詠み人知らずさん

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10/24/2023, 5:25:43 PM

「ねぇ、行かないで」
私は眠い目を擦りながら女性の裾を掴んだ
「、、、すぐに帰って来るから」
しかしその声とは逆に彼女の口どりは重かった
「本当❗えっとね、帰ってきたらね遊園地に行きたいの」
「早く帰ってきてね、ママ❗」
「行ってらっしゃいー」
母の後ろ姿なんて覚えていない
もう既に思い出したくもない
「ママ、遅いなぁー」
あの頃の私がバカみたい

カレンダーいっぱいに描かれた赤い丸
床に散りばめられた七色のクレヨンと紙
ごみが溜まりにたまった部屋に
ポツンとアルバムが一つ
帰ってくると信じてた
いつか「ごめんね」ってギュット抱き締めてくれるって信じてた
そしていつか「大好き」ってずっと一緒にいてくれることを願ってた
いつかいつかぁ「愛してる」って「世界一大好きよ」って、もうどこにも行かないって誓ってくれると思ってた。
だから昔は思ってた
私が悪い子だから帰ってこないんだって
どうやったら帰ってきてくれる?お母さん
「ねぇ、愛香あんたってシングルマザー?」
「うん、そうだよ、昔色々あってさ」
「まぁ、今はまだお母さん帰って来ないけど」
私は、昔を思いながら苦笑いをした
「えっ、それってやばくない?男のところに逃げたとか、、、、」
「どうして?」
「えっ?」
「だって親は子を愛するのが普通でしょ?」
それが全力の嘘だったのかもしれない
彼女が笑ったその笑みにはどことなく悲しく、むなしく、残酷だった。

10/10/2023, 5:06:26 PM

「大丈夫?」
そう答える彼の推理は果たして正解なのだろうか
目に見えるものが真実とは限らない
何が本当で 何が嘘か
この女は本当に悲し泣きをしていたのか
「大丈夫?」が最善の慰めなのか
男と女はいったいなんの関連性があったのか
そもそもこの女の性別は本当に女なのか
真実は本人だけが知っている


男「ごめん、当たるとは思わなかったんだ」
女「、、、」
男「まさか投げたバレーボールが君に2回も
当たるなんて、、、」
ピッピィー
先生「全員集合ー!!」

彼女はゆっくりと腰を上げ、みんなのところへと向かう

女「これで何回目?次こそは、絶対に気を付けてよね!」

男「仕方ないだろ,だって俺たちのすることなすことは全部似るんだから」
女「だからって、、、」

男「どうやっても絶対に被るよ」



「だって俺たち双子だもん」

彼は苦笑いしてそう言った。



「涙の理由」
タイトルからはずれてる気がします、、、
ふざけてすみません、
あるテレビドラマの名言を活用してみました
お分かりいただけたでしょうか?、、、(笑)

10/9/2023, 5:24:27 PM

ココロオドル

それは蝶のように優雅に踊るわけでもなく
大ホールいっぱいに歌声を響かせるわけでもない
ただひっそりと生きているこの地球に心が踊る
神に無理矢理与えられた人生、
目標もなければ目的もなく、この世界に生まれた私たち
無意味な今日になんと言うタイトルをなずけようか
踊るわけでもない、歌うわけでもない、ただひっそりと呼吸をし目を瞬かせる
誰がなんと言おうと地球は「未知の世界」だ
まだまだ宝が残っている
勝手に与えられた今日と明日を僕は何のために遣おうか

まるで暇なようで暇じゃない
「たかしー!!仕事探してきぃー」
「今忙しい!」
こうして考えてるうちにかれこれニート4年目だった。

10/7/2023, 3:52:26 PM

「先生大好き!!付き合ってくださーい❗」
彼女は力を込めて言った
「えっ、待って先生、教育免許剥奪で職失うからやめて」
「えーっ」
彼女は顔を膨らます。
「ってかなんでお前は教師ばっかり告るんだよ、同い年がいるだろ」
「タイプが年上好みなんですよ、あとお金持ち」
「10歳も離れてるけど、」
先生はぐしゃっと頭をかいて苦笑いした。
「また、ふられた」
彼女は、ガックリと肩をおろした
「そりゃ、そうだろ」
「容姿はいいと思うんだけど、、、」
「何がいけ、、、「頭だ」」
「お前ちょっと頭冷やせここは合コンじゃない、学校だ」
「お母さんが言ってたの、将来お金持ちと結婚した方がいいよーって」
「早いうちに」彼女は僕の耳元でそっとささやいた。
「君本当に年齢と思考合ってる?いくつだ君は?」

「今年で新2年生です。」
彼女は真っ赤なランドセルを背負って明るげに言った

「惚れた?」

「惚れてない‼️」
僕は力を込めていった。

9/30/2023, 8:23:08 AM

静寂に包まれた部屋で一人の女性が横たわっている。
「どちら様?」
彼女は、ゆっくりと目を開いた。
「あぁ、そっかわかんないよね。僕は君の関係者だ」
僕は、妻となる女性に声をかけた。
「そうなんですね」
彼女は桜色に染まった唇を微かに動かす、
「ずっと空を眺めているのかい?」
彼女は細長い黒髪を振り払いこちらを向いた
「、、、わからない、」
「えっ」
「記憶が」
彼女は自虐的な笑みを浮かべてそう言った。
「思い出せそうなのに思い出せない」
「ねぇ、この子はだれ?」
彼女はとある家族写真を手に取った
「それは、、、」
僕は言葉に詰まる
きっと彼女に言ってもただ困惑するだけ
彼女に記憶なんて無い、
もちろん昨日の事も、
きっと寝れば今日の事も、
初めてのキス
泣いて喧嘩して、笑ったときの思い出
そして、お腹の子を宿したときのあの感覚
これら全て嘘であるかのように次々と脳内で書き消されていく。

「この子をお願い、この子を先に、」
心花はそう叫ぶと共に緊急手術室へとはいっていった。
数時間後、医者が言った
「お腹の子は助かったのですが、、、」
僕は、その言葉と共に不吉な予感がした。
あぁ、言うな、言うな、何も言わないでくれ!!
「奥様は、脳に酷いダメージを受けてしまって、もう、、、」
「記憶は二度と戻らないでしょう。」


昨日の事も今日の事も、どんなに泣いても、どんなにあがきもがいても、もう彼女の記憶は戻ってこない。


「心花、それは君の子供」
僕はそっと彼女の手を握った
「それは、それは君が命がけで守った何よりも大切なものだ」

彼女は、一瞬曖昧な顔をしたが、途端にみるみる笑顔になった。
「そっか、そうなんだ」
彼女は、空を見ていった。
「私の、子供かぁ、、」
彼女の頬からは一滴の輝く涙が伝っていった。




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