だったらあの子も魔女じゃない?」
「元々あの子は魔女っぽいじゃん」
「たしかにwww」
口々に聞こえる笑い声、嫌味、罵詈雑言
「静粛に」
寮長は淡々と喋る
美鳥はもう力を無くしたのか、自ら断頭台へと上がって行った。自分で右手でライターを握りしめて。
美鳥の口は一向に塞がれたままで、市城のように、解いてもらうことがなかった。
美鳥は自分でライターの火を灯し、ライターをそのまま捨てた。
あっという間に燃え盛る炎の中で美鳥は笑っているように見えた。
綺麗な笑顔をしていた。
No.11643
美鳥瀬奈
ルームメイトの侮辱及び嘘を吐いたことにより処刑する
2人だけの秘密。
「寮長室前での会話は君と2人だけの秘密にしよう。」
寮長はにこっと笑った。
ただ1人、怯える美鳥を置いて。
「嫌だ、なんで、嘘だ、私が…そんな」
「美鳥瀬奈、恥を知りたまえ」
美鳥の手を力づくで寮長は引っ張り、寮長室へと美鳥を引き込んだ。
「君はもう、帰りなさい、また、明日魔女狩りが始まるから」
もうその目は笑っていなかった。
「待ってください、」
変なタイミングだったが、ここで言うしかないと思った。
「寮長がそこまで嘘にこだわる理由は何ですか」
もう怖いものなんてなかった。
寮長は眉をぴくりと動かし、黙ったまま寮長室に消えてしまった。
「え、ま、寮長!」
また扉の向こうで立ち尽くさなければならなかった。
足が自分の部屋へと動こうとしない。
言うことを聞かない。
もう、魔女になってしまいたかった。