フィロ

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5/11/2024, 11:02:29 PM

産まれて間もない、顔を真っ赤にして全身の力の限りに泣く赤ちゃんを見てタイトルを付けるとしたら、私は迷わず『愛を、叫ぶ』とするだろう

まさに「愛の塊」である赤ちゃん
泣くことでしか自分の意思を伝えられない
泣くことは生きることそのものなのだ


生きるために母の愛を懸命に乞う
「私を愛して」と懸命に泣いて乞う

その「愛の塊」の叫びに母の愛がほとばしり、乳を出す
まだ見えぬ目で、その母を見つめ、母の乳と共にその愛でお腹と心を満たす
母もまた、その愛おしさに愛を育むのだ


あのけたたましいほどの『愛の叫び』は
一人では何も出来ない赤ちゃんに神が授けた最強の武器なのだろう


あの赤ちゃんの『愛を、叫ぶ』姿ほど強い愛の叫びを私は知らない





『愛を、叫ぶ。』

5/10/2024, 9:39:13 PM

ある日会社の近くの交差点で信号待ちをしていると、肩にモンシロチョウが留まった

「へぇ~、こんな都会の真ん中にも蝶なんて飛んでるんだ!」
とちょっと嬉しくなった
無下に払いのけるのも可哀想な気がして、そのまま肩に留まらせておいた

次の日もまた次の日も肩にモンシロチョウが留まった

「この辺は生息地なのか?いつも同じ昼休みの時間だから腹空かしているのかもな」
と辺りを見回したが他に蝶の姿は見当たらず
、肩に留まるのも何故か僕の肩だった

丁度1週間目の頃には、蝶が肩に留まるのを心待にするようになっていた
ところが、翌日からパタリと姿を見せなくなった

少し残念な気もしたが、他所へ移動したのだろうと考えながらいつものカフェへ寄った

そこは昼休みの時間帯はいつも混雑していて、レジの列も長くなっている
視線を感じて振り返ると、隣の列の後ろの方から知らない女性がとても親しげににっこりと微笑みかけている

「あれっ?顔見知りだったっけ?」
人の顔を覚えるのが不得手な僕は、きっとクライアントの一人だろうと、慌てて頭を下げた

ようやく席を見つけてコーヒーをひと口啜ったタイミングで、先程の女性が
「ここ、ご一緒させて頂いても?」
と、柔らかいとても心地の良い声で尋ねてきた

「どうぞ、どうぞ」
と、少し動揺しながらも彼女を促した


何か話かけなければと
「お近くなんですか?」
と、取りあえずありきたりな質問をした

「ええ、この辺には良く来ています」
「じゃあ、今までもどこかですれ違っていたかも知れませんね!」

「私は毎日貴方とあの信号でお会いしていましたよ」
とその女性はいたずらっぽく笑った



それが彼女との歴史の始まりだった




『モンシロチョウ』


5/9/2024, 12:11:42 PM

その店は、人々が行き交う賑やかな通りからすこし離れた場所にあった

その店を紹介してくれた友達は「すぐに分かるから」と、地図も描いてはくれなかっが、方向音痴の私は案の定迷ってしまった

と言うのも、扱っている品物から想像するイメージとは違い、いたって普通のオフィスだったからだ
あえて、人の気を惹かないようにという意図なのだろうか


店に入ると、様々な大きさの、色々な種類のリュックサックが所狭しと並べられていて、そこには優しい文字で
「貴方に相応しい重さと形をお選びください」
「お試しになりたい方は店主まで」
と書かれた札が下がっていた

いかにもこれから山へ昇ります、という感じのリュックから、サッと肩にかけてお洒落の脇役に、というファッショナブルなものまで、客のニーズには全て応えてくれそうな品揃えに、わざわざ来た甲斐があったと安堵したが、そもそも私はこの店の商品が一体どんな物なのかを理解していなかった



