エルマ

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11/10/2024, 12:17:10 PM

コトバは都に流るる人波に呑まれている
彼らはコトバを鋭利な刃物の如く使っている
コトバは美しく舞いヒトになると云っている

嘲笑の餌食と化したコトバは嘆き悲しむ
「生きる意味を教えてくれ」と叫ぶコトバ

都に訪れ言魂と戯れる吟遊詩人
コトバに麗しい装飾を纏わせ共に踊り狂う
都に流るる人波は吟遊詩人とコトバの意味を知る
生きる意味の片鱗を知った人波は忘れゆく

ストレングスと歌姫を擁する歌劇場
言魂とコトバは天空を貫き星となる
永遠の星々となった高貴なるものは
生の意味を絶え間なく彷徨う人波を照らしている

「この世は踊り狂うが勝ちさ」
と陳腐な歌を唄う吟遊詩人と歌姫

星々は人波を照らしつつ微笑みを浮かべている

単純極まりなく複雑な世界
リズミカルに変幻する世俗

嘆き苦しむ青年と淑女は救いを求める
憐憫を浮かべる聖女は只々祈っている

皆の幸せが降りかかるように
淡々と…真摯に…瞳を閉じて

『散文的雑踏』

11/9/2024, 10:06:22 AM

コンクリートの山々は太陽を覆う
アスファルトを忙しなく駆ける人波
喧騒の中から何らかの価値が産まれる

太陽が堕ちると、ネオンが偽りの月明かりを演じる
モノクロの街には幾千万通りの人生が在る
千紫万紅の瞳には幾千万通りの憂いが宿る
天空へと目指す紅き塔は星々を望んでいる

都会という名の森に流れる我らは水流か
雨粒である我らは水溜りになる定めか
その水溜りは清らかに濁り人生を知るだろう

太陽によって蒸発した瑞々しい水滴はきっと
天使に蒼白色の記憶たちを微笑み渡すだろう
満面の笑みを浮かべて



『都市の鎮魂歌』

11/8/2024, 10:34:44 AM

八十八個の鍵盤を眺め
音盤を回し音律に沈む

曲線と直線が混ざっている数奇な楽器
四足の脚で地を掴んでいる数奇な楽器
白と黒のコントラスト
鍵盤が私の指先を求めている

この理解しようがない人々を憂いた旋律を奏でる
この心臓が動く限り、続く生に激情を込めて唄う
空洞だった心はメロディアスに響く

救いようのない世界
何もかも求める世間

何もかも持っている我ら
満たされた瞬間、悦楽の源を探せど
見つからないな、物足りないな

八十八個の鍵盤を眺め
音盤を感じ音律に沈む
『白と黒の因果律』

11/7/2024, 10:11:48 AM

明日終わるかもわからない世界
暗く影が伸びた淑女
彼女は汝らの憐れみ

傷んだ心を癒す唄を
頬に涙を伝いつつ詠う

彼女は泣いた理由もわからないまま
汝らの讃美歌を淡々と哀しさを重ね
両手を広げ、空を抱いている
眩しい太陽を隠している雲の
頬を優しく撫でる

純白の雲は雨になり消える

明日終わるかもわからない世界
澱んだ心情を晴らす空の蒼さは
幾人の人々を照らすだろうか

『キリエ』

11/6/2024, 10:16:48 AM

あゝ朝露が我を濡らしている 
素晴らしき祝福が収斂し結晶化した愛は
天へと舞い上がり朝露と成った

何時迄もこの愉楽を存分に味わせ賜う
魂が消え、肉体が消えようとも
海原を創った朝露は欣快(きんかい)を広げる

どれだけ醜怪な世界だろうと
無言で可憐に包むに違いない

おゝ朝露が霧散し消えて逝く……。
『朝露』

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