『 明日世界が終わるなら…
と言うより、
明日世界が終わるとしても
の方が私にはしっくりくる
明日世界が終わるとしても、いつもと変わらない1日を過ごすだろう
というのも、私は日頃から
明日の朝必ず目を覚ますとは限らない、と思いながら過ごしているからだ
かつて、心の病で苦しんでいた最中は
「明日の朝目覚めないように…」
と、呟きながら長い夜を過ごしていた
今でこそ、そういった気持ちが沸き上がるのを抑える術を身に付けたから、上手く交わせるようにはなっているけれど、
明日への明るい気持ちを持つことは未だに、無い
だから、明日世界が終わると知ったら
きっと、深いため息と共に久しぶりの安堵感を抱くのではないだろうか…と思う
もう、頑張らなくて良いんだ… 』
姉の日記はここで終わっていた
お姉ちゃん
お姉ちゃんの居なくなったこの世界は
まだ終わることなく続いているよ…
君と出逢ったのは約 19年前
その頃の僕は、生きることに希望を持てなくなって、その僅かな命の光さえも失いつつあった
そんなある日、まだ産まれて間もない君が僕の元へやって来た
その希望しか宿していない大きな、真っ黒な瞳に見つめられた途端、僕は一瞬で君の虜になったんだ
君のような子との生活が生まれて初めてだった僕は、その日からというもの、ただひたすらに君を立派で健康な大人にするための勉強に取り組み、君の為だけに時間を費やしてきたんだったよね
君との生活が、それまで死んだように生きていた僕の毎日を一変させ、君の喜ぶ姿を見ることが僕の生き甲斐になったんだ!
生き甲斐だよ!
どうやってこの世界とお別れしよう、ということしか頭の中に無かった僕に、生き甲斐が出来たんだよ!
君との毎日は、それはそれは楽しいものだったね
君の為なら僕は何だって出来たし、君が怪我をしたり病気をした時は、僕の体の一部を分けてあげると本気で考えていたよ
そんな君との生活は、ちょうど17年を迎えた時、君は虹の橋を渡って行ってしまったんだ…
この僕をひとり残して…
ここでは、君とのことをもっともっと綴りたかったけれど、
僕の心の灯が消えてから2年
それは、君のことを語るにはとても短すぎるようだね
溢れる涙が止まらなくて、もうこの先を綴ることが出来なそうだよ…
でも、いつかきっと君との時間をしっかりと記して残すからね
今でも君を思わない日は無いよ
僕の最高のバディの愛犬へ
『君と出逢って』
耳を澄ますと
世界中の戦下で啜り泣く子供たちの声が聞こえる
耳を澄ますと
世界中で住む場所を追われた動物たちの苦しむ声が聞こえる
耳を澄ますと
環境の悪化に苦しむ地球の呻き声が聞こえる
それでも…
どんなに耳を澄ましても
あなたの声は聞こえてこない
私は貴方の本当のこころの声を聞いてみたい
『耳を澄ますと』
今や地球の裏側や宇宙とも簡単に連絡が取り合える時代…
「ねぇ、今年は晴れるかしらね」
「どうかな… 去年は確か雲が多くて星は見えなかったはずだよ」
「そうだったわね
多くの人が晴れるように祈ってくれていた
のよね
この日を逃したら、また会えるのは一年先になってしまうから気の毒がってくれているのよね」
「今は我々だって、こうしてLINEを送りあったりビデオ通話をしたりしてるのにね」
「でも、そんな事分かってしまったら夢を壊してしまうわ
だから、それは永遠に二人だけの秘密にして
おきましょうね、彦星」
「そうだね、織姫」
今年の七夕は晴れますように
『二人だけの秘密』
人は、「こうして欲しい…」と心の中でおもっていることを、無意識のうちに相手にしているらしい
誰かから電話が欲しい、と思っている時は無性に電話をかけたくなったり
優しくされたい、と思っている時には、急に誰かに優しくしてみたり
肩でも揉んであげようかしら?と思い立つ時は、本当は自分が揉んで貰いたい時らしい
でもこの言葉だけは、どうも勝手が違うようで
「優しくしないで…」
と告げる時、
本当は世界中の誰よりも優しくして欲しい、と心は声を上げている…
そう思う
*タイトル 「優しくしないで」