私には、忘れたくても『忘れられない、思い出』があった
ずっと、ずっと、心に抱えて、これまで何とか生きてきたけれど、最近ではそのことに心を囚われている自分に嫌気がさし、何とかその思いを手放せないものかとその友達に相談したのだ

すると、その友達は
「誰にでも勧めるわけではないんだけどね
君がずっと辛そうだったことは知っているからね
きっと何かの力になると思うから、この店を訪ねてごらんよ」
と教えてくれたのだ


一応目についたリュックを手に取ってみたけれど、選び方も分からなかったので早速店主に相談した
初めてであること、友達の紹介であること、を告げた

すると店主はゆっくりと頷いて、説明を始めた


「この店のリュックサックは、あなたがこれまで背負ってきた人生そのものなんですよ
悲しさや辛さや憎しみや、手放したくても心に棲みついてなかなか離れていこうとしなかった重しの数々…」
「これだ、と思う物を試しに背負ってごらんなさい
もしそれが、あなたの物であればすぐにピン!と分かるはずです
もし、背負っても何も感じなければ、ピン!と来るまで試してみてください」

店主の話はまるでおとぎ話のようで馬鹿馬鹿しくも思ったが、その目は人を騙しているようには感じられなかったので大人しく従うことにした

いくつか手に取ってみたが、4つ目を手にした瞬間、手に電気のようなものが走った
静電気かと思ったが、背負ってみてそれがそうでは無かったことが分かった
そう!これが、「私のリュックサック」だったのだ
背負った途端、私は思わずしゃがみ込み、大声を上げて泣きじゃくってしまっていた

何が起こったのか、何故泣いているのかは全く分からなかったが、その自分を俯瞰して見ている自分の存在にも気がついていた


ひとしきり泣いた後、ふと気がつくと、さっきまで背負っていたリュックの重みが全く感じられない
背負うのに苦労するほどの重みだったのに、だ

思わず振り返ってリュックを探ろうとすると店主が近付いて来た


「それがあなたの荷物だったようですね
とうですか、少し軽くなったでしょう?

1度の来店ですつかり手放せる人もいますが、皆さん何回かはお越しになりますよ
あなたの様に涙を流す人、そのままリュックを背負って山登りに行かれる人、リュックを日常使い続ける人…
そのリュックとの向き合い方も皆さんそれぞれですよ」
「どんな人にだって、忘れられない思い出はあるものです
楽しいものや幸せなものならそのまま大切に持っていたらいいが、ご自分を苦しめる思い出は手放してしまった方がいい」


私もこれですべてが解決するとは思っていない
でも、これまで私を苦しめていた
「忘れられない思い出」
を少しは手放していかれそうな気がしている


忘れられない思い出、をめぐる不思議な体験だ

5/8/2024, 11:52:50 AM

明日のことさえ分からないのに、
1年後のことなんて…



ただ、願わくは

1日にひとつは『 いい事 』を見出だして、
1年後には、心のポケットが365個の『 いい事 』でいっぱいになってくれていたら、
と思う





『 1年後 』

5/8/2024, 12:03:41 AM

今回のお題は「初恋」ではなく、「初恋をした日」でもなく
『初恋の日』


恋をすると、今までどうと言うこともなかった日常が一変する

目に映るすべてがキラキラと輝きだし、身の回りに存在するすべてを愛おしく感じたり、
もちろん見た目もハッピーホルモンであるオキシトシンがMAXに出て生き生きと輝き、目に力が宿って、端から見ても「あの人は恋をしているな」と分かる

でも、これは若い人の話よね…


No, No, No!
そんな事はありません!

対象が人である「恋」はもちろんだけれど、
それが動物であっても、食べ物であっても
はたまた物でも経験であっても、初めての「出会い」に心がトキメけば、それは恋心と呼んでも良い気がするし、ハッピーな気持ちが湧いてくるなら十分だ

「○○推し」などと言うのが良い例だ



だから、そんな初めての出会いを積極的に楽しむ『初恋の日』なんて日があっても素敵だと思う



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