得物を丹念に研ぎ、獲物を円やかに裂く感触
あの官能的な快楽は忘れられない
何年も蒸留した美酒を味わう舌みたく身体の芯を貫く
生命の奪い合いは何物にも優らない
世界そのものが遊戯場みたいだ
獲物を丹念に調べ、得物で艶やかに啄む感覚
あの魅惑的な旨みは忘れられない
何年も怨みを抱えた仇敵に相応の報いを与えた瞬間だ
あの刻から醜く、より洗練された得物
九つの得物は不可解な悲劇を求め
鈍く反射光を放っている
遊戯場ではルールなどない
獲物が逃げる足音
哀れな獲物が残響へと変わる涙
円やかに切り裂かれ変わり果てた肉塊
神経を貫くオキシトシンだけが
すべてを物語っている
『夜鷹』
11/12/2024, 12:01:28 PM