「心躍る」ではなくて、「ココロオドル」
カタカナで書かれたこのワードを見て、私はむしろ真逆のイメージを連想した
もはや心躍るどころか、生きた感情さえ忘れ去られたような殺伐とした、荒れ果てて渇き切った大地に、それもまた倒れそうに傾いた看板に、いかにも不釣り合いな楽しげな文字『ココロオドル』と描かれている
そんな状況にあえて立てられたプロパガンダのように…
同じ言葉でも、漢字で表すか平仮名やカタカナで表すかでこんなにも異なったニュアンスを与える日本語の何て面白く奥深いことか!
ひねりの利いたお題に、心躍らせて♪もらった
『ココロオドル』
しんどい…
10月に入ってからというもの、気持ちの良い晴天はほとんど無く、ぐずついたお天気に翻弄されっぱなしだ
本来の10月は暑くもなく寒くもなく、何をするにも気持ちの良い秋晴れが続くのが常だった
それが今年はどうだろう
いつまでも真夏の様な暑さが続き、ジメジメと蒸し暑く、梅雨時のようなカビの発生にも悩まされた
ただ、朝晩はすっかり秋らしく気温もぐっと下がるのだから1日の寒暖差は激しい
日照不足でセロトニンが出にくいうえに自律神経が働きづめで、もう体も心もいっぱいいっぱいだ
周りでは体調を崩す人も多いようだ
私は元々体より心に不調が出やすいので、心の安定を保つことにも不安を感じている
つい一昨日も日中はエアコンが欲しいほどの暑さになったかと思えば、昨日は上着が欲しいほどの肌寒さ 
今日は11月中旬の気温だそうだ
思えば過酷な夏から休みなくフル稼働の自律神経に、健闘賞と出来れば束の間の休息を与えてあげたいと思ってしまう
『束の間の休息』
力を込めて説明する、
力を込めて引っ張る、
普段当たり前のように使っている
「力を込めて」という言葉
力を込めてってどういうこと?と小さな子供に問われたら、何と説明するれば上手く伝わるだろうか…?
力の限り、とか
一生懸命に、とか
精一杯に、とか
「力を込めて」を説明することばは多々あるけれど、どれも抽象的だ
簡単な言葉を分かりやすく伝えるというのは案外難しいことだな…とあらためて思った
数学の公式を使えばすぐに答えの出る問題を、まだその知識を持たない子にその問題の解き方を教える時のような、
文法や慣用句を使えばすぐに作れる英作文を簡単な単語に置き換えて説明する時のような、そんな感覚だ
「ねぇ、力を込めるってどういうこと?」
とキラキラしたお目々で幼子に見上げられたら
「ぎゅ〜っ、てすること」て答えてみようか
果たして伝わるかな…?(笑)
『力を込めて』
美津子「あなた、葛野さんからお葉書が届きましたよ  春のお食事会は楽しかったから、近いうちに是非またお目にかかりましょう♪ですって…」
秀三 「葛野さん? 春に会ったって?そうだったかな…」
 
美津子「あら、嫌だあなた あなただって、とっても楽しんでいらしたわよ  ボケないでくださいよ」
秀三「あぁ、思い出したよ  あれは春だったかぁ  あれが春だったか去年だったか、もっと昔だったかはもう良く分からんよ」
美津子「嫌だわ…そんな事言わないで下さいよ    そのうち私のことも誰だい?だなんて言い出したら、私嫌ですからね」
秀三「何言ってるんだい、ボケるのは正常に老いている証拠じゃないか 皆、老いることを怖がり過ぎるんだ」
美津子「正常に老いる…?」
秀三「そもそも神は、命あるものは何れは朽ち果てるものとして造られたんだ  その終結の『死』を自然に穏やかに受け入れるためのシステムが『老化』なんだよ」
美津子「システムだから避けては通れない…ということですね」
秀三「そうだ 死んだ経験のある人は誰もこの世に居ないから、皆死んだら終わりとか、闇雲に恐怖感を持つけれど、そういうものなのだから仕方ないんだよ
とは言っても、やはり恐怖は免れない だから老化しながら少しずつ『死』を受け入れる準備をするんだよ
目がよく見えて、耳がよく聞こえて、美味しく何でも食べられて、頭が冴え冴えしていたら、恐怖にも敏感になるし生きることへの執着も強くなるだろう?
だから、目や耳や内臓は次第に衰え、頭もぼんやりとしてくることで、衰えを自ら自覚するんだ
頭や感情がぼんやりしていれば、恐怖感も薄れてくるわけだな
神は本当に慈悲深い
最後の最後までちゃんと考えて造られたんだよ
有り難いことだよ」
美津子「耳も遠くなれば嫌な事も耳に入ってこなくなるし、目が見えなければ醜くくなる自分も良く見えなくなりますものね…」
秀三「その通りだよ  これが若いままでいてごらんなさい  毎日が辛くてたまらんよ
だから、過ぎた日々を思い出せなくなるくらいで丁度良いのさ  まだ若い者がその事を覚えてくれていれば十分なんだよ」
美津子「でも、あなたが私を分からなくなるのは、やっぱり嫌ですよ」
秀三「そうなるかどうかは分からんが、もしそうなったとしても、それは私が美津子をそれだけ大切に思っているという証でもあると思ってくれたらいいんだ」
美津子「どういう事です?」
秀三「それも神が与えてくれたシステムなのだが、とても大切な人のことをどんどん忘れていく恐怖や脳の機能に対して、忘れてしまうという苦痛から守る為にその大切な人を脳の中に閉じ込めてしまうという特別な作用が働くことがあるんだよ
皆に起こるわけではないがね
だから、私がそうなったとしても美津子を忘れた訳ではなくて、忘れる恐怖から逃れる為に心の奥に、過ぎた日々の思い出ごとすべて大切に仕舞い込んだと解釈して欲しいんだ
こんなに深く愛されていたのか…とむしろ感動して欲しいよ」
美津子「あなたったら…   もちろん私の名前を呼んで下さらなくなったらとても悲しいですけれど、今のお話で少し気持ちは楽になりましたわ」
秀三「ま、こんな話が出来るんだ
私の頭があやふやになるのはもう少し先になりそうだがね(笑)」
美津子「まったくですわ(笑)」
『過ぎた日を思う』
女 ねえ、星座占いって信じる?
男 生まれた月で性格や運命を分けるなんて、ナンセンスだろ
女 血液型なんてたった四つよ
男 確かにな…
  でもさ、5000年も前の人達が星空を見あげて名付けた星たちをさ、俺等も同じものを見てるわけだろ?
ロマンだよなぁ
女 へぇ〜、案外ロマンティストなんだ!
男 もしさ、将来俺等に子供が出来なかったらさ、星に名前を付ける権利を買って、名前をつけようよ!
女 えっ? それって、まさかプロポーズ!?
男 ま、まぁ…   おうし座は今日人生の決断をすると吉って占いで…
女 星座占いは信じないんじゃ無かったのぉ〜?(笑)
男 あ!
『星座』