大陸から島国へ輸入された雄の孔雀は分かっていた。
今夜、俺は檻越しの人間たちに食べられる。
「やっと手に入れた、これが鳳凰……。なんと神々しい。」
「この鳥を食べれば、死や病気の恐怖から開放される!!。」
檻の向こうで大勢の人間たちが俺を手に入れて歓喜
している。その光景に俺は笑った。
元々大陸では俺たち孔雀は食材だ。何度も親兄弟が人間たちに殺され、美しい尾羽根と共に皿の上に乗った所を檻越しで見たことか。
ここの人間たちは俺たちの種族を万能の鳥と勘違いしているようだ。まったく大陸の連中も人が悪い。
いいか、俺の命をもってお前たちの一時の欲望を満たしてやる。そして何時か、お前たちが勘違いに気づいた時…盛大に悔しやがれ。
それが、ただ食べられる為だけに産まれて殺される…
俺たちの復讐だ。
テーマ〈欲望〉
3/1/2023, 1:26:49 PM