「好き、嫌い、好き、嫌い、好き..やったぁ!!」
なんて、答えの分かっている占いで一喜一憂する。馬鹿らしいとはわかっていながらも、止められないのだ。それは絶対的で完璧な答えなのだと、自分を納得させるために。
「好きです、付き合ってください!」
「あー、ごめん、好きな人がいるんだ。」
「フラれちゃったけど、ほんとは嘘ついてるだけなんだよね?好き、嫌い、好き、嫌い、好き..ほら!やったぁ!あはは、は..」
少しでも自分を納得させようと、無理にでも力なく笑う。だが、もう絶対的で完璧な答えだとは思えなくなっていた。
街。それは情報量の塊だと、僕は感じる。左を見ては看板、右を見ては看板。上を見てもビルの群れ。目を閉じれば人の声。逃げ場がないほどに、情報に溢れているのだ。
..そうとらえる僕を、人は嫌った。変人と罵り、恐れ、避け、次第に離れて行った。最後に残ってくれたと思っていた、君さえも。そんな僕に、この街に居場所なんてない。
ならば、いっそ「この街になってしまおう」──そう考えた僕はビルの屋上から足を離し、無気力に地面へ吸い込まれていった。「これでやっと─逃げられる。」
好きな子が、いた。
僕は、幾千もの星が輝く夜空の下で恋心を失った。
心臓を高鳴らせながら、震える声で言葉を紡ぐ。
「今日は、月が綺麗ですね」
少し考えた後、君は小さな声で呟いた。
「星の方が綺麗ですよ」
「..そっか」
溢れ出そうになる涙を必死に堪えながら返した。
月に込めた願いは、星に砕かれた。
「月に願いを」
真夜中。怖い?楽しい?感じ方は人それぞれだろう。
だが私がこの時に抱くのは、嫌悪感だ。
大地に立って、上を向く。
音がどこかに吸い込まれたかのように広がる静寂。今にも引き込まれそうな、どこまでも暗くどこまでも深い闇。そんな闇が広がる空に眩しいぐらい光り輝く星々。自分の無力さを、孤独さを、嫌なぐらいに思い知らされる。だから私は、幻想的な美しい風景が作り上げられるこの時間が、真夜中が、嫌いだ。
「真夜中」
「風に身を任せて、どこまでも飛んで行きたい。」
常々、そう思う。いつもいつも自分で考えて、それで失敗して、怒られて。目を閉じれば耳を澄まさなくても叱責が聞こえる日々。そんな日常に私はうんざりだった。
自分が鳥なら、あるいは小さいものなら風になってどこまでも楽に行けたのだろうか。いいなぁ、何も考えずに動けて。いいなぁ、何にも縛られずに生きてて。なんて願っても叶わない理想を、そんな理想への嫉妬を、とうとう君に打ち明けてしまった。君は何も言わずに、少し寂しそうな目をしたまま風に身を巻かれて消えた。私が考え無しに、自分だけが辛いみたいに話してしまったせいなのだろうか。
『どうして』
そんなことを言える資格は、私にはなかった。
「風に身を任せて」