人が蒼い球に住む前
事象、具象だけで満たされてた
名無しの金平、有象無象や
金平糖はとても美味くて美味や
人は何にでも名付け、分類したがる
金平蔵と紺碧子付き合ってるで
二人とも成績優秀、美顔んだ
名無しの紺碧子、顔なし顔梨
梨はとても美味しくて美味や
人は仲間を欲しくなる
愛、友情、絆は全部甘酸っぱい
人は紅の地で踊るおどる
今日は踊らせてくんませえ
金平糖と梨だけじゃ甘すぎる
もうちょい塩っぱいの下せえ
へいお待ち、ラーメン一杯
へいわだ平和だ今日も地球は
『食いもん』
芽吹きそうな種がモグラみたいに奥深く潜ってね、
心に小さな穴が開いたの。
あの穴はあまりにも愛らしく埋めたくなかったの、
歪んでとても醜かったのに。
あたしはね、芽吹きそうな種がすごく憎かったの、
土竜は眼が見えなくて…。
あの日、植えた種を探したよ。故郷で
"魚みたいな瑠璃職人に居場所はありませんよ"。
魚さんはただ佇んでたよ
あたしはね、深く気持ちいい朝を迎えたよ。
なにか足りないの、わかんない。
『しつい』
偽りに濡れた仮面を蒼白い光源は照らす
お互いの本質を見失ったまま
一粒の愛を求め、絶え間なく働く蟻たち
本当の愛が欲しいのに
美しい花ほど摘まれる
高く高く咲き誇りたい
その願いは欲に濡れる
笑顔の仮面を被ったら外に出よう
真夏の太陽がおまえに語る
笑顔の仮面が壊れたら涙を流そう
年の瀬の潤んだ瞳が沈む
涙が枯れたら愛を唄おう
偽りに満ちた横顔を煌々と照らすのは貴い蒼い空
永久に蒼ざめた白樺の樹
おまえの寝顔みたいだな
安らかな夢にいるおまえ
もう会うことはない灯火
わたしは今日も偽りの仮面を被る
変わらない日々の移り変わりは、
地中深くにある本質が芽を出す
其の日の到来を信じて……
『哀愁劇』
得物を丹念に研ぎ、獲物を円やかに裂く感触
あの官能的な快楽は忘れられない
何年も蒸留した美酒を味わう舌みたく身体の芯を貫く
生命の奪い合いは何物にも優らない
世界そのものが遊戯場みたいだ
獲物を丹念に調べ、得物で艶やかに啄む感覚
あの魅惑的な旨みは忘れられない
何年も怨みを抱えた仇敵に相応の報いを与えた瞬間だ
あの刻から醜く、より洗練された得物
九つの得物は不可解な悲劇を求め
鈍く反射光を放っている
遊戯場ではルールなどない
獲物が逃げる足音
哀れな獲物が残響へと変わる涙
円やかに切り裂かれ変わり果てた肉塊
神経を貫くオキシトシンだけが
すべてを物語っている
『夜鷹』
頭上には天の河が煌めく
暗く黒い漆黒が惑う天空
欠けた月光は闇に苦しむ
影を受け入れた天の河は
おまえの灯りに癒される
心の灯火
心の傷跡
心の血流
心の叫び
遥か彼方の天の河は静謐の到来を待ち望む
静けさと変わらない日々が平穏をもたらす
心は波打ちおまえの存在を確かめているか
わたしはおまえの内に問いたい
存在の儚さを、嬉しさを、憂いを、根深さを
じかんが積み重なり得てきたものは散りゆく
内に在るものは永久と云っている
魂の灯火
魂の傷跡
魂の血流
魂の叫び
名一杯太陽の斜光を浴びたおまえは
影を伸ばすだろう
案ずることはない
内に全てあるから
『藍燦唄』