Mixエース

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3/26/2023, 3:16:36 AM

にっこり笑顔は仮面。 

家族にとって自慢の子供と呼ばれましょう。
友人にとって共感できる友達と覚えてもらいましょう。
先生にとって手のかからない優等生と頼られましょう。

添加物や余分な糖分は食べずに、お菓子はオカラやドライフルーツを食べましょう。
ニキビ、肌荒れは厳禁です。化粧で隠すことは禁止です

黒髪でおかっぱ。膝下まで隠れるスカートを履き、常に姿勢良く、礼儀正しく振る舞う事を心がけましょう。

最後に、にっこり笑顔は必須です。

《好きじゃないのに》

3/23/2023, 1:24:30 PM

「どうして貴方は俺を護ってくれるんだ。」

私は泣きながら尋ねる後輩の頭を慰めるつもりで撫でた。
私は異世界転生で悪役先輩として生まれ変わった人間だ。そう、この目の前の後輩が主人公の世界へ。

最初は媚を売って、バットエンド回避する為にこの後輩へ近づいたんだ。
周りに合わせて、気を悪くしないよう立ち回る。例えるならアカウント越しでコメントするネットの中のように。
生前苦労したご褒美で、好きなシーンに遭遇できたら万々歳。そう思っていた。

だけど実際目の前で後輩が泣いている所を見ると、胸が痛くて。今回だって結果を見ればハッピーエンドなのに後輩が傷つきそうになると考える前に後輩を庇って護っていた。……ここは架空の世界の筈なのにね。

「なあに、大した事じゃないさ。先輩として当然だよ。」

自分でも行動理由が分からないんだ。私は適当にもっともらしい事しか言えなかった。



〘特別な存在〙

3/15/2023, 4:25:34 AM

私の死んだ祖母は自室に不気味な狐の掛け軸を飾っていた。
墨で尻尾の先まで真っ黒な体なのに瞳だけ満月のような金色で真っ赤な口は耳までさけていた。
真夜中にはケーンケーンと鳴き。気がついたら掛け軸から狐の部分だけさっぱり消えていた。

「こんな不気味な掛け軸、神社かお寺に持って行ってお焚き上げしてもらおう。」

掛け軸の怪奇現象に怯え、解決策を提案しても祖母は首を縦に振らず。怪奇現象に対して、「昨夜は月夜が綺麗だったから散歩に行きたかったんだろう。」と呑ん気に考え。挙げ句いつ摘んできたのか、タンポポ、シロツメクサ等の花を掛け軸の前に飾っていた。

そんな事をお葬式中、思い出を振り返る。最後に祖母に花を備えようと棺を開けると、その場にいた人全員が驚いた。

祖母の白装束が墨で真っ黒になっていた。胸には葬式の花としては似つかわしくない黄色いタンポポが乗せられている。
式場スタッフたちが慌てふためく中、私は死化粧を施されている祖母の目や顔立ちが安らかになっていると不思議と感じてしまった。



[安らかな瞳]

3/13/2023, 8:46:17 AM

私には勇敢で強い親友がいる。
砂漠の暑さに負けず、真っ直ぐ人としての正しさを曲げない姿に憧れる。
その姿は王子である私が思い描いた理想の姿だ。
半年前、城をこっそり抜け出して城下街で出会えたのは、きっと運命だ。

「だって、こんなにもそっくりな顔だもの。」

今日もこっそり王子という身分を隠して会いに行く。
ああ、もっと君の事が知りたい!。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

俺には純粋で優しい親友がいる。
人の為に泣き、人の為に笑う。誰かを思いやれる心を持つ人間は親友以外見たことない。
その心は国の反逆者の息子である俺が欲しかった存在だ。
半年前、仕事帰りに街中で出会えたのは運命だ。

「だって、こんなにもおんなじ顔だ。」

今日も何時もの場所で親友を待つ。いつも通り自分の正体を隠して。

ああ、もっとお前の事が知りたい!。



〈もっと知りたい〉

3/9/2023, 8:29:54 AM

とあるボロアパートに住んでいたケチな男が交通事故で死んだ。
周辺の住人たちはホッとした。
男は生前不審者のように時々町内中をうろついて自販機の下に潜ったり、商店街で無茶な値切りをして住人たちを困らせた。
度々住人が注意しても、「この世は金がすべて。関係ない奴は引っ込んでろ。」と怒鳴って追い返す。

「金ばかりに執着しているから、天罰が下ったんだ。」
住民は口には出さなかったが、みんな同じように考えていた。

ある日、男が住んでいた部屋を整理する女性がいた。この辺で見た事のない女性に、気になった住人の一人が声をかけた。
女性はあのケチな男の女房だった。女性は作業中悲しみを堪えていたのか、住人に自己紹介したあと小さく嗚咽が混じった言葉を吐き出した。

「どうしてなの、やっと幼い娘の手術のお金が貯まったのに……。一番頑張っていた貴方が出稼ぎ先で事故死してしまうなんて……。」

住人はじっと女性が抱きしめている使い古した男のワイシャツを見つめることしかできなかった。


〈お金より大事な物〉

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