家事に仕事、合間に犬の面倒と創作。1日が早く終わるのなんて当たり前。合間にしたいことなんて自分から始めたことだから悔いはない。
だけど、毎日生き急ぐ生活は少々疲れる物だ。
クーン。
パソコンに打ち込む手が止まる。足元で愛犬が上目遣いでこちらを見ている。
そうだな。たまには休もうかな。
お気に入りのソファで横になると、愛犬は私の胸元に飛び乗り大きなあくびをしている。釣られて私も大きなあくびがでてしまう。
ぼんやり、ただゆっくり時間がすぎていく。
こんな日があって良いか。
[たまには]
「どうしよう。」
視線の先の携帯画面にはごめん。しばらく会えない。と通知が表示されていた。
相手は私の先輩。先月私から告白し、太陽みたいな笑顔でOKしてくれた頼れる優しい先輩。
だけど1、2回デートしただけで最近素っ気なく、学校が終わると何だか適当な理由で足早に帰ってしまう。そして、一昨日届いたこの通知。
嫌われたかな。そう落ち込んでいると。
先輩から新しい通知が来た。今から時間ある?と。私はすぐにあると返事を返した。
ああ、ついに別れ話かな。とっさに返事してしまったから覚悟を決めよう。携帯から更に新しい通知が届いた。今着いたと。
「よっ、久しぶり。」
久しぶりに恋人として会う先輩の姿を見て私は驚いた。
先輩は大型バイクに乗り私を出迎えたのだった。私の驚いた様子を察した先輩は申し訳なさそうに話す。
「ごめん。実はバイクを買うためにしばらくバイトで会えなかったんだ。」
「私よりバイクが大事ですか。」
「そうじゃないんだ。これに乗ればもっと君といろんな所に行けるだろ。それにさ、大好きな君に何時で会えるしね。」
そう先輩は耳まで真っ赤にして照れている。さっきまで沈んだ私の気持ちが何だか晴れやかになった。
[大好きな君に]
大陸から島国へ輸入された雄の孔雀は分かっていた。
今夜、俺は檻越しの人間たちに食べられる。
「やっと手に入れた、これが鳳凰……。なんと神々しい。」
「この鳥を食べれば、死や病気の恐怖から開放される!!。」
檻の向こうで大勢の人間たちが俺を手に入れて歓喜
している。その光景に俺は笑った。
元々大陸では俺たち孔雀は食材だ。何度も親兄弟が人間たちに殺され、美しい尾羽根と共に皿の上に乗った所を檻越しで見たことか。
ここの人間たちは俺たちの種族を万能の鳥と勘違いしているようだ。まったく大陸の連中も人が悪い。
いいか、俺の命をもってお前たちの一時の欲望を満たしてやる。そして何時か、お前たちが勘違いに気づいた時…盛大に悔しやがれ。
それが、ただ食べられる為だけに産まれて殺される…
俺たちの復讐だ。
テーマ〈欲望〉
君は今何をしているだろうか。僕は時間通りに箱から出てくるご飯を食べながら考えていた。
まったく、君は不真面目だ。
僕はこの家の王様。僕が遊びたいと言えば飽きるまで付き合い、ご飯だってこんな箱からじゃなくちゃんと君の手で器に盛らなきゃならない。
そう文句を言っているうちに食べきってしまった。
今はまだ空が赤い、黒くなるまでもう少し。それまで、窓から通りの見回りを……。
「ただいま。」
はっ、つい寝てしまった。もう部屋が暗くなっている。
君遅いよ!。僕を朝から放置していたんだ。どうなるかお分かりだね!。
「シロちゃん、待って待って。スーツに毛が付いちゃう!
。」
「ニャア。」(おかえり。)
〈今君は〉
瓦礫の下を覗くと、そこに白い一本の花が咲いていた。
私は戦火から逃れて健気に咲くその小さな命を、体を伸ばして毟り取った。
花がきちんと咲いている物を見つけるのは中々手間だ。
私は終戦以降あちこち探して花を集めている。
それは儀式を行う為だ。まぁ、相棒の見様見真似だがな。
昔は理解できなかったが、今ならこの儀式を行う理由が分かる。
私は最後の花を相棒の胸にそなえる。
そしてやり切れないこの気持ちを吐き出す為に、私は天高く吠えた。
「アオーン。」